幻の「友情会」
小学校六年生の卒業文集「友情」。
その最後のページに「友情会」の提案がある。
誰が提案したのか記憶にない。
担任の先生だったような気がするが,編集委員七人の発案だったかもしれない。
4年後の3月30日。高校1年生である。
十数人が集まった。
まだ中学を卒業して1年しか経っていない。
小学校から中学へはほとんどそのまま進むが,高校で進路が分かれる。
小学校の,というより中学の同期会のようなものだった。
お互いに集まろうといったかどうかも覚えていない。
それぞれが「オリンピックの年」を覚えていて集まったのだろう。
集まって写真を撮るでもない。誰かが仕切るわけでもない。
なんとなくそのまま市中に繰り出して,デパートの屋上で遊んだ。
ただ,仲の良かった3人は別の中学に行き,この日も来なかった。
先生も来なかったから,やはり提案は先生ではなかったのだろう。
8年後。20歳。
忘れもしない。3月30日は雨だった。
11時前に児童会館の前に行き,待った。
10分,20分。
誰も現れなかった。
雨の中,1時間も過ぎただろうか。
「友情会」のことを覚えている人は私の他には誰もいなかったようだ。
今年がそれから何回目かのオリンピックの年。
note でのビュー数は少ないし
Twitterからもこの記事は読めるが
万が一にも同級生の誰かの目に留まることはないだろう
4年目だけであとは幻と消えた友情会である。