ソラナちゃんのいちにち-4
そんなスポーツ、聞いた事がなかった。
それは、即興でソラナが編み出したもの。ではなく。
彼女の元上司、FOXがアラメダリサーチ時代に考案したものだった。
いわく、『水中で、バレーしたら面白くね!?』『トランザクション使って、技とか作ってさ』『360°見学出来たら、こりゃー見せ物としてもいい』とのことだった。
当の発案者は、『そんな疲れること、やりたくない』と言って一度もする事がなかったスポーツである。
早々とチームを作って、興行にした後は、お酒を片手に楽しんでいたのだとか。
そんな彼めがけて、必殺の一撃が放たれるのは珍しくなく。
彼の観戦する試合では、一試合に最低一度は、自身が吹き飛ばされるスポーツだった。
まぁ、主に仕事をサボって試合を見に行ったのを選手であるソラナに見つかった上での出来事なので自業自得といえばその通りなのだが。
ソラナは、そんなスポーツのエースをCTOと兼任してやっていた。
「さぁ、お姉さま。覚悟してください」
「敗者は、勝者の言う事を何でも1つ聞く、という約束をかけてもらいます」
「いいわ。その勝負。受けて立つわ」
「Juno、やれるわよね」
「もちろん、全力で私がサポートするわ」
「ああ、オズモ。任せた」
「イーサ、勝ちに行きますわよ」
「任せて」
「ふむふむ。ならば、盛り上げ役は、必要だよなぁ」
「ポルカドット!」
「っと、呼び捨てなのな。ソラナちゃん」
「さてと、だ。プールの貸し切りは完了している。遠慮なく試合ってもらおうか」
「なんて手際の良さなの!?」
「その手際の良さ、他にももっと活かしたら?」
「痛い事言ってくれるなぁ!オズモさんは」
「と、アス太、カメラは?」
「全て、セッティングオッケー!」
「よし!」
「じゃあ、はじめますか」
「ちょっと、待って」
「なぜ、撮られなければいけないんだ」
「プライベートな試合だぞ」
「そんなの決まっている」
「被写体が良いからだ」
「そして、だ」
「これは、俺の感なんだが。面白いことになりそうな予感がする」
「だから、カメラをまわすことにしたんだ」
「勿論、コスモス中に配信するコントラクトも整えた」
「既に、コスモスさんには許可を頂いている」
「ちょっと、ちょっと!なんてことしてくれるんだ」
「動揺したJunoさんも、素晴らしい!」
(そういえば、ポルカドットくんもJunoファンクラブだったわね)
「さぁー、選手諸君。準備を始めてもらおうか」
「ポルカドットに仕切られるのは癪だけど、さっさと準備を始めてしまいましょ!」
「そこ!せめて『さん』をつけなさい!」
「殿方が、そんな小さなことに拘らないの」
「器が知れるわよ」
「ソラナちゃん、いいこといった!」
「そうだぞ、ポル兄ぃ」
「君にポル兄ぃ言われる筋合いはないぞ!アス太くん!」
「まぁまぁ」
そういって、ドリンクを差し入れ間に入るイーサ
ドリンクをポルカドットとアス太に渡して、ポルカドットの頭を撫でる。
「くっ、そうされたら何も言えないじゃねぇか」
「しかも、なんだ。この圧倒的なバブみは!」
しっかりと、フォローもするナイスなイーサだった。