【マンスリー・ラプターズ 2024年12月号】24卒ルーキーたちについて語る
みなさんこんにちは。こんばんは。サイコロチキンカツです。
現地11/2のSAC戦に、ラプターズはレジェンド、ビンス・カーターの永久欠番セレモニーを行いました。また現地11/21には、ラプターズのマスコットである「ザ・ラプター」がカーターの伝説のダンクコンテストを模したイラストの描かれた、シティコネクトのユニフォーム・コートが登場しました。まだまだ話題に事欠かないラプターズですが、今後はどのような成長を見せてくれるのでしょうか。
それでは本日のお品書きです。
目次
はじめに
若手選手を中心に成長を見せ続けるラプターズですが、課題はまだまだ多く、怪我人の影響もありはしますが、ロスターも不十分に感じてしまう場面もあります。今回のnoteでは、そんな状況のチームを早くも支えているルーキーたちに焦点を当てていきたいと思います。
前回のnoteをご覧になっていない方は、併せて見ていただけると幸いです。
11月振り返り
月間試合成績
11月のラプターズのチーム成績は、4勝11敗でした。勝敗という観点ではかなり壊滅的ですが、それぞれの内容はそこまで悲観的なものでもありません。負けた11試合のうち、得点差が5点以内だったものは4試合、10点以内だったものは7試合と、自分たちより順位が上のチーム相手にも接戦で食らいつくことができています。
加えてポジティブな要素としては、出場しているプレイヤーの成長が目に見えるところ。特に注目すべきは、昨季からスタートで出場しているバレットとヤコブ。彼らは11月終了時で以下のような成績を残しています
PTS:22.9 REB:6.3 AST:6.3 STL:0.9 (17/20試合 34.3分)
PTS:15.9 REB:11.9 STL:1.1 BLK:1.3 (20/20試合 32.3分)
上であげた選手以外にも、ディック・オチャイの2,3年目の選手が躍進していること、ルーキーのたちが、自分たちの持ち前の技術を発揮できていることを考えると、ラプターズが取り組もうとしていることが決して間違っているとは思えません。
さらに、バーンズが怪我から復帰し、9試合でPTS:20.4 REB:8.6 AST:6.8 STL:1.6 BLK:0.7という成績を残していること、ジャコビ、オリニクのNBA復帰も間近であることを考えると、12月以降はさらにチームが勢いづくのではないでしょうか。
月間MVP
私が選ぶ11月のMVPはヤコブ・パートルです。
元々怪我しがちな選手であっただけに、あまり期待を抱けずにいましたが、今シーズン(少なくとも11月時点)の彼は一味違います。先ほども紹介しましたように、彼は11月の全試合に出場し、PTS:16.6 REB:11.7 AST:2.4 STL:0.9 BLK:1.0という成績(10月は含まない)を残しました。昨シーズン平均のPTS:11.1 REB:8.6 AST:2.5と見比べると、彼の成長がより一層感じ取れます。
特に、目を見張るべきはインサイドにおける積極性の変化。彼は今シーズンここまでの全試合を通して、FGA:11.6(11月はFGA:12.1)とこれまでのキャリアの中でずば抜けて最多。FG%:59.5と他のシーズンと比べると、若干低くはなっていますが、それでもこのシュート効率のおかげで得点は現時点でキャリアハイ。実際に彼のプレーでは、ピックアンドロールからだけではなく、自らリムアタックを仕掛けて点数を取ることも増えています。
さらに彼は11月終了時点で、REB:、OREB:という数字を残しています。REBはリーグ全体で5位、OREBに関してはリーグ全体で1位と、その影響力を遺憾なく発揮しています。このままの成績をキープし続けることができれば、自身初となるオールスター選出も見えてくるのではないでしょうか。ラプターズが12月以降のシーズンをうまく過ごすことができるかは、インサイドを支配しているヤコブに懸かっていると言っても過言ではありません。
それでは、11月までの振り返りを終えたところで、今季新たにチームに加入したルーキーに焦点を当て、A~Eまでの5段階で評価を行います。なお、このnoteを作成している期間が12月後半であるため、12月の印象的なスタッツについても併せて触れていきたいと思いますが、あくまでも評価の対象とするのは11月終了時点で終わったことまでとします。
ルーキー評価
① Ja'Kobe Walter
評価:C
今季のラプターズが唯一、ドラフト1巡目で指名したのはジャコビ・ウォルター。彼はシーズン開幕前のけがの影響を受けて現地11/29のMIA戦まで、たった6試合のみの出場となりました。うち、2試合にはスタートで出場するなど、ダラコHCからの期待が見てとれます。そんな彼は11月の6試合で、平均17.0分の出場で、PTS:5.0 REB:4.2 AST:1.7という成績を残しました。
スタッツに表れませんが、彼の良いところの1つは、ハッスルプレーを厭わずできるところ。ルーズボールにも果敢に飛び込み、DFにも集中して取り組んでいる様子が見られます。また、シュートタッチに波はありますが、彼は現地11/27のNOP戦で、PTS:14 REB:11 AST:5とキャリア初となるダブルダブルを記録しています。
他のチームで活躍している同ドラフトクラスの1巡目選手たちと比べてしまうと、やや物足りなく感じてしまいますが、まだ20歳のルーキーであるため、そこはご愛嬌。これからの活躍に期待です。
現地12/9のNYK戦ではキャリアハイを更新する19得点、そして現地12/22のHOU戦ではそのキャリアハイを更新する27得点を記録しています。いずれの試合においても、FG%:50.0かつ3P%:40.0を上回る効率を見せ、そのシュートの不安定さが改善しつつある様子もうかがえます。今後もさらなる飛躍が見られることでしょう。
② Jonathan Mogbo
評価:B
今季のルーキー陣の中で1番出場時間が多いのは、このジョナサン・モボ。彼は11月終了時点で20試合すべてに出場し、PTS:5.2 REB:4.2 AST:1.5という成績を残しています。スタメンで出場したのは、たったの1試合のみですが、平均11.6分に出場し、その役割を果たしています。
オリニクの怪我、ロスターのインサイド不足の影響もあり、シーズン開幕戦から、彼はインサイドにおいて重要な役割を果たしています。特に評価されるべきはそのDF。ペイントエリアで相手のPFやCを抑えるだけでなく、ピックアンドロールでスイッチした際にも、G相手についていくことができます。STLやBLKのスタッツには表れていませんが、彼がチームのDFに貢献していることは、試合を見る限り間違いありません。
一方OFにおいては課題が山積みです。11月終了時点でFG%:48.7と悪くは見えませんが、ミドルレンジや3PTでの試投は少なく、3P%:33.3とお世辞にもその効率がいいとは言えません。また、最近ではCと起用されることもありますが、サイズ不足は否めません。彼がPFやCとしてより強みを発揮するためにはDFだけでなく、シュートのアテンプト数やその確率を上げることは不可欠でしょう。
少し厳しいことも書きましたが、こういった意見が出てくるのは期待している証。特にDFとしての役割は大きなものであり、チームにいい影響をもたらしているので、この調子で成長を続けてもらいたいものです。
③ Jamal Shead
評価:B
なんと3か月連続で私のnoteに登場しているジャマール・シェッド。彼も先ほどのモボと同様に、11月終了時点で全ての試合に出場し、バックコートを支えています。スタメンとしての出場は未だ果たしておりませんが、彼は、PTS:4.8 AST:3.2 STL:0.5という成績を残しています。
開幕5試合の、PTS:8.2 REB:1.2 AST:5.6 STL:0.6という成績と比べると見劣りはしますが、それは出場時間の減少による影響が大きいのではないでしょうか。彼は開幕5試合で101分出場(1試合当たり20.2分)していますが、11月の全15試合では199分の出場(1試合当たり13.2分)となっています。
出場時間が減少した原因は、単にシェッドの実力不足というわけではないと私は考えています。もちろん、期待をはるかに上回るパフォーマンスを残せば、出場時間も増えるでしょう。しかし、試合を見ていても彼のパフォーマンスが明確に低下したようには感じられず、むしろDFやエナジーという点ではチームを牽引しているように思えます。こういったベンチからでもチームを盛り上げることのできる選手は、存在そのものが貴重になってきます。
むしろその要因は周囲の環境的なもので、デイビオン・ミッチェルのPT増加と、スコッティ・バーンズのPG化計画の2つにあると考えています。まず、デイビオンのPT増加に関しては、デイビオンが今期でルーキー契約終了となることから、「シーズン中のトレード価値を高める」あるいは「来季への見込みを立てる」を立てるという意図があるのではないでしょうか。また、バーンズのPG化計画は、1・2年後に本格的にコンテンダーとなるための準備であると予想ができ、こちらも不可避であると考えられます。
ここにIQが戻ってくるとなると、さらに居場所が少なくなってしまうかもしれませんが、彼の力はチームに必要となるはずです。12月からはGリーグで出場する機会も増えていますが、こういった機会をものにしつつ、ぜひNBAでも出場機会を今以上に勝ち取ってもらいたいです。
現地12/22のHOU戦において、キャリアハイとなる10アシストを達成しました。同時に11得点を残したことで、自身初となるダブルダブルも達成することができました。少ない出場機会ながらしっかりと自分の力を示していると思います。
④ Ulrich Chomche
評価:D
全体57位指名権で獲得した、最年少ルーキーのユーリッチ・ショムシェ。彼は5試合をNBAで滞在したものの、今シーズン試合に出場したのは開幕戦のみ。11月までのほとんどをGリーグで過ごしています。出場した試合も、ガベージタイムの4分のみの出場に留まっています。
ラプターズ905で多くの時間を過ごす彼は、11月の8試合で平均21.9分出場し、PTS:6.8 REB:5.9 AST:0.5 BLK:2.8を記録しました。特にブロックはBリーグ内でもトップ格であり、インサイドでのDFにおける支配力を発揮しつつあります。
現状NBAでの出場がほとんどない分、評価のしづらい選手ですが、Gリーグでは徐々に頭角を現しつつあること、今季で19歳を迎えるまだまだ若いプロスペクトであることを考慮に入れると、悪くない成績を今のところ残しているのではないでしょうか。(フロントもそのことを前提にドラフトで獲得、かつtwo-way契約を結んでいることでしょう。)彼がどんなキャリアを歩むのか、その予想は難しいですが、これからの活躍には目が離せません。
⑤ Jamison Battle
評価:A
今季ドラフト外からtwo-way契約でラプターズへと加入したジャミソン・バトル。彼はtwo-way契約であるにもかかわらず、ほとんどの時間をNBAで過ごし、20試合中19試合に出場しました。その中で平均14.0分出場し、PTS:6.3 REB:2.1 AST:0.9を記録しました。
何と言っても特筆すべきは彼の3PT。彼は11月までの19試合で、27本の3PTを41.5%で沈めています。またFG%:47.2(42-89) FT%:81.8%(9-11)と試投数はそれほど多くないものの、いずれも高確率です。彼が安定してアウトサイドからシュートを決めてくれることが、今のラプターズにとってどれほど頼りになることでしょう。
しかし彼の弱点としては、キャッチアンドシュート以外のOFの選択肢が少ないこと。実際に11月のショットチャートを見ても、3PTかペイント内でのシュートがほとんど。また、3PTからのバリエーションも多いわけではなく、3PTさえ警戒すれば得点につながらない、という場面も多いです。ここからどれだけ得点のオプションを増やせるかが、彼の躍進のカギとなるのではないでしょうか。
彼は今季23歳を迎え、ルーキーにしては少し年齢が高いですが、現在彼が残している成績は素晴らしいものです。しかも彼はtwo-way契約であるため、チームのサラリー的な負担もほとんどありません。まさに今ドラフトクラスのSTEALと呼ぶことができるのではないでしょうか。今後の活躍にも要期待です。
彼は現地12/23のNYK戦で27試合目の出場となりました。two-way契約は50試合しかNBAに帯同できないため、彼の去就についても注目が集まっています。個人的にはぜひ彼に滞在してほしいですが、そうなると現ロスターの誰かがDFAされることに。そういったチームのやりくりにも要注目です。
さいごに
怪我人が多いこともあって結果が伴わない現状を考えると、本日紹介したルーキーたちのプレー時間が今後さらに増えることが予想されます。プレー時間が増えることで、一人でも覚醒する選手は表れてくれるでしょうか。そしてNBA All Rookie Teamに選出される選手は出てくるのでしょうか。今後の彼らの活躍にも目が離せません!
ということで最後になりましたが、非常に長く拙い文章を読んでいただき、ありがとうございました。次回以降の【マンスリー・ラプターズ】もご愛読よろしくお願いいたします。
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それではsee u next time!
出典
今回は主にbasketball referenceより引用しています。各部分にハイパーリンクを添付していますので、詳しくはそちらをご覧ください。
ヘッダー画像はToronto Raptors公式Xより引用しております。