「人生のオーナーシップは常に自分に」ROXX back check事業部 COO 須藤 芳紀氏のキャリア選択から学ぶ人材業界のポテンシャル
「時代の転換点を創る」をミッションに持ち、雇用のミスマッチをテクノロジーで解決するHRtechスタートアップ、株式会社ROXX(以下、ROXX)。同社が開発・運営するオンライン完結型のリファレンスチェックサービス「back check」事業のCOO 須藤 芳紀(Yoshinori Sudo)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc. の安松 花子(Hanako Yasumatsu)と申します。私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXO・経営幹部層のご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
「時代の転換点を創る」ROXXで担う須藤氏の役割
-- はじめに、ROXXの事業内容を教えてください。
ROXXは主に2つの事業をやっています。
1つ目が「agent bank」という事業で、非正規や非大卒を中心とした未経験の求職者のための正社員転職プラットフォームを開発・提供しています。少子高齢化を背景に人手不足が進み、人材獲得競争のさらなる加速が見込まれるなか、25〜34歳の約65%が非大卒、労働人口の約55%が年収400万円未満であると言われています。一方で、国内人材紹介市場において、その多くが学歴や職歴を持った即戦力の求職者を対象としたサービスとなっています。agent bankではこうした業界構造に着目し、未経験の求職者と採用企業のダイレクトマッチングに加えて、そのパートナーである人材紹介会社の支援サービスを展開しています。
2つ目の事業である「back check」では、オンライン完結型のコンプライアンス/リファレンスチェックサービスを開発・提供しています。採用活動における書類選考や面接だけでは分からない採用候補者の経歴や実績に関するコメントを、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得したり、反社会的勢力との関与や犯罪歴の有無などを確認することができます。back checkでは「信頼」を新たな指標として社会に実装し、信頼によってこれまでの努力がフェアに報われる世の中の実現に取り組んでいます。
2つの事業を通じて、ROXXは求職者のキャリアの可能性を広げ、企業の採用精度を上げることを目指しています。ROXXのミッションは「時代の転換点を創る」ということ。時代やテクノロジーの進化に合わせて雇用のミスマッチを解決し、世の中を正しい方向に進めるきっかけ作りに取り組んでいます。
-- その中で現在、須藤さんが担っている役割を教えてください。
現在は、back check事業部のCOOを担当しています。ここからさらに事業を伸ばしていこうというタイミングでジョインし、まずは営業・マーケティング領域からスタートし、今後は事業部全体を管掌していく予定です。
結果を出すことで自信をつけた大学時代
-- 学生時代に遡ってお伺いできればと思います。大学時代は何に熱中されていましたか?
大学時代に最も力を入れたのは英語でした。大学受験ではそれなりに勉強し、センター試験でも良い点数を取れたのですが、第一志望の大学には落ちてしまい、青山学院大学に進学しました。浪人することも考えましたが、父に「大学に行って勉強しなさい」と言われたことから、泣く泣く入学することを決めました。そのため、入学当初は失意のどん底でしたが、気がつくとサークル・アルバイト・飲み会など、勉強以外が充実している生活を送っていました。
-- そこからどんな経緯があって、英語に熱中されていったのでしょうか?
転機は中華料理屋さんでアルバイトをしていた時のことでした。そこは外国人のお客様が多いお店で、お客様から持ち帰り専用メニューを店内で食べたいという注文をいただくことがありました。その時「そのメニューは持ち帰り専用なので注文いただけません」と伝えたかったのですが、うまく英語で言葉が出てこず「No」を20回くらい連発してしまうことがありました。
大学受験の英語では良い点数を取ったにも関わらず、「お持ち帰り専用です」すら言えない自分は何をしているんだろうと思ったのです。「何のために大学に進学したのか」。大学にいる目的に立ち返った私は、その日の夜に英語の参考書を何冊も買い込みました。そして、猛勉強する日々が始まったのです。結果的にそこから毎日英語漬けの生活を送り、2年後の大学3年生の秋には英検1級とTOEICスコアで940点を取るまでに英語力を高めることができました。
世の中の動きに翻弄された人材業界での挑戦
-- 大学卒業後は株式会社インテリジェンス(以下、インテリジェンス。現、パーソルキャリア株式会社)に就職されています。就職活動において、インテリジェンスのどのような点に魅力を感じていたのでしょうか?
当時は企業からダイレクトメッセージが自宅に郵便で届く時代でした。インテリジェンスから届いた1つだけ大きさの異なる厚紙の裏面に「志」と書かれていたのが印象的で、会社説明会に登録したのがきっかけでした。説明会でお話を伺った鎌田さん(創業者兼元代表取締役社長 鎌田和彦氏)のお話が非常に面白く、その後の選考の中で出会った社員のみなさんが魅力的で一緒に働きたいと思える人たちばかりで、一気に志望度が上がりました。また、「社会に価値ある何かを残す」という当時のミッションに強く共感したことも魅力の1つでした。
-- 人材業界に興味があって選んだのではなく、人とビジョンに強く惹かれ入社を決めたのですね。
20年前は、人材業界やHR業界という言葉が存在していませんでした。どちらかというと斡旋業や派遣という捉え方をされ、「人売りをしてお金を儲けているんでしょ」と言われることもありました。それでも私は「日本の人事部になる」という思いに深く共感していたので、インテリジェンスを選びました。
-- 実際に入社してみていかがでしたか?
当時のインテリジェンスには、3年ほど在籍したら辞めて、自分で会社を作るという考えの人が多く集まっていました。そのため周囲はバイタリティに溢れる人が多かったです。実際、新卒同期の半数以上が3年以内に起業を目指して退職したように記憶しています。私自身も「いつか新しいことをやりたい」という気持ちを抱いていましたが、結果的に14年以上在籍することになりました。
-- 最終的に子会社の執行役員まで務められていますね。
飽きやすいタイプですが、2年半に1度のペースで異動があったので、ちょうど飽きてきた頃に新しい挑戦をする機会をいただき、想像以上に長く勤めることができました。
また、2008年10月に大阪に異動になった時の出来事も大きく影響しています。その直前にリーマンショックが起き、大阪に赴任した最初のミッションがリストラでした。初めて会う社員や新卒で採用した人を、当時親会社であった株式会社USENに全員出向させる事態となったのです。当時は私自身も起業を考えていましたが、会社としての意思決定とはいえ、さすがにリストラを担当した本人が辞めるのは無責任だと思い、会社に残ることを決めました。
-- その後、再度転職を考えるようになったきっかけを教えてください。
リーマンショック後の波乱をどうにか乗り越えたのち、インテリジェンスでも採用や派遣以外の新しいビジネスを立ち上げようという流れが生まれ、新規事業である人事コンサルティング、教育・研修サービスやタレントマネジメントシステムの立ち上げを任されました。これらの新規事業には3年半ほど携わったのですが、どれだけ事業を伸ばしたとしても、会社全体の売上に占める割合は、残念ながら非常に小さいのが現実です。
一方、景気が回復するにつれて、既存事業である採用や派遣のビジネスの業績が再び伸び始め、難易度が高い新規事業よりも、利益を出している既存事業の方が賞賛されることに違和感を覚えることが増えはじめました。
その時に、たまたまアマゾンジャパン合同会社(以下、Amazon)で働く後輩から、Amazonの新規事業の話を聞きました。面白そうだと思って面接を受けたところ、オファーをいただいたことが転職のきっかけとなりました。
Amazonで知った圧倒的成長スピードの秘訣と限界
-- Amazonへの転職の決め手はなんだったのでしょうか?
インテリジェンスよりも遅く設立されたAmazonが、ものすごいスピードで成長していること、インテリジェンスの売上高や時価総額を圧倒的に超えているという事実に、当時は強い興味を抱いていました。なぜその違いが生まれたのかを知りたくて入社を決めました。
-- ご入社されていかがでしたか?
圧倒的なレベルの違いに驚きましたね。Amazonでは、かなりの給与をいただきながらMBAにも通って、実地で学ばせてもらっているような日々でした。
-- 具体的にどのような点が違ったのでしょうか?
例えばAmazonでは1万分の1レベルで数字を追っていました。担当しているストアの定量データが毎週月曜日の朝に届き、その数字を細かく分析しながら原因を突き止め、次のアクションを考えるのですが、その細かさが尋常ではなかったのです。
また、考え方がとてもシンプルで、問題があったら必ず根本の原因=ルートコーズ(Root cause)を突き止め、それをどう解消するかを考えます。シンプルな思考回路なのですが、それゆえに本質的に仕事が進む環境でもありました。
-- 日系の人材業界から外資系のテックカンパニーという全く違う業界への転職で、戸惑うことも多かったのではないでしょうか?
Amazonでは自分のキャリアを一度リセットして、ビジネススキルを基礎から学び直したという感覚でした。戦略の立て方、プロダクト開発のロードマップの作り方、ユーザーの声を集めてどうサービスを改善するかなど、様々な種類の経験を積むことができましたし、最終的にはプロダクトマネージャーとして、名だたる企業出身の世界中の同僚と仕事をして、どの水準で仕事をすればグローバルで通用するのかという基準を感覚的に掴めたことが、とても良い経験となりました。
自身に足りていなかったマーケティング領域の経験に惹かれてGoogleへ
-- Amazonでの経験によって、須藤さんの仕事の進め方がグローバル基準に上がったのですね。それで次も外資系企業であるグーグル合同会社(以下、Google)を選ばれたのですか?
この時も転職する気持ちが強かったというよりは、リクルーターとしてGoogleに転職したインテリジェンス時代の同僚から「オフィスに一度遊びにこないか」と声をかけてもらったことがきっかけでした。
-- そこから実際に転職を決められたのは、どんな経緯があったのでしょうか?
Amazon在籍中に考えるようになったのは、外資系企業の日本法人では、どこまで昇格しても営業部長クラスにあたる役割が限界なのではないかということです。
Amazonの場合、経営の意思決定はほとんど全て本社のシアトルにありました。外資系企業で働き続けるのであれば、本国で重要ポジションに就かないと、私がインテリジェンス時代に携わっていたような経営やBS、投資に携わることはできません。当時の私は39歳で、45歳までにはインテリジェンスで最後に従事していたようなゼネラルマネジメントができる仕事に就きたいという思いが強くありました。
一方で、自分のキャリアを振り返ってみると、営業・事業開発・プロダクト開発を経験し、子会社を経営したことでアカウンティング・ファイナンスにも携わった経験はあるものの、マーケティングだけは、プロフェッショナルとして担ったことがないと気づきました。
Googleでオファーをいただいたポジションは広告を扱う業務で、マーケティング領域の知見を身につけられると思いました。自分が将来、経営を担う時のことを考えると良い機会になると思ったのと、Googleは心理的安全性や構造化面接、ピープルアナリティクスといったHRに関しても有名だったので、そこで管理職として組織運営にも携われるならとても良い経験になると思い、入社を決めました。
-- 当時の須藤さんは、いつかまた経営に携わりたいというお気持ちがあったのですね。
そうですね。外資系企業で中間管理職的な役割で働き続けるのも選択肢の1つとして考えたものの、国内企業とは全く異なる外資系企業の環境に身を置いたことですでに成長実感もあったので、その経験を活かしながらもう一度経営にチャレンジしたいと、当時は明確に考えていました。
経営陣としての挑戦で選んだ日本発スタートアップ
-- Googleへ入社された後、再び転職を考えた際に、経営に携わるということを1つの軸として探していた中で見つけたのが17LIVE株式会社(以下、17LIVE)だったのですか?
そうですね。17LIVEはエージェントさんにご紹介いただきました。会社のことはもちろん、ライブ配信アプリ自体もあまり知らなかったので、初めから興味があったわけではありませんでした。同じタイミングでもう1社、BtoB向けスタートアップからもオファーをいただいていたなかで、17LIVEを選んだ理由はいくつかあります。
17LIVEは小野裕史さんが当時CEOを務められていたこと、日本発でグローバル企業を目指していたこと、日本法人で当時200人規模の組織ながら時価総額が兆円レベルになるのではという期待があったこと、経営陣として参画できるポジションでオファーをいただけたことなどです。
BtoB向けスタートアップの場合、ロードマップのイメージがある程度想像できましたが、17LIVEではBtoBtoCかつエンターテインメントという畑違いの業界で新たな挑戦ができると思いました。
-- 17LIVEでのご経験はいかがでしたか?
17LIVEでは「Council」というグローバル経営ボードメンバーとして、日本以外を含む全マーケットにおける経営の意思決定や、グローバルのプロダクト開発ロードマップの策定に務めていました。
17LIVEのエンジニアやプロダクトマネジャーは、アメリカ・台湾・シンガポール・中国と多拠点に渡り、全てのコミュニケーションを英語で行います。GoogleやAmazonも含めて世界中のさまざまなメンバーと仕事をするなかで、国語・算数・論理的思考力の3つが、国・言語・文化を越えてとても重要だと改めて感じました。
-- 経営ボードメンバーとして事業に関わる中で、須藤さんが心がけていたことはありますか?
前提や情報量が異なるメンバーと建設的かつ生産的に仕事をする上で心がけていたのは、「知的謙虚さ」や「心理的安全性」ですね。経営層になればなるほど、耳の痛い本質的なフィードバックをされにくくなるので、謙虚さや心理的安全性といった点は、注意してもし過ぎることはないと思っています。
また、ビジネスだけではなくあらゆる組織で通じることのように思いますが、リーダーの人間力次第で組織のパフォーマンスはがらっと変わるので、常に自分を客観的に見て、色々とフィードバックやアドバイスをくれる存在は必須だと痛感しています。私自身、17LIVE在籍時から現在も毎月同じ方のコーチングを受け、適切なフィードバックを元に自分を客観視するよう心がけています。
スタートアップが求める事業成長に必要な人材を知る
-- その後、再び転職される際に、弊社とお話しさせていただいたのですね。
転職を検討し始めたタイミングで、六丸さん(フォースタートアップス株式会社 プリンシパル 六丸直樹)からご連絡をいただきました。初回の面談では1時間くらい、転職を検討することになった経緯や今後について、じっくりお話しました。六丸さんは、求人を一度紹介して終わりではなく、私の心情を汲み取りながら、継続的に良いタイミングで「こちらはどうですか?」と最新の企業情報を提案くださり、とても心地の良いコミュニケーションをとっていただきました。
-- 当時の転職では何を重視されていたのでしょうか?人材業界に戻りたいという気持ちがあってのROXXだったのですか?
17LIVEへの転職時と同じで、どこまで深く経営に携わることができるかという点を重視していました。HR関連のビジネス領域で働くのであれば、パーソルグループ(旧インテリジェンス)に戻る方が良いと思っていたので、最初にROXXを紹介された時、実はお断りをしました。
-- そこからどのような変遷を経てROXXの検討に至ったのでしょうか?
業界を絞らず、様々な企業とお話する中で、最終的には数社からオファーをいただきました。その中で分かったことは、「自分の経験がスタートアップの事業成長に必要とされている」ということです。
例えば、Go-To-Market戦略の作り方、市場のサイジングの仕方など、私がAmazonやGoogleで当たり前のように日々取り組んでいた経験が、スタートアップでは未知のものであり、経験したことのない企業が多く存在するのだということに気づきました。そういった経験やスキルを持った人が、業種・業界を超えて最適に人材配置されるとしたら、それはとても意義のあることだと思いました。
事業成長に必要な経験を持っている人材と企業をマッチングさせ、それにより企業が成長して、日本経済がよくなる。そういう未来を描ける人材業界がどれだけ価値ある仕事なのか、私自身の転職活動を通じて改めて考えるようになりました。
-- 複数のスタートアップとお話しする中で人材業界の意義を感じ、それがROXXを検討するきっかけになったのですね。特にROXXのどこに魅力を感じられたのですか?
「agent bank」で支援しているファーストキャリアの方々は、世の中の大手の人材紹介会社から即戦力として注目されにくい状況にあります。一方で、今の日本の平均年収が約400万円という現実の中、ファーストキャリアの方々の年収帯が上がったり、楽しく就労できる環境へ支援することにとても価値があると思いました。そこに本気で取り組んでいることに魅力を感じました。
また、将来的に金融事業や住居の提供など、人材にとどまらない価値提供ができれば、社会のインフラにもなれるようなサービスであると思い、事業の拡張性も十分に感じました。その将来性も決め手の1つでしたね。
-- 人材事業のポテンシャルを感じられたのですね。
そうですね。もう1つ面白いと感じたのが、パーソルキャリアがROXXに出資している点です。実は、パーソルキャリアの瀬野尾さん(代表取締役社長 瀬野尾裕氏)やパーソルホールディングスの山﨑さん(執行役員 山﨑高之氏)に転職の件を相談した時に、パーソルキャリアとROXXで「こんなこともできるんじゃない?」という話で盛り上がりました。そういったご縁もあり、今後、協業することでさらにスケールするワクワク感や面白さがあると思ったのです。
また、ROXXの代表取締役である中嶋や、創業メンバーで取締役の山田と話した時に直感的に感じた相性の良さもROXXを選ぶ理由の1つとなりました。今回の転職では、1社のみにフルコミットするのではなく複数の企業・事業に関わりたいと考えていたので、その意向を伝えたところ、ふたりが「好きなように選択してほしい」と言ってくれました。現在は、もう1社の社外取締役も務めさせていただいています。
これまでのご縁や気づき、環境などを総合的に見て、ROXXで求めることが叶えられると思って入社を決めました。
スタートアップで求められるのは変化対応力
-- そんなご縁があって入社されたROXXでの日々はいかがですか?
挑戦の毎日ですね。17LIVEの時もそうでしたが、あるはずのものがない。本来できているべきことができていない。人材も不足していて、潤沢な予算もない......などはほぼ想定通りでした。なので、本当に毎日がチャレンジの連続で、限られたリソースの中で、どのように成果を出していくのかということに日々挑戦しています。
-- そんな挑戦のど真ん中で活躍する須藤さんが、スタートアップで働く上で心掛けていることがあれば教えてください。
大企業では当たり前のことがスタートアップにおいては当たり前ではない、という点を意識することです。私はインテリジェンスが300人規模の時に入社し、そこから事業と組織が大きく成長する中で、足りないものが整っていく過程を見てきました。それはスタートアップのどの企業も通る道だと思っています。
なので、これまで大企業での経験のみである場合「なんでこれがないの?」と疑問を感じたり、仕事の進め方ややり方が違うと立ち止まってしまったりすることがあるかもしれません。そんな風にそれまでの自分自身の当たり前と異なるシーンがあった時に、素直にその違いを受け入れる度量や変化への対応力がスタートアップで働く時には必要だと考えています。
-- キャリアを築いていく上で、須藤さんご自身が大事にされていることはありますか?
20代の頃から大事にしてきたことが1つだけ明確にあります。それは生殺与奪の権利(せいさつよだつのけんり *人の人生の成否を左右するような強い影響力を掌握すること)を絶対に上司や会社に握られないことです。
例えば、「勤めているうちに、待遇や福利厚生がどんどん上がり、業務内容に飽きてしまっていても年収を下げたくないから辞められない」、「1社で長く働いていると転職したくても転職先がない」といったジレンマを抱えている方々もいると思います。
なぜそのような事象が起こるかというと、自分のスキルや提供できる価値と自分がもらう給与が見合っていないからです。決してそうはなりたくないと思って、私はこれまでキャリアを選択してきました。その結果が今だと思っていますし、これからも人生のオーナーシップは、常に自分で持ち続けたいと思っています。
-- ありがとうございます。最後に、スタートアップで働く魅力を教えてください。
成長産業の企業は変化が早いので、確約できないことばかりです。その不確実な状況に柔軟に対応できるマインドセットは必要ですが、変化が早い分、逆にトライできることはたくさんあり、楽しみ方も無限にあります。
ルールやプロセスが決まっている環境や決裁権限を持てない環境と比べて、はるかにチャンスが多く刺激に溢れているのがスタートアップ。当然、責任も伴い、ヒリヒリするような場面も多分にありますが、そこも含めてスタートアップの環境は魅力的です。それを楽しめる人には、ぜひスタートアップに挑戦してみてほしいと思います。
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須藤さんをご支援したヒューマンキャピタリスト
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