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【マンスリー・ラプターズ 2025年2月号】ウジリ動く! TDL振り返り

みなさんこんにちは。こんばんは。サイコロチキンカツです。
現地2/2にはNBAの歴史上で最も衝撃的な出来事な1つ、ルカ・ドンチッチ(DAL)とアンソニー・デイビス(LAL)のトレードが行われました。それぞれのファンだけでなく、NBA界隈全体が衝撃に包まれました。その後もラビーン⇆フォックス、バトラーのGSW加入など近年では屈指となる動きの多いTDLを迎えました。このTDLの中でラプターズはどのような動きを見せたのでしょうか。そして以降、どのようにシーズンを終えることになるのでしょうか。
それでは本日のお品書きです。



はじめに

若手選手を中心に成長を見せ続けるラプターズですが、課題はまだまだ多く、怪我人の影響もありはしますが、ロスターも不十分に感じてしまう場面もあります。今回のnoteでは、個人的に現在のラプターズにフィットするのではないかと考えている選手を3人紹介したいと思います。なお、今回はドラフトクラスからではなく、あくまでも現時点でNBAに在籍している選手に焦点を当てていきたいと思います。

*トレードの場合、こちらからも対価として指名権や選手を出す必要がありますが、今回はその対価については言及しないものとします。あくまでもその選手にスポットライトを当てるということです。

*また、獲得が「現実的だと考えられる」選手のみを紹介します。(すごく主観的ですが。)KDやヤニスなどの超が付くほどのスタープレイヤーを手に入れられるわけではないので。

前回のnoteをご覧になっていない方は、併せて見ていただけると幸いです。


1月振り返り

11月のラプターズのチーム成績は、8勝7敗でした。今シーズン始まって以来初の勝ち越し!TDLを直前にとうとうラプターズ本来の実力が発揮され始めました。また、今季初となるピザパーティー🍕も開催され(たはず)、チームの雰囲気もうなぎ上り。好循環が生み出されています。

新年1戦目となる現地1/1のBKN戦では、12/5のOKC戦から続いていた11連敗を止めたものの、そこからは5連敗。しかし、1/13のGSW戦を皮切りにラプターズの調子は上向きに。以降、2/2のLAC戦までの10試合の戦績は8勝2敗。某大型トレードに話題を奪われてしまいましたが、間違いなく他チームファンにもこの勢いは届いていたことでしょう。


この好調を生み出している要因は主に2つ。まず1つが、チームDFの強化。実は先ほど挙げた1/13~2/2までの10試合のDEF RTGは105.7でなんとリーグ1位!同じく8勝2敗と好調を維持しているPORや、今シーズン2/2までの総合値では1位を記録しているOKCよりもその高い指標を記録しています

1/13-2/2 DEF RTG

より詳しいDFの分析につきましては、非常にわかりやすい解説をしてくださっているラプターズファンの方のnoteがありましたので、ぜひそちらを参照ください。(これ本当にわかりやすくまとめられているので、興味のある方は必見です!!)

次に2つ目の要因がベンチメンバーの活躍。先ほどの10試合の結果を見てみると、ラプターズのベンチポイントは40.2。これはリーグ5位の高水準であり、ラプターズより上に位置しているGSW、CLE、MEMも勝率6割を超えており、シーズンを戦う上でいかに重要な指標かが分かります。なおUTA

1/13-2/2 ベンチポイント

特に注目すべきは、ブルブラ、オリニク、ブーシェ、シェッドの4人。彼らがベンチから与える影響は非常に大きく、1月終盤の試合では、4Q前半を彼ら(特にブーシェ、シェッド)が支えることも多かったです。


1月度主要ベンチメンバーのスタッツ

  • ブルブラ
    MP:20.2 PTS:8.5 REB:4.2 AST:1.7 STL:1.1

  • オリニク
    MP:15.2 PTS:7.0 REB:3.4 AST:2.3 FG%:.641

  • ブーシェ
    MP:16.1 PTS:11.5 REB:4.4 FG%:.634 3P%:.531

  • シェッド
    MP:18.2 PTS:6.3 AST:3.6 STL:0.6 3P%:.400


それぞれの得点もさることながら、その効率や選手ごとの役割もしっかりとこなせていることが数字を見るだけで分かります。特にオリニクとブーシェの2人はアウトサイドシュートの成功率が極端に高いことも特徴的です

また、シーズン前半は怪我で離脱、復帰後も調子が上がらず苦しんでいたブルブラとオリニクの2人が本来の実力を発揮し始めたことも大きいです。ブルブラはセカンドユニットを支えるコンボガードとして、オリニクはアウトサイドからシュートやアシストで得点を生み出せるビッグマンとして、彼ら自身の役割を果たせていることは、ラプターズのプレーに変化を生み出せています。

以上のことを踏まえて、内容・結果ともに満足のいく1カ月を過ごすことができたのではないでしょうか。主力、ルーキー、ベテラン。当時のロスターで出せるだけの力は発揮できていたように思えます。これまで苦しい展開の多かっただけに、ファンとしても1月は見ていて非常に楽しかったです。



1月MVP

私が選ぶ1月のMVPはスコッティ・バーンズです。彼は1月度すべての試合に出場・先発し、以下のような成績を残しました。


スコッティ・バーンズ 1月の成績

MP:35.6 PTS:20.3 REB:8.3 AST:5.9 STL:1.6 BKL:1.3


彼がオールラウンドな役割を果たし、攻守ともにチームを支え続けたことこそが、ラプターズが1月に好調だった理由です。NBAオールスターに選出された昨季と遜色ない成績を残してチームを牽引しました。また、勝利後のロッカールームでもらえるMVPチェーンも、彼が一番受け取っています

また、BBQの一角であるバレットとの相性が非常によく、彼が1月に13試合出場したことも非常に大きいです。バーンズは主にトップやポストからゲームメイクを行い、バレットはドライブからゲームメイクを行う。この2通りでのOFが、他チームにとっては脅威となり、現在の好調を生み出しているのではないでしょうか。特に1月最後の10試合は、ポスト回りもアウトサイドも有効にスペースを仕えていた印象です。

今や攻守ともにリーダーとなったバーンズ。シュート成功率の低さやターンオーバーの多さなど、まだまだ課題はありますが、同時に、成長の余地はまだまだ残っているようにも思えます。彼の成長がチームの今度を左右することはまず間違いないでしょう。


それでは、1月までの振り返りを終えたところで、現地2/6に迎えたTDLでのラプターズの動きを振り返りたいと思います。


TDL振り返り

0. 幻のカイル・アンダーソン

現地2/5のMEM戦の最中に、ビックイベントが発生しました。それがGSWのジミー・バトラー獲得に関するトレード。かねてよりトレード要求を出していたバトラーがここにきて、GSWへと移籍することになりました。すぐさまTwitterで情報を漁っていると、Underdog NBAの1つのツイートが目に入りました。


ウォリアーズ獲得

  • ジミー・バトラー

ヒート獲得

  • アンドリュー・ウィギンス

  • PJ タッカー

  • 1巡目指名権

ピストンズ獲得

  • リンディー・ウォーターズ3世

  • ジョシュ・リチャードソン

  • 2巡目指名権

ジャズ獲得

  • デニス・シュルーダー

ラプターズ獲得

  • カイル・アンダーソン


まさかのカイル・アンダーソンを獲得!?しかも対価として何を放出したのかが全くの不明。(おそらく2巡目指名権)スピードはありませんが、アウトサイドシュートの精度が高い3&Dタイプの選手を獲得できたことは大きい。と考えていましたが…

なんと彼はラプターズではなく、MIAへとトレードされるとになりました。何が起こっていたのか不明な点が多いトレードでしたが、結果的にラプターズにとっては無関係。カイル・アンダーソン獲得は幻となりました。

*この5チーム間トレードは後で紹介するデイビオン・ミッチェルのトレードについて関係していますが、ほぼMIAと1対1のやり取りのため今回は省略します。


1. ブランドン・イングラム獲得

今TDLにおいてラプターズ最初の、そして最大の動きとなったのは、NOとのトレード。以前からトレードが噂されていたNOのエース、ブランドン・イングラムを、ラプターズはベテラン勢を放出して獲得しました。トレード内容の詳細は以下の通りになります。


ラプターズ獲得

  • ブランドン・イングラム

ペリカンズ獲得

  • ブルース・ブラウン

  • ケリー・オリニク

  • 2026年1巡目指名権(IND/トップ4プロテクト)

  • 2巡目指名権(不明)


ラプターズはイングラム獲得の対価として、ブルブラ・オリニクのベテラン2人と、1巡目と2巡目の指名権を1枚ずつNOに渡しました。再建チームでありながら1巡目指名権を放出したことは、まさにラプターズのGMマサイ・ウジリの方針が表れているといえるでしょう。

そのウジリの方針こそが「タンクに頼らない再建」です。一般的に、NBAにおいて正攻法的な再建とされているのが、「コンテンド→失敗・解体→タンク・ドラフト上位・育成→コンテンド」という流れです。近年では、トレードから指名権を大量に集めて、若手中心のチーム作りに成功したOKC(西1位)やHOU(西3位)を見てもらえれば分かりやすいと思います。(順位はTDL終了時点)

一方、ラプターズは彼らと同じ道を辿ろうとはしていません。ラプターズは昨季のTDLまでに、ラプターズで長年主力としてチームを支えたOG アヌノビー、パスカル・シアカムを放出し、スコッティ・バーンズを中心とした再建への舵を切りました。この時点では、ここから数年かけてバーンズを含む若手選手の育成に取り組み、彼の全盛期に合わせてコンテンドすることが予想されていました。

しかし、その1年後。今回のトレードを通して、ラプターズは以下のようなメンバーを揃えその準備の周到さを示しました。

SportsCenterより引用

正直かなり強いです。このメンバーで1年間闘っていれば、十分プレーオフ進出を狙えます。OGのトレード前からラプターズに在籍していたのは、バーンズとヤコブの2人のみ。IQ、バレット、イングラムの3人をたった1年で、大きすぎる対価を出さずに、揃えたことは、流石ウジリと言ったところ。その手腕に感嘆せざるを得ません。

では正攻法とされる、「ドラフト上位指名権から逆転」は捨ててしまったのでしょうか。そんなことは決してありません。イングラムは今季絶不調のNOを支え続けたものの、低足関節捻挫によって12/7以降出場できておりません。そしてその復帰は未定。つまり、ラプターズはしばらくの間、主力選手1人抜き(かつベテランを2人放出)した状態で闘うことになり、その戦力低下は必然的です。そのため、「わざと負けにいく」のではなく、「チームの成長を優先」して、ドラフト上位をできることができます。

現状5位なので、上位をキープできる可能性アリ(1/26更新時点でのmock draft

しかし1つ懸念すべきことは、イングラムの契約が今季で終了するということ。2025シーズンオフには無制限FAとなるため、このトレードが無に終わる可能性もあります。そのため、現在のラプターズの至上命題は「イングラムと再契約を結ぶこと」です。幸運にも、イングラムがラプターズとの契約延長に肯定的という報道も出ており、現在もその交渉は進んでいる様です。

*2/12追記
現地2/11、ラプターズは早くもイングラムの契約延長を確定させました!その内容は3年$120で、最後に一年はプレイヤーオプションとなっています。懸念点だったイングラムの去就をここまで早く決めきれるとは思ってもいませんでした。契約金も妥当と呼べる範囲にあると思います。改めてウジリの手腕には頭が上がりません。

契約も確定したということで、あとは彼がフィットするかを確かめるだけです。彼が積極的にOFに参加することで、バーンズやバレットの負担を減らし、より強度の高いチームにすることができるのではないでしょうか。まずは怪我を治すことが最優先ですが、彼のプレーには期待大です。


2. デイビオン・ミッチェル放出

次に起こったのはデイビオン・ミッチェルを巡ってのトレード。ラプターズはデイビオンをMIAへと放出し、代わりにベテラン選手のPJ タッカーを獲得しました。ただタッカーはあくまでも副産物に過ぎず、メインパッケージはドラフト指名権と現金です。本トレードの詳細は以下の通りです。


ラプターズ獲得

  • P.J. タッカー

  • 2026年2巡目指名権 (UTA)

  • 現金

ヒート獲得

  • デイビオン・ミッチェル


先ほども述べたように、タッカーを獲得したのはあくまでもメンツ合わせのために過ぎません。実際、タッカーはトレードされて以降チームに帯同しておらず、バイアウトされる可能性が濃厚となっています。

そしてこのトレードの真の目的は2つ。指名権・現金の獲得とシェッドの育成です。まず指名権の獲得に関しては意図が明確です。リーグで勝つためには、再建かどうかに拘わらず、少しでもいい選手を発掘して獲得することは必須であり、それが再建チームであるならばなおさらです。

また、シーズンが始まって以降、デイビオンとライバル関係にあった同タイプのPG、シェッドの使い方についても解決することができます。上で挙げた通り、シェッドは2025年に入ってから絶好調。課題だった3P%も向上させ、安定した活躍を見せています。今後、彼の育成により注力するために、プレータイムを増やすことは必須です。そこで、デイビオンの枠を開けることで、彼のミニッツをスタメン勢(主にIQ)とシェッドに渡すことできます。

ここまでプレーや雰囲気で貢献してくれていたデイビオンが、チームを去ってしまうことは非常に悲しいですが、チームの方針が明確な以上、良いトレードと結論づけることができるのではないでしょうか。彼のマインドはMIAに向いていると考えられることもあり、今後の活躍にも目が離せません。


3. ジェームズ・ワイズマン獲得

TDL締め切り直前に行われたのはINDのC、ジェームズ・ワイズマンを巡ってのトレード。ラプターズはペイサーズから、かつてドラフト2位で指名されたジェームズ・ワイズマンと現金を獲得し、代わりに2026年ドラフトの2巡目指名権を送りました。


ラプターズ獲得

  • ジェームズ・ワイズマン

  • 現金

ペイサーズ獲得

  • 2026年2巡目指名権(TOR/トップ55プロテクト)


ワイズマンは左アキレス腱断裂により、今季1試合しか出場できておらず、プレーオフ争いをしているINDにとっては彼の存在が重荷となっていました。INDからすれば、稼働できるビッグマンやロスターの柔軟性が欲しい場面。そんなワイズマンを引き取ってくれるチームを探していた中で、ラプターズが名乗りを上げ、今回のトレードが成立しました。

先ほど紹介したイングラムと同様、ワイズマンは現在怪我をしており出場の見通しが立っていない立場。来シーズン以降で、本格的に出場を検討するかと思っていたのですが、トレードが成立した数時間後に、ラプターズはワイズマンをウェイブしました。彼は現在FAとなっています。

個人的にはラプターズのCの層が薄いこともあり、彼のフィットが楽しみでしたが、おそらく契約金が高すぎたのでしょう。彼は今シーズン開幕前に、INDと2年$4.7Mで契約しています。彼の現時点での実力、ポテンシャルを踏まえると、妥当だと思いますが、怪我の多い彼に対しての保証ができなかったのではないでしょうか。

また、イングラムとの契約延長をする必要があるため、ワイズマン含むベンチメンバーにそこまでサラリーを回せないということもあったのでしょう。契約の残っているルーキー陣も多く、ロスターの枠に柔軟性を持たせるためにも、仕方がなかったのかもしれません。

最終的に、ラプターズはワイズマンをウェイブしたことにより、指名権の大家に現金だけを獲得することとなりました。結果としてラプターズが得るものはあまりありませんでしたが、あくまでもイングラムを優先するという姿勢は見ることができました。


以上のトレードを通して、ラプターズのロスターは以下のようになりました。トレードによって新加入になった選手には"new"と記載し、ウェイブされてしまった選手には横線を入れています。また、TDL後に契約に変化があった選手には"!"と記載しています。


ラプターズ ロスター(2/12更新版)

〈PG〉
 IQ シェッド ローソン(2 way)
〈SG〉
 バレット ディック オチャイ ジャコビ バトル (本契約 "!")
〈SF〉
 バーンズ  イングラム("new", 契約延長"!")  テンプル
〈PF〉  
 ブーシェ  モボ  
タッカー("new") ショムシェ(2 way)
〈C〉
 ヤコブ  
ワイズマン("new")  オラロビ(2 way "!") 

・余りロスタースポット:1枠

*ポジションは私の主観で決定しています


公式Twitterより引用
公式Twitterより引用

さいごに

ベテラン勢の放出に、イングラムの獲得・契約延長。このTDLでの動きを踏まえると、ラプターズはやはり来シーズンからプレーオフ争いに混ざろうとしているように見えます。まだまだチームに課題はありますが、今回のTDLを通して間違いなく、チームの未来は明るくなったと思います。ぜひ我慢の今シーズンを乗り越え、来シーズンの飛躍に期待しましょう。

ということで最後になりましたが、非常に長く拙い文章を読んでいただき、ありがとうございました。次回以降の【マンスリー・ラプターズ】もご愛読よろしくお願いいたします。

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それではsee u next time!


出典

ヘッダー画像はToronto Raptors公式Xより引用しております。

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