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柔軟性あるかないか問題ーさながら柳のように
※ちょうど良い投稿企画が今日までなので、昨年10月ぐらいに書いていた下書きからの蔵出しに加筆した記事です。
私が初めて社会人になろうと就職活動をしていたとき、その時就職支援でお世話になっていた会社(いわゆる人材系)の正社員試験も受けた。
(私は元々無形物に興味がある方なので、今よく考えたら最初の就職のときからそちらの方向に行っていたんだなと思う。)
書類は通って、面接に進んだ。
ベンチャー系の企業だったので、面接官は、マネージャーになりたての、実際あまり私と年も変わらない年齢の男性だった。眼鏡をかけた自信がありそうな佇まいの人だった。
志望動機、自己PRなどひとしきりありきたりの発言をした後、面接官からの質問にいくつか答えた。
面接は割と短時間で終了し、10分ぐらい待たされて、すぐに結果が出た。
次には進めなかった。
その企業の良いところは、さすが人材会社なだけあって、なぜ採用しないのかという説明をしてくれるところだ。
私の柔軟性のなさ(当時から信念型だったらしい)が、その会社の自由な変化に対応していく社風に合わないとのことだった。
企業研究をする際、どんな会社か、どんな仕事かというのに併せて、必ず企業理念を見るようにしていた。
企業理念が自分の考えとマッチしないと始まらない。
その会社には企業理念らしい企業理念がなかった。
その後働いてきた2社は、いずれもとても素敵な企業理念があったので、今振り返って考えたら、やっぱり合わなかったんだと思う。
ただ、なんの実績も経験もなく、本当に自分に自信がなかった当時、「柔軟性がない」というキーワードは、その後数年間私を苦しめ続けた。柔軟性がない=社会や仕事に適応できない人みたいな拡大解釈したイメージを持っていた。
その呪いを解いてくれたのは、最初に就職して育ててもらった前職の直属の上司だった。
その上司と組んで1年か1年半か過ぎたころだったんだろうか、数人の同僚などと一緒に話しているときにこんなことを言ってくれた。
「ナナシノゴンベエについて最近思うんだけれど、その地面の表面は一見ちょっと堅そうで柔軟性がなさそうに見えるのだけれど、実は地面の中の土はとても柔らかい。だから種が落ちて芽が出れば、ぐんぐんと根を伸ばしてすごい勢いで成長できるタイプだと思うよ。」
私はこの上司の言葉になんだかとても感動してしまって、そこからはあまり柔軟性があるとかないとか気にしないで過ごせるようになった。
信念があることも強みのひとつと思ったら、ますます気にならなくなった。
この上司からは、本当に心に残る言葉を沢山もらった。キャリアの最初の上司が彼で、私は本当にラッキーだった。
去年の秋、結婚相談所婚活で仮交際していた(Bさん)とカフェで話し込んだとき、私は信念型かもね~という話をしていたら、
「でも硬すぎる芯は折れたときが大変そうね。失礼な言い方かもしれないけれど。」みたいなことを言われた。
失礼なんてとんでもない。確かに!と手を打った納得感があった。
何度も書いているように、実際、春の沼落ち彼との失恋の余波として、結構ひきずってつらかったのは仕事のモチベーションを取り戻せないことだった。
大切にしている仕事をなんとかしてでもついていこうと自分の中で決意をして、仕事への思い入れを一旦諦めて折ったみたいな形になったため、折れてしまったものは一朝一夕では戻せないんだということを知った。頑張ったとして、やる気は湧かない。
だから芯の通った信念はあってもいいけれど、その芯は、できればしなやかな樹木、さながら柳のように、風が吹いても、洪水がやってきても、根はしっかりと下ろしつつも、枝がしなって折れないようなものであるのが望ましいと改めて思ったって、その時も言った気がする。
ポキポキ折っては痛手を負って、時間がかかってまた治っての繰り返し。少しは柔軟性がある人間になったかと思っても油断をすると折れ目に傷つく。
もう少ししなやかな心になりたい。
※ちなみに、トップ画像は後日試行錯誤しながらAI生成でつくってみたもの。