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Cinderellaで数学:いろいろな曲線:カッパ曲線

「曲線の事典」(礒田正美他・共立出版2009)に掲載されている,スアルディの作図器によるカッパ曲線を描きます。

 1662年頃,フートスホーフェン(G. van Gutschoven, 1615~1668)によりカッパ曲線が研究されたので,フートスホーフェン曲線と呼ばれることもある。のちに,カッパ曲線は,ニュートン,および,ヨハン・ベルヌーイとスリューズ(René François Walter de Sluze, 1622~1685)により探究された。

 平面上の直線s上に固定点Oが与えられている。線分QPの長さが一定で,∠OPQ=90° のL型定木QPOが図のように直線 s 上の固定点Oを通り,点Qは直線 s上を動く。
 このとき,点Pはカッパ曲線をかく。この曲線は直線 s から線分PQだけ離れた2本の直線 s に平行な漸近線をもつ。

「曲線の事典」(礒田正美他・共立出版2009)p124
「曲線の事典」(礒田正美他・共立出版2009)p124

 Cinderellaでこの図を描きます。
まずx軸を直線ツールで引き(AB),原点を取っておきます(C)。
x軸の適当なところを中心に円を描きます。円の中心と原点との中点を取ります。
中点(E)を中心に原点を通る円を描き,始めの円との交点をとります。(F)
C,Fを通る直線を引き,D,Fを線分で結びます。

軌跡ツールを選択し,動かす点としてDを,軌跡を描く点としてFを選べばカッパ曲線が描かれます。

動点Dを動かすと,点Fは第1象限しか動かないように思えますが,実際には原点付近を通るときに上下が入れ替わります。原点より左に持ってきても同様です。これは動的幾何ソフトとしてのCinderellaの特質です。このようなことは,スアルディの作図器では起こりません。写真の状態だと第1象限しか描けないでしょう。
動作を確かめたら,点の名前をO,P,Qと変えておきましょう。
 この図をHTMLに書き出して表示しようとしても,CindyJSでは軌跡は表示されません。したがって,カッパ曲線の方程式を求めてプロットすることになります。曲線の事典には極方程式が載っています。OP=$${\sigma}$$,∠POQ=$${\theta}$$,QP=$${a}$$ とおくと
          $${\sigma \sin \theta=a \cos \theta}$$
となります。
 次のように考えて媒介変数表示もできます。

     $${x=r \sin \theta \tan \theta,y=r \sin \theta}$$

次のようにスクリプトを書きます。C0 はQを中心とする円の識別子です。

f(t):=[r*sin(t)tan(t),rsin(t)];
r  = C0.radius;
plot(f(#), start -> -pi/2, stop->pi/2, color -> [1,0,0]);
plot(f(#), start -> pi/2, stop->3*pi/2, color -> [1,0,0]);

タイトル画面はスアルディの作図器を模したものです。


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