「ケイコ目を澄ませて」を観た率直な感想
昨日「ケイコ目を澄ませて」を観た。
その感想を思うままに書き連ねた。
「才能はないけど人としての器量がいいんです」という会長の言葉が胸に沁みた。会長のような温かみのある人になりたい。言葉が通じなくともケイコと繋がりあえたのは会長の温かみがあったからだと思う。ケイコと2人でシャドーしているシーンは言葉はなくとも伝わるものがあった。
障害がありながらも、あんなに強く生きているケイコがかっこよくて尊かった。聴覚障害であることを悲劇的に描いていない作品自体もよかった。でも、ケイコの悲しみや心細さは常に伝わってくる。岸井ゆきの、そして監督が凄すぎる。
強さの裏側には弱さがあるというようにケイコの強さはケイコの弱さのうえに成り立っているように思えた。ただそれはケイコ自身が自分の弱さに気づき、向き合っているからこそのもので、それと同時に止まっていられないんだろうなとも思った。
逃げたくなって、向き合えなくなって、現実を受け入れられなくても、あきらめたくない、あきらめられない。それはすごく苦しい。でも、自分の心には嘘をつけないし自分の心に気づけることが大事だとケイコを見て思った。ケイコの素直さを見習いたい。なんだか居ても立っても居られなくなるような、昔の自分を思い出すような映画だった。
どんなことがあっても、死ななければ日々は過ぎていくということが作品全体を通して感じられた。それは聴覚障害がありながらも聴覚障害ではない人と同じ社会で生きているケイコ、街の流れを映す画が訴えてきたものだろう。目を澄ませてという題だけど、気づけば自分が目を澄ましていた。