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「AMATERASのライントランスってぶっちゃけどうなの?」←試してみた
「メーカーから金でももらってんのか?」ってくらいカルト的な人気がある音楽製品ってありますよね。
今回ご紹介するAMATERASのライントランスもそういう類の製品です。
どこかうさんくさい謳い文句、やたら絶賛しているレビュー群(数は少ないですけど)、ちょっとサイケなHP……となかなか信用するには勇気のいる製品なので、使ってみました。
今回レビューするのは以下の二つです。どちらもニーヴくんと呼ばれています。二つ買っちゃいました。てへ。
LineTrans 1ch.OEP/Carnhill/AMATERAS 0001 (カーンヒル製トランス、¥23,800)
LineTrans 2ch.LUNDAHL/AMATERAS 0001 (ルンダール製トランス、¥25,300)
1 どんな効果が見込める製品なのか?
これは「電気を一回磁気に変換して、磁気から電気に戻す」という迂遠な機材です。
「なんでわざわざそんなことすんの???」と思うでしょうが、そうすることでわずかに音が劣化するから、と理解しています。
劣化、というと悪いイメージがあると思いますが、作曲の経験がある方なら「劣化させた音の方がなじみやすい」という感覚をお持ちかと思います。
(というか、逆に「シンセやピアノ音源の音が良すぎてなじまない」という経験に置き換えてもいいでしょう。超あるあるですね…)
レコーディングスタジオにあるアナログ卓のコンソールには1chごとにトランスが搭載されていて、先述の「劣化」と「アナログ部品なので左右のわずかな音量差」があって音同士がぶつかりにくくミックスがしやすいと言われています。
それらを再現したプラグインもあるくらいですしね(Brainworx bx_consoleシリーズなど)。
「いらない行程なのでは?」と訝しむ気持ちもわかりますが、そもそも過去の名盤と呼ばれる楽曲は磁気テープを使用して録音していたわけで、トランスで磁気に変換すること自体は突飛なことではありません。
2 各機種ごとに音レビュー!EQ的な使い方がオススメ
前置きが長くなりましたが、どう聞こえるかを記します。
私の感想ですし、入力する音量によっても違いますので参考程度に。
繋げ方はマイク→マイクプリ→ニーヴくん→EQ→ADC→オーディオIFとしています。
コンプを入れる場合は、ニーヴくんの前に入れるのがオススメだそうです(公式Twitter)。
①LineTrans 1ch.OEP/Carnhill/AMATERAS 0001
・わずかに低音寄り。
高音が埋もれる感じこそないんですが、低音が大きくなるので相対的にちょっと暗くなるかもしれません。
・音はじわっとボケる。
歌っているうちにマイク位置がズレても気にならない音になるので、結果として良いテイクが録れる感じ。
・音が太い
ボーカルの口がデカくなったような、低域の広がりがある感じ。ハードウェアのコンプをリダクションせずに通した感じに近いです。
②LineTrans 2ch.LUNDAHL/AMATERAS 0001
・中高音寄り。
低域は顕著に減る。マイク入力では「ローカットかけるほどでもないけど低域少なくしたい」ということがよくあるので、結構使いやすいです。
・音はシャープ
何も通さない状態よりはにじむ感じがありますが、シャープです。YOASOBIとかのシンセマシマシのオケでボーカルに使いたい感じ。
・太さは感じにくい
一聴では「ただ低域軽くなっただけやんけ!」と思いがちです。
③組み合わせて使ってみる
・ルンダール→カーンヒルの順で繋いでみた印象
低域の存在感はかなりあり、また(通すと音が大きくなる分)にじむ。
結構ビンテージっぽさはあるけど、ボーカルには大仰すぎて「これプラグインかけすぎ?笑」ってなる感じ。ギターやシンセなら良いかもしれません。
・カーンヒル→ルンダールの順で繋いでみた印象
低域が削られるからか、ボーカルに使っても良い感じが出ます。
ちょっとしたボケとシャープさがあるので「ビンテージでっせ!」よりは「素性のいいモダン機材で録りました!」みたいな感じが出るのが気に入っています。
3 総評
私はわりと好きな製品です。
歌も心地よくなりますし、またコンプのノリが良くなる(倍音が出ているから?)のも感じています。
しかし、必須なのかと聞かれれば、これは完全にNoだと思います。
初心者の場合、「良い音とは何か?がわかっていない状態」でとりあえず追加してもわかりにくく、インプットを突っ込んで極端な音になっていても「お金を払ったからには良くなっているに違いない」と思い込んでしまいがちです。
この機器はインプットの量だけで効きを調節することになるので、後段の機器で音量調節の必要があるシーンが多いんですが、「オーディオIFしか持っていない」という方にも勧めにくい。
(波形上では割れていなくても、ADCの段階で音割れを起こすこともあり、ADCに入る前にコンプ等で音量を下げられると安心して使えます)
もし勧めるとしたら、
①ある程度自分の耳で「ちょっと飽和してるかも?」などが判断できる
②後段にEQやコンプなど音量調節できる機器がある
③どうしても安く済ませたい
④有名な機器ではないので、ミキサーに「変な機材は外してください💢」と再録を要求されても泣かない
上記すべてが飲み込める方ならオススメできます。