不定期連載小説『YOU&I』23話
中野と市ヶ谷が楽しそうに二人でゲームをしている。そんな様子を後ろから観戦する國立。
自分自身、ゲームは苦手だったので観戦側に回れて一息つけると思っていた。
しかし、確かに気は楽になったのだが、どこか落ち着かない。心の中がざわつき、時折ぎゅっと締めつけられるような感覚が襲う。
(……? な、何なんだ?)
國立自身、この感覚が何なのか理解出来ずにいた。中野の家に来てから終始落ち着いてはいないが、その緊張感とはまた違う。
心に棘が刺さったような痛み。
不思議に思いながら二人を観戦していると、神田が隣に来て話しかけてきた。
「凄いよね、この二人。私もゲーム少しは自信あったけど、この二人には敵わないね」
「う、うん。俺も昔このゲームやったことあったから少しは出来るかなって思ったけど、全然ダメだったよ」
「そうなんだ。……まあでも誰がやってもこの二人には敵わなさそうだけどね」
「そんなに凄いんだ」
「うーん、ゲームっていうより、この二人っていつもふざけあってるんだけど、何だかんだ気が合うって感じでね。こうやって競い始めたらもう止まらないよ」
「……冬真と中野さんって元々仲が良いの?」
「そうだね。きっかけは忘れちゃったけど、知り合ってからはすぐ仲良くなってたよ。波長が合うんだろうね」
「……そ、そっか」
神田の話しを聞いて、國立の心には更に大きな棘が刺さった。それと同時に、この痛みの原因も理解する。
(……冬真だ。冬真と中野さんが仲良くしているのを見ると、心臓が痛い)
二人で楽しそうにゲームをしている二人の後ろ姿を見て、ハッキリと分かった。
市ヶ谷に対しての嫉妬心というものが自分の中に芽生えていることに。
▶To be continued
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