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4.19章 再起動

「!」
それを聞きつけたのは、センチネルだった。

「みんな、離れて!」
センチネルの声があたり一面に響く
幸いにも、あらかた撤退が済んだ部隊
僅か数名が残されている状態であった。

銀色の光が視界一杯に満ちる。

「まぶしい」

周囲を満たした光が徐々に収束していく。
そこには、無傷の超巨大ボットが鎮座していた。

「なんで!!」
全力を尽くして、やっと倒せたそれは、見るからに全快で復活を果たしたのだった。
そして、船体の先端部には銀色のエネルギーの塊があった。
しかも、かなりの大きさのものがあった。
それを超巨大ボットは、取り込み、先端部を砲身へと変形させていく。

(動きが早い!)
(まさか、この為に)

「やるしかないわね」
「支援部隊のみんな、トランザクションでのサポートをお願い!」

「閣下!無理です」
「あなたの体は、もう、dVPNの全力展開に耐えられないじゃないですか!」

「それでも、やるの!」
「やらなければ、ここで全滅よ」
「って、アカッシュ!」

「うぉぉーー!!!」
走り出したアカッシュが、大剣を掲げエネルギーをチャージする。
そのまま大剣を砲身へと投げ入れる。
巨大な爆発音が鳴り響き、煙を上げる。

「やった!?」
内部から入った一撃は、確かに超巨大ボットの体力を大きく削ることに成功したようだった。
だが、煙が出ているその場で再生を始める超巨大ボット

「なんだよ!こいつ!」
アカッシュが悪態をつきたくなるのも無理はなかった。
致命傷とも思える一撃を与えるも、即座に回復していく出鱈目ぶり。
そして、再び銀色のエネルギーの塊が作り出されたていく。

「私が止める!だから、みんなは遠くに逃げて!」
センチネルは、そう言うのが精一杯だった。
dVPNの同化がいつになっても始まらない。
体のリミッターがこれ以上は、無理だと、同化を拒んでいる様だった。

(もう、どうにもらならないの?)
巨大な砲身を向けるボット
本体には、エネルギーが十分に充填されているのか銀色の稲妻が迸っている。

船体は、どっしりと地面に固定されている。
これから放つ一撃にどれだけの破壊力があるのか、そのことだけでわかった。

そんな折、遠く風を切る音が聞こえてきた。小さな小さな音
ヒュンヒュンとなる音
それは、自身の恐怖心がもたらした幻聴だったのか。
しかし、音は次第に大きくなっていった。
音のする方、上空を見ると何かが物凄いスピードで地上に落下してきていた。
はじめは、小さな豆粒に見えていたものが物凄い速さで大きくなり。

そして、落ちた。

超巨大ボットに
突き刺さる様に
戦闘機が

巨大質量の落下特有の爆発はなく、その代わりに、天空へと巨大な光の柱が上がる。

「何よ、これ」
センチネルではないけれど、皆がその光景を見て同じことを思っていた。

光は収まり、戦闘機は地面へと垂直に突き刺さっていた。
その先端は、クリスタルの様な大きなコアに突き刺さり、パックリとそれを両断していた。

「ふぅーーー、まるで、ジェットコースターね。ええ、楽しかったわ」

「楽しかった。じゃないです!安全装置が外れたアトラクションなんて、アトラクションじゃねぇです!」

「まぁまぁ、今回は、なかなか楽しめたからいいじゃない?」

「楽しめたのは、ソラナちゃんだけです!」
「私は、生きた心地がしなかったです!」

「だって、成層圏からの垂直落下よ」
「しかも、衝撃吸収もトランザクションでばっちり」
「滅多に体験出来ない良いものでしたわ」

「だとしても、です!これは、心臓に悪すぎます!」

「そう?このくらいスリルがあった方が楽しいわよ」

「なーに、ポカーンとしているのよネル」

「な、な」
「なに?どうかしたの?登場のインパクトが強すぎて、わたくしの名前を忘れてしまったのかしら。わたくしは、ソラナよ。ナナではないわ」

「そうじゃないわよ!か
「いったいどういうことなの!?」

「ん?」

「ん?じゃない!」
「ちゃんと説明してもらうわよ」

「まぁ、いいけれど。それでは、前線基地の皆様に挨拶を含めて、訪問と致しましょう」
「ニトロ、行きましょう」
「ところで、大きな敵が出たと聞いたのだけれど、打倒出来たのかしら」
「もし、まだなら、わたくしが必殺の一撃を放ってあげてもよろしくてよ」
そう言い放ったソラナに対して、今度こそ、開いた口が塞がらなかったセンチネル。
だって、その強敵は、ソラナが戦闘機で斃してしまったのだから。

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