千夜ねこ

シナリオライター/webライター/写真

千夜ねこ

シナリオライター/webライター/写真

最近の記事

【note創作大賞2024/創作漫画部門】大庭博士の発明品と鏡味社長の日常 2話

第2話

    • 【note創作大賞2024/創作漫画部門】大庭博士の発明品と鏡味社長の日常 1話

      第1話

      • 【note創作大賞2024/漫画原作部門】青のメロディー 第三話

         ジュゼッペ・タルティーニ。18世紀イタリアにおけるバロック音楽の作曲家だ。  曲中、難易度の高い「トリル」が何度も登場。まさに曲名通り「悪魔のトリル」。  逸話によると、タルティーニの夢の中に悪魔が出てきたそうだ。  悪魔は夢の中でバイオリンを弾き、タルティーニはその美しい音色を聴いて、譜面に書き取ったとかなんとか。 「夢でそんなことできるわけがなかろう」  真希は譜面台に楽譜を置く。 「いや、俺夢の中で作曲してるときとかあるけど?」  隣に立つ男、悪魔の異名を持つ

        • 【note創作大賞2024/漫画原作部門】青のメロディー 第二話

           一目惚れ、というものがあるのならばきっと自分の場合は一耳惚れ、というやつだろう。  真希はため息をつく。  肺の中の空気を全て吐き出す。そして思い切り息を吸い、真希は屋上中に広がる天に向かって叫んだ。 「天才の教え方、下手くそなんですけど!」  ははは、と軽快な笑い声が響く。康平だ。 「今度はどうした」  康平はメロンパンを頬張りながら尋ねた。  真希もつられるように弁当の中身をガツガツと頬張る。 「いや、なんか 遥の指示が……そこは猫が踊ってる感じで、とか、もう

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】青のメロディー 第一話

          第一話 春は、嫌いだ。  真希は楽しそうに登校する学生たちを横目にジメジメとしたことを考えていた。  桜の花びらがひらひらと舞い落ちる。それはこれから始まる新しい季節の訪れの証だ。  春は『新しい季節』『新しい学年』に浮き足立つ人間が多い。なぜ人はそんなに自分や世界に期待するのだろうか。非常に愚かである。  真希は両耳にイヤホンを挿した。流れてくる音楽はモーツァルト『レクイエム』よりラクリモーサ。  音楽を聴きながら『夢が丘芸術高等学校』と書かれた古びた看板を横目に校門をくぐ

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】青のメロディー 第一話

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第三話

           2年前の冬。姉の彩夏が死んだ。  彩夏は真白より10個上だった。  真白の両親はすでに死んでいる。真白は天涯孤独になった。  降りしきる雨の中、真白は陸橋の上にいた。  手に持った花束を置く。傘を肩にかけ、両手を合わせた。  人通りのないこの道路に彩夏は一人飛び降りた、とされている。 「姉さん、あなたの魂は今どこにいるんですか」  彩夏は自殺をするような人ではない、真白は確信していた。  真白は立ち上がった。そしてポケットから鈴を取り出した。金色の鈴で赤いストラップがつい

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第三話

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第二話

           ここは、どこだろう。  新井梓(あらいあずさ)はあたりを見まわした。そこは全く見覚えのない場所だった。ここはどこだろうか、一体自分はどうしてこんなところにいるのだろうか。  住宅街は西日で赤く照らされていた。周りには人影が見えない。なんだか、不気味である。  ━━早く帰らなきゃ、あの子が待っている。  そう思うのに、自分がどうしてこんな場所にいるのかわからない。  早く、早く、帰らないと……。  当てもなく彷徨うように歩き出す。  ぴたりと足が止まる。何か、違う気がする

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第二話

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第一話

          ※この話は「2023 週刊少年マガジン原作大賞」の企画書部門にて中間選考を通過した下記企画書作品を加筆修正し小説化したものです。 第一話 1日3回食事をするとして、80年間で8万7600回食事をするらしい━━。  最後の食事、その時自分は何を食べたいと思うだろうか。 ■  真白歩(ましろあゆむ)は徹夜続きの体を引きずって歩いていた。  時刻は深夜3時。夜の住宅街はとうに寝静まり、街灯だけがポツリポツリと光っていた。  一刻も早く帰って寝たい。  そんな気持ちとは裏腹に先ほ

          【note創作大賞2024/漫画原作部門】天界食堂の調査官 第一話

          【少年マガジン原作大賞/漫画企画書】ようこそ異世界食堂へ

          キャッチコピー これは、魂と魂を繋ぐ料理の物語 あらすじ 警視庁公安部に勤める真白結希(29)は2年前に妻、彩夏を不審死で亡くしていた。以来、公安部の仕事に従事しながらも、妻の死について原因と犯人を究明しようと動いていた。 ある夜、真白はあの世とこの世を繋ぐ「異世界食堂」と、そこで働く居神玲(33)と出会う。そこで彩夏の手料理を口にし、涙を流すのだった。 次の日、上長に呼ばれる真白。呼ばれた先にいたのは居神。居神はあの世での手続きや問題を解決する「天界省」の役人で「異世

          【少年マガジン原作大賞/漫画企画書】ようこそ異世界食堂へ

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』 あらすじ

          舞台は、政府から全ての国民に、人工知能『ウミ』が搭載されたスマホ端末が支給されている2055年の地球。 『ウミ』によって分析されたデータにより、国民は様々なことにマッチング可能となった。そして、離職率や離婚率は低下。不自由なく暮らすことが可能な世界が実現した。 楠田優樹(30)は就活に失敗して以来、ニートとして日々暮らしていた。楠田は出版関係の仕事に就きたかったが適性がなかったため受からなかったのだ。しかしある日、楠田は『ウミ』から「小説家の適性がある」と告げられる。戸惑う

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』 あらすじ

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』

          ○楠田家・外観(朝) 木造の古いアパート。 『楠田』と表札の入ったポスト。 チラシが溢れている。  ○楠田家・中(朝) ワンルームの部屋。 廊下や部屋にはゴミ袋が落ちている。 壁にかかったカレンダーには『2055年5月』と書かれている。 「ピピピ」というアラームの音。 楠田優樹(30)がジャージで布団に横たわり、目を閉じたまま、眉に皺を寄せている。楠田、飛び起きる。 楠田「うるさい!アラーム停止!」 隣の部屋から「ドン」と壁を叩く音がする。アラームが止まる。

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』