止まった時間
あれ、おかしいな…
昔はもっと早いスピードで駆け抜けられたし
周りのものはキラキラして見えたし
知らないことにはワクワクした
それなのに今はまるで年老いた犬のようにトボトボと歩いて、何にも景色が変わらない
どんどんと何もかもがゆっくりになって感情は平坦になる
誰でも願うだろう
「あの頃に戻りたい」と
ゆっくりゆっくり生きていると自分の足元もぼやけて見えてちゃんと地に足がついてるか不安になる
ちゃんと背筋は伸びてるか不安になる
寄る年波には勝てなくとも
どうにか抗いたい
何もわからなくなっても
清く正しく生きていたい
若い時ほど願いも少なくなった
欲が無くなったからだろう
そんな私にも少しわがままなお願いがある
私が死んだら棺桶には白い薔薇99本の花束入れてくれ
99本全てが美しいものでなければダメだ
棘も綺麗に取っておいて、リボンは紫色にしてくれ
濃いものではなく藤の花のような薄紫色のリボンだ
そしてそのリボンは大きいものでなくちゃいけない
天国にいる最愛の人にプレゼントを渡したいからだ薄紫色のスカーフが良く似合う愛しい君へ
だからこれが私の最後の願いだ
私の時間が止まっても君たちの時間は強制的に動き続けるだろう
その運命を憎んでも誰かに嫉妬しても誰かを愛しても幸せを感じても
同じ分だけの時間が流れていく
そして気がついた時には残りの時間は少なく、何も出来ない日々が続く
どうか君たちは私みたいにはなるな
なんでもいい、目標を持って時間に流されるのではなく、未来を進んで欲しい
お願いが2つになったな…
きっと私も若い証拠だな
それじゃまたいつか会う日まで