不思議なただいま

みじかいお話。

日は長くなった。
職場からひとりぐらしの家までドア トゥ ドア
明るいうちの帰り道は
小さい頃の記憶が私を覗きこむ。

ホトケノザの蜜、オシロイバナの粉
グミの木、野イチゴ、膝の擦り傷
図書センターの冷水機
揺れて走りにくいランドセル

近所のみんなから言われる、おかえり と
別れるときの、おやすみ が
家じゃないのに、まだ明るいのに、
少し不思議だったあの頃。

とてもあたたかで、豊かな無知だったな。
すばらしい、わたしのホーム


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