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【マンスリー・アオカケス 2024年11月号】2024シーズン ブルージェイズTier表(投手編)

ご覧いただきありがとうございます。
サイコロチキンカツです。


時の流れは早いもので、1年のうち3/4が終了してしまいました。それに伴うかのように、プロ野球界隈は2024シーズンの終わりを迎え、MLBではロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズを、NPBでは、横浜DeNAベイスターズが日本シリーズを制しました。シーズンも終わってほっと一息。という期間に本noteに目を向けてくださった皆様。ありがとうございます。
本日のお品書きとなります。


はじめに

本noteは【マンスリー・アオカケス 2024年10月号】の続編となるべく、2024シーズンの投手の振り返りを行います。野手同様、多くの動きのあった投手陣ですが、2023シーズンと比べるとかなり物足りない成績となってしまいました。そんな投手陣の振り返りとして、Tier表を作成してそれをみなさんに共有させていただきます。
前回のnoteをご覧になっていない方は、併せて見ていただけると幸いです。

*注意点

・本Tier表は TIERMAKER のテンプレート、2024 Blue jays Tier List Makerを基に作成しております。そのため、一部の選手がTier表に登場しません。(このテンプレートが9/15に最終編集されているため、シーズン途中で他チームに移った選手は反映されておらず、また9/16から9/30までの間にAAAとの移動があった選手は反映されておりません。ただし、今シーズンのブルージェイズを語るうえで欠かせないジャリエル・ロドリゲスは追加しています。)
・同Tier内での評価は左>右の順で高くつけております。
・本Tier表を作成するために、閲覧したデータやサイトは全てページ下部に「出典」として記載しています。
・本Tier表は完全な主観に基づいております。あらかじめご了承ください。

Tier表

それでは早速、個人的Tier表を発表したいと思います!



・2024シーズン ブルージェイズTier表(投手編)

こうして写真を集めてみると、野手と比べてみてまだメンバーの移動は少なそうです。特に先発陣に関しては、昨シーズンのローテーションにいた選手のうち、3人が今シーズンも最後まで投げ切ってくれました。これは本当に素晴らしい!しかし、全体的には成績が悪化しており、それが顕著にみられたのはリリーフ陣。今季は、打線・投手ともに結果を残すことができず、シーズン前半は目を覆いたくなるような試合も数多くありました。

その結果、野手・投手ともにTDLにて、いくらかの選手を放出する結果となりました。そこでトレードの弾となったのが、我らがクソヤギこと菊池雄星や、リリーフの要のガルシアとピアーソン。また、TDL前にはDの意思を継がないシュナイダーこと、ジョン・シュナイダーのお気に入り左腕、メイザがDFAされました。そんな彼らに向けて、私から餞の言葉を一言ずつ。

・ブルージェイズ中退生たちに贈る言葉

クソヤギ(菊池雄星):左の速球派として先発ローテーションをしっかり守ってくれました。1年目は正直何をしてんだと思ってましたが、2年目以降実力で見返してくれて嬉しかったです。あなたがブルージェイズのメンバーだったことは一生忘れません。これからも偉大な日本人として世界に名を轟かせてください。#菊池雄星はクソヤギだ。彼を軽視しない方がいい。

ガルシア:3シーズンにわたってTORのブルペンを支えてくれた中でも、今シーズンは圧倒的でした。怪我や不調の選手が多い中、大黒柱としてブルペンを引っ張ってくれました。SEAに行ってからはあまり出場できていませんが、怪我を乗り越えて今シーズンのような活躍を見せてください。

ピアーソン:『100マイルのストレート♪』でおなじみだったピアーソン。CHCにトレードされてからも、その活躍を目にする機会もあり嬉しかったです。特に今永→ピアーソン→ホッジの3人で継投ノーヒット・ノーランをした試合は、MLB Frashback Momentでも取り上げられていましたね。カブスでの成績を維持できるよう、来期以降も頑張ってください。

メイザ:6シーズンにわたってTORのブルペンを支えてくれてありがとう。特に昨シーズンの69試合に登板して、防御率 1.52という素晴らしい成績は圧巻でした。しかし今季は不調が続き、NYYにトレードされたことはとても悲しいです。ただ、「昨日の友は今日の敵」だからなぁ!?来期はうちのゲレーロちゃんがぶっ飛ばしてやるからなぁ!?(改めて今までありがとう)

(数試合しか出場してない選手は省略させてくれ。すまん。)

では話を戻して、Tier表をもう一度。

ということで、ここからは簡単な理由とともに各Tier帯を見ていきたいと思います。全16選手について触れるには莫大な時間がかかるため、あくまでも基本的なスタッツ(*)と、観戦した上での感想に焦点を当てて紹介したいと思います。また、投手のTier表は野手のものと比べてかなり主観が入っております。予めご了承ください。

*今回主に用いるスタッツは、試合・イニング数、勝敗、防御率です。あと言及したいと思ったものにも追加で触れていることがあります。特に、防御率は全員の感想で紹介していますが、絶対的な指標ではなく、あくまでも1スタッツに過ぎないという認識で書いています。ご理解ください。

感想戦

S Tier

Jose Berrios

今シーズンは開幕投手に指名され、チームのエースとして名乗りを上げたべリオス。32試合に登板し、16勝(リーグ3位) 11敗 防御率 3.60という先発として十分な成績を残しました。2022シーズンから徐々に環境に適応したためか、その成績は年々向上しています。今シーズンはリーグ全体で7位となる192.1回に登板し、自身キャリアハイかつリーグ全体で6位となるQS 21回を達成しました。

ウィーラーのQS 26回てなにごと!?

また、シーズン最初の5試合を通して、防御率 0.85という素晴らしい成績を残しました。これはTORのフランチャイズ史上、最低防御率の記録となる素晴らしい記録です。その後も好調を続け、結果としてア・リーグ月間最優秀投手に輝きました。その時点での成績が、43.2回を投げて防御率 1.44 bWAR 1.7 31奪三振という圧巻の内容。

素晴らしい成績を残したべリオスですが、喜ぶことのできる数字だけを残したわけではないありません。今季は31本のHRを被弾しており、これはリーグ全体で2番目となる多さになります。実際、試合を見ていてもHRによって点を奪われることが多く、それが決勝点となるという試合もありました。単純な計算にはなりますが、来季は被弾数を減らすことができれば、彼の成績は一層よくなり、CY YOUNG賞も射程圏内に入れることができるのではないでしょうか。

クロフォード頭1つ抜けてるね(ノラ以下も全て1本刻み)


A Tier

Bowden Fransis

今回Tier表を作成する中で、一番評価に困ったのがこのフランシス。その理由はシーズン前半と後半で、スタッツがあまりにも大きく異なるため。今シーズンの開幕をMLBで迎えたフランシスですが、怪我の影響もあってか、シーズン前半では結果を出すことができず、現地7/14にはブランドン・アイザートとの交代でAAAに送られてしまいました。その時点では、16試合で38.2イニングを投げ、3勝2敗 防御率 5.82WHIP 1.47という成績で、そのうち先発登板したのはたったの3試合。シーズン開幕当時はジャリエル・ロドリゲスが怪我でチームを離れていたため、ローテーションを守ることが期待されていましたが、結果としてはフロントが望むものとはなりませんでした。

編集でくっつけたら見にくすぎた…(FanGraphsより引用)

しかし、現地7/29にMLBに呼び戻されてからは、まさに"覚醒"と言える変化を見せてくれました。8月は6試合に登板して34.1イニングを投げ、防御率  1.05 WHIP 0.41。そして9月は4試合に登板して25イニングを投げ、防御率 2.16 WHIP 0.72 BB% 3.2という文句なしの成績を残しました。また8月・9月に1度ずつ、8回までノーヒッターを貫くピッチングを見せる(いずれも9回登板時に快挙ならず)など、絶大なインパクトを残しました。その結果、8月にはア・リーグの月間最優秀投手に輝きました。この「カムバック」により、彼の名はブルージェイズファンだけでなく、MLB全体に行き渡ったことでしょう。

後半の成績だけ見れば、文句なしのS Tier。しかし、AAAに送られる前の成績を考慮すると、べリオスよりも劣ると考えて今回はA Tierに置きました。球数が増えるにつれて球速が落ちてしまうことや、昨シーズンと比べて全体的に球速が落ちていることなど、課題は残っているものの、来シーズンもローテーションの一角を担ってもらうだけの期待は十分にできます。

4シームの球速の低下が著しいのがやはり不安(baseball savantより引用)


Chad Green

昨シーズンに宿敵ヤンキースからやってきたグリーン。今シーズンはガルシアのトレード、ロマノ・スワンソンの怪我などもあり、崩壊目前だったブルペンを主体となって支えました。今季は53試合に登板し、7ホールド 防御率 3.21 WHIP 1.03という記録を残しましたまた、ロマノの離脱によって守護神的な役割を任されることも多く、キャリアハイとなる17セーブを記録しました

セーブ機会20で17セーブはすごい

防御率が3.21と聞くと、A Tierにしては過大評価のように思えますが、ここで彼の8月までの成績に注目してみましょう。彼は8月終了時点で、防御率 1.61 WHIP 0.79という圧巻の一言。しかし、9月に入ると調子を崩してしまい、成績は上で紹介したようなものとなりました。

こちらもまとめておきました(FanGraphsより引用)

総合的に見て、「A Tierに"間違いなく"値する」かは判断が難しいです。しかし先述しましたように、ブルペンに怪我や動きが多かったこと、それによって自分の役割が急遽大きくなった中、以上の成績を残したことを考慮すると、十分な役割は果たしてくれたと個人的には思います。実際、彼はその貢献度が評価され、彼は現地10/22に「ア・リーグ カムバックプレイヤー」のファイナリストにノミネートされました。契約は来季まで残っているチャド。もしチームの成績が向上しない場合は、TDLでの放出も予想されますが、できる限り来季もブルペンを支えてもらいたいものです。


B Tier

Kevin Gausman

現チームの大黒柱的存在のガウスマン。昨シーズンはCY YOUNG賞候補に挙げられるほどの成績を残した彼ですが、今シーズンは少し調子が下降気味でした。シーズン開幕時は、コンディション不良によって開幕投手をべリオスに譲ることに。そしてシーズンを終えてみれば、14勝 11敗 防御率 3.83 奪三振数 162という成績を残しました。昨シーズンの12勝 9敗とだけ比べると、全く悪い気はしませんが、防御率 3.16 奪三振数 237という結果と比べると少し見劣りはしてしまいます。

去年のストライダーえぐすぎですやん…

しかし、見劣りはするといってもそこはガウスマン。シーズン開幕投手にはならなかったものの、1週間後には復帰し、全31試合で181イニングを先発として投げ切りました。そして31試合のうち、QS 16試合 HQS 7試合 完投 1試合 完封 1試合と、先発としては十分な役割を果たしました。今回、B Tierに置いたのも、彼に対しての期待が少し大きすぎたというのも理由としてあります。

複数回完投できたのはフリード、ガウスマン、サンチェスのみ!
べリオスも実は1回完投してた

来シーズンを34歳で迎えることになる彼は、そろそろ成績が下降し始めてもおかしくありません。baseball savantによると、彼の球速(fastball, offspead, breaking)は全体的に昨年と比べて下がっており、特に奪三振率が9.7%低下していることが気になります。とはいっても、ガウスマンはチームのエース級ピッチャー。まだまだCY YOUNG賞を受賞する可能性もあると私は信じています。実際2022年には、当時HOUに所属していたジャスティス・バーランダーが39歳にしてCY YOUNG賞を獲得しているので、34歳を迎えるガウスマンが不可能、なんてことはないでしょう。(まぁバーランダーはバグだけど。)TORとの契約が続く残り2シーズンの間に、彼がキャリアハイを更新する、そんな光景をぜひ目にしたいものです。

ブルージェイズに来てから約1mphくらい球速落ちてる(baseball savantより引用)


Ryan Yarbrough

今季、TDLにてLADからやってきた左腕のヤーブロー。実は、個人的に一番評価したいのがこの選手。彼はKKの対価としてTORにやってきてから、12試合に登板し、防御率2.01 WHIP 0.80という数字を残しました。特筆すべきは、そのイニング数。彼は12試合の登板の中で、31.1イニングを投げぬき、うち8試合では2イニング以上を投げる、というロングリリーバーとしての役割を全うしました。

勝ちが1回しかつかなかったのが惜しく感じる(FanGraphsより引用)

中でも個人的に彼のハイライトとなるのが、現地8/22のLAA戦。この日、ブルージェイズはブルペンデーであり、先発を務めたのはバー。1回を無失点で投げ終え、2回からはこのヤーブローがマウンドに上がりました。そこから彼は、6回までの5イニングを無失点被安打 3)で投げぬき、この日の勝ち投手となりました。ブルペンデーを強いられるほど、先発の確保に苦しんでいた当時のブルージェイズにとって、彼が複数イニングを投げてくれることはどれほど心強かったでしょう。

しかし衝撃的なことに、ブルージェイズは彼との再契約を行わず、現地10/31に彼はFA戦士となることを選びました。間違いなく今季後半のブルペンを支えてくれた1人であるだけに、彼がチームに残らなかったことは残念で仕方ありません。来季は33歳でシーズンを迎えるヤーブローですが、まだまだ活躍の場は与えられることでしょう。彼がどのチームに行っても、私は今後の成績に期待しております。


Genesis Cablera

ドミニカ出身で荒々しい左腕のカブレラ。彼は今季チーム最多となる69試合に登板して14勝 11敗 13ホールド 防御率 3.83という成績を残しました。彼の成績の中で、毎月10試合以上登板し、一定の結果を残したことは特に評価に値する部分です。最も多くの試合に出場し、1年を通してリリーフとしての役割を果たした彼は、間違いなく、今シーズンのブルペンの中でのMVP候補の一人でしょう。

リチャーズそんな投げてたっけ!?

そんな彼ですが、シーズン開幕当初は思ったような成績を残せませんでした。今季の4月出場時点で、防御率6.10 WHIP 1.55という決して安心できない数字を残していました。また、現地4/1のTB戦で、持ち前の荒々しい性格が発揮され、サードベース付近でホセ・カバレロと衝突し、口論に発展しました。そしてカブレラは彼を突き飛ばし、"bench cleard"な乱闘騒ぎに。(オイ、ヤメロヤメロー。)結果として、2試合の出場停止処分を喰らい、彼のフラストレーションは溜まる一方となっていました。

しかし、5月以降は徐々に調子を取り戻し、最終的には上記した成績に落ち着きました。来年もぜひブルペンを支えてもらおう…と思っていたところ!ブルージェイズはロスター整理のために、彼をウェイバーに。そして現地11/4には彼がFA戦士となることを選択し、どのチームとも契約可能な状態になりました。先ほどのヤーブロー含め、貴重なリリーフ左腕を2人失ってしまい、チームとしては方針が掴みづらい状態となりましたが、それは彼の今後とは別問題。来期以降の活躍も応援しております。


Chris Bassit

昨シーズン、NYMより移籍してきた"Hound Dog"こと、バシット。35歳で今シーズンを迎えた彼は、31試合に登板して171.0イニングを投げ、10勝14敗 防御率 4.16という成績を残しました。35歳でありながらローテーションを1年間守り抜き、171イニングを投げ切ったことは、さすがベテランの仕事といったところでしょうか。

バシットより下が少なすぎる…

しかし年齢の影響もあってか、成績自体は下降気味。今季の防御率は2016年にOAKで5試合のみ投げたシーズンを除き、ワーストとなりました。また、今季は四球と死球の数がキャリア最多となるなど、彼の持ち味のテンポが乱れていることが見て取れます。特に昨シーズンの、33試合に登板して200イニングを投げ、16勝8敗 防御率 3.60という素晴らしい成績と比べると、どうしても見劣りしてしまいます。とはいっても、現在のブルージェイズで先発ローテを1年間守ってくれることが、どれだけありがたいことか。その価値を無視して彼を評価することはできないでしょう。

23年はイニング数以外にも素晴らしい数字が多い

加えて、彼を語る上で重要な要素がパーソナリティ。彼がチームに加入した2023年から現在に至るまで、「自分の登板した試合でチームが勝利した際、Jays Care Foundationに対して1万ドルを寄付する」という活動を行っています。それだけではなく、彼の寄付金はNike RBI Summer Edition programに対しても使用されており、実際に彼は幾度かそのプログラムを訪れて、様々な場所に顔を出しているそうです。(この内容は以下の記事をまとめたものです。私が重要だと感じたところを訳し、一部を紹介しているため、間違い等あるかもしれません。ご了承ください。全文を知りたい方は以下のリンクにアクセスしてもらえればと思います。)

この社会貢献が評価され、彼は2024年のロベルト・クレメント賞にノミネートされています。フィールド上だけでなく、フィールド外でもトロントという町に貢献し続ける彼に対して、称賛の声を送らずにはいられません。彼に残されたTORとの契約はあと1年。チームの成績によっては、他球団にトレードされることも十分考えられますが、まだまだこのチームで活躍する姿を見たいものです。

チームメイト思いなところもかわちいね


Branden Little

185cm越えなのにこの名前でおなじみのリトル。今シーズンチームに加入した彼は、49試合に登板して、1勝2敗 7ホールド 防御率 3.74という成績を残しました。TOR移籍前にはたった1試合しかMLBの試合に出場していなかった彼が、今季いきなり50近い試合数を投げてこの数字を残したことを考えると、大きな成長と言えるのではないでしょうか。

1試合しか投げてないけど、防御率 40.05はさすがにおもろい

この投手の1つの特徴が、4シームを投げていないところ。baseball savantによると彼の投球の割合は、シンカーが57%、ナックルカーブが31.8%、カットボールが11.2%となっています。平均93mphを超えるシンカーとカットボールを中心に、平均86.7mphのナックルカーブを投げて打者のタイミングを外す。4シームを投げない中で、うまく打者を抑えられていると思います。

月ごとに割合は違えど、シンカー>ナックルカーブ>カットボールは変わってません
baseball savantより引用)

現在、オフシーズンでありながらすでにブルペンが半崩壊中のブルージェイズにとって、来季彼が残留してくれるとなると、プラスに働くのではないでしょうか。28歳ではありますが、MLBでの登板回数もまだまだ少ないため、これから経験値を積んでいくと、さらなる成長を見せてくれるかもしれません。


C Tier

Ryan Burr

今季30歳を迎えた右腕のバー。彼は昨シーズンまでCWSに所属しており、昨オフシーズンにPHIとマイナー契約。そしてシーズン開幕直前にトレードでブルージェイズへやってくるという、慌ただしい1年を過ごしました。そんな彼は、今シーズン34試合に登板して、防御率 4.13WHIP 1.26という成績を残しました。

ビジオくらい、せわしないね

彼が今シーズンMLBで本格的に登板を始めたのは6月。当初はAAAとの移動も繰り返していたため、MLBでの登板はあまりありませんでしたが、7月以降では月平均10試合に登板するなど、その姿を見せる回数が増えました。また、8月以降はブルペンデーの際に、先発を任されることもあり、ブルペン内で徐々に評価を高めていたことでしょう。来季、もしチームに残ってくれるのであれば、その成長には期待したいところです。


Alek Manoah

ブルージェイズが誇る生え抜き投手のマノア。彼は2年前サイ・ヤング賞候補に挙げられるまでの成績を残しましたが、昨シーズンはピッチクロックの影響もあってか大不振。今季こそ復活の1年に!と臨んだ今シーズンの彼は5試合に登板して、1勝2敗 防御率 3.70WHIP 1.03という成績を残しました。少ないサンプル数ではありますが、昨シーズンよりは改善(復活)した姿を見ることができたのではないでしょうか。

2022に目を奪われがちだけど、2021も中々いいな

成績よりも、彼が今シーズン苦しんだのは怪我。彼は右肩の炎症の影響で、シーズンの開幕をIL(15 days)で迎え、4月の間はDunedin→AAAでリハビリを進めました。そして現地5/5にファン待望のMLB復帰を果たしたものの、現地5/29の試合では、肩の違和感を覚えて2回途中で交代。そして5/31には、右肩の捻挫の影響で再びIL(15 days)に送られ、最終的にはUCLの手術を受け、シーズン全休となりました。5試合の登板のうち2試合はHQS達成と、非常に期待の持てるスタートを切っていただけに怪我でシーズンを終えたことは、残念で仕方ありません。(現在はリハビリを開始してる様子がSNS上で見られます。)

「来シーズンにトレードしてしまうべきだ」という意見も出されている彼ですが、個人的には反対です。まだ26歳と十分に復活が望める年齢ですし、何より彼が2022年の姿を取り戻した場合、チームにとっては大きな戦力となります。彼の最大出力を知っているだけに、どうしても期待を寄せずにはいられません。

このビシェットの被り物、私にもくれよ(YouTubeより引用)


Zach Pop

某アイスの名前と同じ(同じではない)名前のポップ。彼は今シーズン、カブレラに次いでチームで2位となる58試合に登板し、2勝4敗 12ホールド 防御率 5.59 WHIP 1.32という数字を残しました。キャリアで最多となる試合に登板したものの、その成績は芳しくないものとなりました。

こちらは日本でおなじみのザクポップ(明治より引用)

試合を観戦した上では、「投球の内容は悪くないのに、点が取られている」という印象でした。baseball savantのデータを参照しても、昨シーズンと比べても球速に変化は見られず、またスライダーとシンカーの投球割合においても大きな変化は見られません。ただ、数字面で1つ気になるのが、三振が取れていないこと。今シーズンのポップのK% 15.8は、リーグ内で下位5%に位置しており、三振を取ることに苦戦していることが分かります。

特にカットボールのK%が恐ろしく低い…

来シーズンに29歳を迎える彼は、そろそろ結果が欲しいところ。投球内容がいくら良くても、三振が取れない、点をよく取られる、HRをよく打たれる、という弱点が残ったままだと、安心して試合を任せづらくなってきます。チームの事情的にも、来シーズンはとにかく結果が求められる、そんな1年になることでしょう。


Jordan Romano

我らが誇るカナダ育ちのクローザー、ロマノ。彼は今シーズン怪我に苦しみ、15試合の出場で、1勝2敗 8セーブ 防御率 5.59という成績に終わりました。2022年には、5勝4敗 36セーブ(リーグ4位)防御率 2.11という成績を残し、2023年には、5勝7敗 36セーブ(リーグ5位)防御率 2.90という成績を残していました。ブルージェイズの守護神としての地位を確立していただけに、今季怪我でほとんど出場できなかったことはチームにとって大きな痛手となりました。

ロマノもすごいがクラセが不動すぎる…

今季は右ひじの炎症の影響により、IL(15 days)で開幕を迎え、シーズンデビューを果たしたのは現地4/15のNYY戦。お馴染みかのように1失点するものの、無事にセーブを記録。失点はある者の、4月は全てのセーブ機会において、セーブを記録しています。1点差において最強のロマノは健在。と思われましたが、それ以降の試合ではあまりうまくいきません。基本的には要所を抑えるものの、9試合の登板で8失点を記録し、5月の成績は1勝2敗 4セーブ防御率 9.00という残念な記録に終わりました。

Xの相互フォローの方が作成した画像
的確にロマノを表してんね

この不調の原因の1つがおそらく春先の怪我。現地5/31には再びIL(15 days)に登録されました。それ以降も怪我の状態が良くなることはなく、7月上旬には右肘の手術を受け、そして現地7/27にはIL(60 days)へと移り、事実上のシーズン終了状態となりました。成績が悪かったことよりも、マウンドに立ってボールを投げられなかったことが本人にとって1番のストレスになったのではないでしょうか。

さらに良くないニュースがあります。それは手術後のロマノの肘の状態が快方に向かっていないということ。そしてこの怪我からの完全復帰の見通しが立てられないことと、ロマノとの契約は調停対象であることを踏まえて、彼が今オフにノンテンダーになる可能性が高まっているとの見方が増えています。来季の予想年俸が6.5Mと、それなりに高い契約額となっていますが、こちらもどうなるか予想が付きません。

個人的には、私がブルージェイズを応援するきっかけを与えてくれた選手の1人であるだけに、これからも青い鳥のユニフォームを着て、ロジャースセンターを盛り上げてもらいたいものです。また、カナダで生まれ育った彼が母国のために戦うとなると、ファンとしても非常にうれしいものがあります。来季の見通しが1番立てづらい選手となっていますが、やはり私は彼の残留を、そしてセーブ王に向けての復活をこの目で見たいと思っています。


Erik Swanson

2022年のオフシーズンにテオスカー・ヘルナンデスとのトレードで、SEAからやってきたスワンソン。彼は今シーズン45試合に登板し、2勝2敗 9ホールドを記録しました。彼もまた昨シーズン、69試合に登板し、4勝2敗 29ホールド 防御率 2.90 4セーブという素晴らしい成績を残していましたが、今シーズンは不調に。今シーズンのブルペンを象徴するような投手となりました。

23年のスワンソンはチームで2番目に多い69試合に登板してこの成績
惚れ惚れすんね

彼もロマノ同様、シーズン開幕をIL(15 days)で迎え、現地4/17のNYY戦でシーズンデビュー。しかし、彼にとっての開幕戦は1イニングを投げて3失点と散々なものに。5月終了時点で、11試合に登板して8.2イニングを投げ、1勝1敗 防御率 9.22というひどい成績を残しました。そこからは7月中旬までAAAに降格し、しばらく彼の姿を見ることはありませんでした。

しかし、再昇格後は少しづつ調子を取り戻し、9月の成績は1勝0敗 防御率 1.69という昨年の状態にかなり近づいたものとなりました。調子が上がる中でシーズンが終了したのは、来季に向けての期待が持てて印象が良いです。しかし、シーズン序盤の成績があまりにも酷いこと、シーズン開幕前の期待と結果が大きくかけ離れていることを考慮して、今回はこの位置にランク付けさせていただきました。対価となったテオが今シーズン素晴らしい成績を残し、調子を完全に取り戻したことを考えると、来季こそは、そのピッチングでチームを引っ張り、プレイオフ、ひいてはWSへと導いてもらいたいものです。

もっと寝てくれスワンソン…


D Tier

Yariel Rodriguez

中日からやってきた砂利ボーイ。彼は昨シーズンオフに中日ドラゴンズを退団した後、ドミニカ共和国に亡命し、ブルージェイズと5年32Mドルの契約を結びました。NPB時代は、2022年にセ・リーグの最優秀中継ぎ賞に輝くなど、素晴らしい成績を残していた彼ですが、MLB1年目となる今シーズンはうまくいかず。21試合に登板し、1勝8敗 防御率 4.47という結果に終わりました。

シーズン開幕前に本人が希望していた通り、MLBで登板した21試合は全て先発として出場しましたが、先発としては物足りない結果となりました。5イニング未満で降板した試合が13試合、6回まで投げ切ることができたのはたったの2試合と、先発としてイニングを消費する役割を果たせていません。また、上述したべリオス・ガウスマン・バシットと異なり、怪我の影響もありながらMLBとAAAを行き来していたことで、出場試合数が少なく、先発ローテーションを守り切れていないのも、厳しいところです。

やっぱり上3人のすごさは際立ってる

そんな彼は、来季どういった役割を任されるのでしょうか。このまま先発としての登板を続けるか、あるいはNPB時代のようにリリーフに戻されるか。個人的には、ブルペンが焼け野原なだけに、一度リリーフに戻って、自分の調整+リリーフの安定化を進めてもらいたいと考えています。ブルペンの方が安価で補強しやすく、うまくいかなくても補強した選手をDFAしやすい、という利点はあると思いますが、まずは彼自身が調子を取り戻すことが最優先事項だと考えています。(残り4年契約が残っていることを考えるとなおさら。)批判的に書いてきましたが、彼のMLBキャリアはまだ始まったばかり。来季以降の活躍には期待するしかありません。


Luis Frias

現地8/10にブルージェイズと契約を結んだフリアス。彼は8/8にDFAを宣告されるまではARIに3年間所属していました。そんな彼は今シーズンブルージェイズに来てから、4試合に登板し、8失点 防御率 21.6を記録しました。ARIでの今シーズンの成績も、7試合に登板して、防御率 9.95と惨劇そのもの。しかし昨シーズンに、29試合の登板で、防御率 4.06とそこまで悪くない成績を残せていることは、まだ救いと言えるのではないでしょうか。

TORに来てからのWHIP 3.30て…

昨年度の指標と見比べて、少し気になったことが2つ。それが球速の低下と、球種の割合の変化です。baseball savantによると、彼は今シーズン、カットボール、フォーシーム、スライダー、シンカーの4種類のボールを投げていますが、そのいずれにおいても、僅かではありますが、平均球速が低下しています。また、昨シーズンは0.6%しか投げなかったシンカーの割合を、今シーズンは9.6%と大きく上げたものの、被打率(BA).500、期待被打率(xBA).459と、今シーズンの彼の球種の中では、最も高い数字を記録しています。

MPH、BA、XBAのところに注目

まだまだ試行錯誤中ということなのでしょうか。現地11/4に彼はウェイバーに置かれ、現在はFAとなっています。今シーズンは結果を残すことができませんでしたが、ここからの改善が見られれば、十分にMLBでの活躍も見込めると私は考えています。まだ26歳という若さを活かして、これからMLBでのキャリアを積んでもらいたいです。

さいごに

ここに至るまで、約13,000字の駄文をだらだらと書いてしまいました。できることであればもっと簡潔にまとめたかったのですが、色々な情報を見ているうちに、どんどん選手たちに愛着がわいてしまって… まあこれもシーズンの総まとめなので、しょうがないですかね☆

最後になりますが、非常に長く拙い文章を読んでいただき、ありがとうございました。次回以降の【マンスリー・アオカケス】もご愛読よろしくお願いいたします。

p.s. スキとフォローしていただければ大歓喜です。


出典

・画像の下に表記がないものは全て、mlb.comより引用しています。
・表記があるものは、ハイパーリンクより元サイトを参照可能です。
・XやYouTube、記事に関しても、そのリンクより参照可能です。

ヘッダー画像はこちらより引用しています。



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