インドラの真珠:メビウス変換
第2章で、複素関数によるさまざまな変換 ー シンメトリーな変換 ー を見てきました。平行移動、拡大・縮小、点・直線・円に関する鏡映などです。
ここからはさらに進んで、メビウス変換について考えます。メビウスは「メビウスの帯」で有名なメビウスです。メビウス変換は次の複素関数による変換です。一次分数変換とも呼ばれています。
$${f(z)=\dfrac{ax+b}{cz+d}}$$
ここで,文字で表されているものはすべて複素数です。c=0 ,d=1 のときは回転・拡大縮小と平行移動になります。a=0, b=1 , c=1 , d=0 のときは $${f(z)=\dfrac{1}{z}}$$ ですから,単位円に関する鏡映と実軸に関する対称変換の合成変換(続けて行う変換)になります。
リンク先を開くと,次の画面が出ます。ボタンはありません。
a,b,c,dのベクトル(点)をドラッグすると、メビウス変換の関数式の係数を変えることができます。画面上部のスライダで反復回数を変えることができます。
スティックラー博士の大きさや位置は、足の赤い点をドラッグすると変えることができます。
これも、やはり反復することにより螺旋状の図形ができますが、a,b,c,dの値によってかなり様相の違ったものとなります。
これまでに出てきた,平行移動,回転,円に関する鏡映は,複素数平面でなくユークリッド平面上で,行列を用いて表すことができます。メビウス変換も行列で表せますが,4つの係数がすべて複素数なので,これをユークリッド平面で座標で表すとなると,かなり複雑なものになります。複素数平面ならではの変換式といえるでしょう。行列で表した式については,次の「メビウス逆変換」で示しましょう。
「インドラの真珠」では,このメビウス変換が大きな役割を果たしてきます。
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