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DV男とお嬢様~ハラスメント☆イヴ

今日は母の話を。

母は、超のつくお嬢様だった。
その母がなぜあの父と結婚したのか。あれほどの貧乏とDVの生活に耐えられたのか。
母は「騙された」と言っているが、それならなぜもっと早く離婚してくれなかったのか…と、私たちは思う。

母は裕福な家庭に育ったのに、人一倍忍耐強く負けず嫌いだった。
周囲の反対を押しきって結婚した手前、簡単には実家に泣きつけなかったのか。

お嬢様育ちの母の、私たちへのしつけは非常に厳しく、仕草や言葉づかいにもかなりこだわりがあったので、「貧乏なのにお嬢様風」という謎の人間ができあがった。

母の口癖は「上には上があり、下には下がある」
その場合の上とは、例えばクラスメートや親戚たち。上ばかり見て羨ましがっていても仕方ないんだよ、と。
じゃあ、下には誰がいるの?と聞くと、世界にはその日に食べるものがなくて住む家もない可哀想な子供たちもいるのよ、と。
子供心に納得できるような…できないような?


私が高校三年生の時に、見るに見かねた親戚たちが家に集まり、ようやく離婚させてくれた。
ほっとしている子供たちにむかって、母か誰かが聞いた。
「あなたたち、どっちにつくの?」と。
もちろん全員母を選んだのだが、あれはなんのための確認だったのだろう。
私たちも父親からDVを受けていたことを知っていたはずなのに。

だから、一晩真剣に考えてみるはめになった。
あんな父親でもひとりぼっちにするのは可哀想なのかと、私たちなりに悩んだ。
見捨てることなく、子供が側にいて支えてあげるべきなのかと。
今考えると、実にバカバカしい。
子供の…精一杯の正義感から、誤った選択をしなくて本当に良かった。


それでも、女手ひとつで私たちを守り育ててくれた母を尊敬しているし感謝している。


今日の話の最後に~私がまだ幼い頃、心配して様子を見に来た母方の祖父が、あまりの生活のひどさに驚き、私を連れ帰ってくれた。
それからしばらく、私は祖父母に育ててもらった。
私が無条件に愛され守られて、安全に暮らせた幸せな時間だった。




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