寺田ヒロオ伝 27年後の「トキワ荘の時代」
「トキワ荘の時代」(梶井純 ちくま文庫 2020.2.10) は,27年前の「トキワ荘の時代ー寺田ヒロオのまんが道」を文庫化したものである。
トキワ荘については今更説明するまでもないだろう。藤子不二雄,石ノ森章太郎,赤塚不二夫らが住み,漫画家の梁山泊といわれたアパートである。
そこで,兄貴分的存在だったのが,「背番号0」などを描いた寺田ヒロオである。その人柄は,藤子不二雄の「まんが道」や「愛知り染めし頃」などに詳しく描かれている。藤子不二雄以外にも,赤塚不二夫 ほかの「トキワ荘物語」,石森章太郎の「章説・トキワ荘・春」なども出ている。
本書は,その寺田ヒロオ伝ともいうべき本。
戦後の漫画文化の流れの一端を知るとともに,少年漫画に対する寺田ヒロオの考え方は,いま百花繚乱たる漫画文化を再考する機会にもなるだろう。
「まんが道」や「愛知り染めし頃」などとあわせて読みたい。
今年,南長崎にトキワ荘が再現された。
写真は2018年に南長崎花咲公園にあったものだ。
彼らがよく行った松葉が近くにある。
「愛知り染めし頃」にもよく登場する。彼らがトキワ荘で呑んでいたチューダーは今でもここにメニューとしてある。
漫画家の聖地に再現されたトキワ荘。コロナが終息したら行って見たいものだ。