選択間違えた
私は高校卒業後就職と決まっていました。
ただそれは自分の希望ではなく、家庭の事情でそうせざるをえなかったのです。
本当は進学したいと思いながらも、出来ない状況に悔し涙を流しながら担任と面談したのを覚えています。
「もうどこでもいいや…」
自暴自棄になった私が選んだのは実家の隣町にある精神科病院の看護助手でした。
やりたいことができないのであればそれ以外に意味は無いからとりあえず2年くらい働いて転職しようと思っていましたが、どんどん月日は流れ、おばさん達から揉まれに揉まれ、あっという間に9年経っていました。
そんな長い間精神科病院で働いていて辛いことも沢山あったけど楽しかったことも沢山あって……
でも転職するにあたってアピールできるものは無いな思いました。同じ病院や、介護の仕事なら使えますが、事務職とかで「私はオムツ交換早くできます!」って言ってもなんの意味もないわけで、そう考えると私が今まで得てきた9年分の経験値は何の役にも立たない。
今までの9年が無駄だったとは思いたくないけど得たものは無い。
私が精神科病院で培ったスキルがあるとすれば我慢強いこと。
いろんなおばさんにネチネチ言われても言い返せるだけの度胸もついた。
最高のチームワークがどういうものなのかを学んだ。
パソコンは相変わらず使えないけど表を作るくらいならできるようになった。
昔に比べて社交的になった。
いろいろなアイデアを出せるようになった。
率先して動けるようになった。
何も無いと思いつつよくよく考えると学んだことは多かったです。
高卒で礼儀も知らない小娘が入って来たのにスタッフの皆さんは優しく迎え入れてくれていろいろなことを教えてくれました。
厳しくあたる人もいましたが、気を使ってフォローしてくれる人もいました。
そして先輩方がしてくれたように私の後輩にもしたいと思いました。
私は最初の選択を間違えたからこんな9年も無駄な時間を送ってきてしまったんだなと思った時もありました。高校生の自分に向かって「もっとちゃんと考えろ!」と言ってやりたいと思った時もありました。
でもこの9年は決して間違いではありませんでした。
仕事はもちろん、礼儀だったり、人生や恋愛のアドバイスだったり……
いろいろなことを教わって学びました。
ちゃんと振り返るととても楽しい日々でした。
高校生の時に「近いから」という理由で精神科病院を選んだ雑な選択は間違いではありませんでした。
あの時この選択をしたから、今の頑固で我慢強く、淡々と仕事をこなして、先輩にも平気で毒を吐く様な私になったのです。
(過去は振り返るな)ということを言われたりもしますが、囚われないのであれば大いに振り返った方がいいと思います。当時では気付なかったことに気付くことができるかもしれません。
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