見出し画像

WAVDSPの「Analog Creator 34N128」がアナログな暖かい音を簡単に作れる

 お疲れ様です。
 イーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)です。

 今回はVSTプラグインであるWAVDSPの「Analog Creator 34N128(アナログっぽい音を作るプラグイン)」を紹介します。

1 WAVDSPについて

 普段、デベロッパーについて話すことはあまりないのですが、あまり知られていないので書いておきます。

 WAVDSPはどこかの国のデベロッパ。
 いやここで「フランスの…」とか言えばおしゃれな気がして音も良く聞こえるかもしれませんが、それは完全に気のせいなので余計な先入観は捨てましょ。俺も調べてないし。

 得意とするのは「アナログっぽい名機のエミュレーション」だと思います。
 無料ダウンロードでもLA-2A(オプトコンプ)のエミュレーション「MAGIC 2A」、1176(FETコンプ)エミュレーション「MAGIC 76」などを出しています。
(ただ、私のFL STUDIOでは動作が超不安定だったので私は使っていません)

WAVDSP - Fusion Intelligence

 また、私がこのデベロッパを知ったのは「Fusion Intelligence」というプラグインです。
 これは「アナログ機材を通したようなドライブ感・ミッドサイド・トランス通したような分厚さ」を付与できるもの。また、マスター用の上品な低域と高域のEQも付いています。

 これの何かすごいのかというと、SSL(SolidStateLogic)のFUSIONというチャンネルストリップのアナログ回路をイメージしているところ。
 今、各プラグインメーカーが模倣している名機は50年前くらいの機材だったりするわけですが、FUSIONは2019年あたり機材。良い噂は聞きますが、まだプラグインが発売されるような知名度は得ていません。

SSL(SolidStateLogic) - FUSION実機 約40万。

 なんとなく似ているのがわかるかと思います。
 意匠権などで似せられないのだと思いますが、トランスを通すかどうか決められたり、VINTAGE DRIVEとしてドライブの量と質を決められたりしているのをプラグインで再現しているのでしょう。

 まだ出たばかりで半額だったので、買ってしまいました。
 こちらは「効果が絶対わかる!」という代物ではなく、マスターに掛けてやんわりとしたコンプ感と高域の鈍りを感じる程度のものなので、そういう意図でなければ購入は薦めません。

2 WAVDSP - Analog Creator 34N128 とは

WAVDSP - Analog Creator 34N128

 ややこしいですが、
・WAVDSP社製の、
・Analog Creatorというカテゴリの、
・34N128という商品
 です。

 商品名の「34N128」はわかりにくいですが、これは元ネタが「Neve34128」という意味。まぁ型番そのまんまは使えないってことですね。

 んじゃあ「元ネタのNeve34128ってなんじゃい」って話じゃないですか。ですよね。ああー良かった同じ気持ちで。

Neve34128(スタジオコンソール)

 詳しいことは丸パクリブログさんにお投げしますが(適材適所)、要するに「伝説のエンジニアが金に糸目を掛けず作ったミキサー・コンソール」です。
 なんと中のトランス(電気を磁気に変えてまだ電気信号に戻す装置)を一本一本聞いて選りすぐったというヤバい人。それがニーヴさんです。
(マリンエアというトランスなんですが、未だに中古相場数万円します。一部品で)

「コンソールを通しただけで音が厚くなる」と言われていて、実際トランスは通すだけでも音は変わります(過去記事)。

 まぁそんな「コンソールを通した音をエミュレーションしたでー」ってのがこのプラグイン。
 いやまぁ、本物よりも大袈裟な音にはなっているのでしょうが(こんなに変わってたまるか)、かなり音が変わる。

(1) 使い方

①「CLASSIC」と「ANALOG+」
・CLASSIC…マイルドな効きです。とはいえ結構音は変わります。
・ANALOG+…キツめに効きます。低域がボワつく傾向ではありますが、太く、暖かい音です。

②ANALOG COLOUR
・低域の太さが出たまま、徐々に高域が出てきます。
・EQよりも超ジェントルかつ、ゲインも上がるのでわかりにくい。
・キンキンしない程度に使いましょう。

③INPUT TRIM
・上記①と②をかけると音量が増大します。
・なんとANALOG+にしてANALOG COLOURをMAXにすると6dBも上がります。上がりすぎやろ。アガリクス茸か。
・なので、INPUT TRIMを下げましょう。

(2) 測定

プラグインを測定するプラグイン。メタ構造。

 注目して欲しいのは、高域側(右側)。二股に別れているかと思います。
 コンソールは1chごとに膨大なアナログ部品を組み立てているものなので、どうしても左右の音(2ch)に差異が生まれます。
 高域がメーター上目立つだけですが、もっと低い帯域から左右の音が違うので、それが1chで録った楽器(ボーカルなど)にかかると左右への広がりがある音になります。
(左右がまったく同じ音だとモノラルと変わりませんが、わずかに音が違うとふわっと広がりがある音になります)

 これ自体はあまり珍しいものではなく、Plugin Allianceの「Brainworx bx_console」シリーズも似た構造になっています。
 ただ、「34N128」の方が自然なステレオ感・太さがインサートするだけで得られるのはとてもいいですね。
(DTMで苦労する「自然なステレオ感」と「太さ」が簡単に得られるのは時短かつ様々な兼ね合いを考慮しなくて結構楽です)

3 むぁとめ(まとめ)

 UADを導入した際は「もうネイティブプラグイン買うことはなさそうかな」と思っていましたが、久々のゲームチェンジャーでした。

 特にボーカル、ポストプロダクションでも「34N128」をかけてから声のEQがいらなくなったりします。いやぁベタ褒め。

 まだレビューされていないですし、マイナーデベロッパなのでさほど流行らない気はしますが、声の細さに悩んでいる人とかは一発で解決したりします。
 まずはDEMOからやってみてもいいかと。


いいなと思ったら応援しよう!