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Blackmagic Cinema Camera 6Kを育てている話

こないだの驚きのセールでいっちゃいました、BMCC 6K。覚悟はしていましたがやはりじゃじゃ馬ですね。まだ撮影などできる状態まで仕上げてはいなくてもっぱら屋内で育てている最中です。その所感、いや初感を少々書き連ねていきます。レビューと言えるほど使い込んではいませんがとりあえず。ちなみに自分が所有するFF機としてはNikon FM2に続く2台目。

BMCC6Kってどんなカメラなの?

一言でいうと「映画撮ろうぜ!」なカメラです。その名の通りシネマカメラ。

Blackmagic Cinema Camera 6Kはスチル撮影も可能ですが、「ほぼ」動画専用です。カメラに詳しい人ならFX3などと似た感じかなと思われるかもしれませんが少し違います。こちらは動画といえども特に映画やショートフィルムなどの作品作りに特化しています。比較的ニッチな分野ですね。
反対に長尺を回すVLogやYouTube、インタビュー系とは相性がそれほど良くなく、現状では配信においてもBMPCCのほうに軍配が上がります。もちろんこれらの用途で使えないわけではありませんが、ただもっと向いてるカメラがあるのではという感じです。用途や機能でレーダーチャート作ったら他社製品は円になるように仕上げてきているのに対してBMCC6Kはめっちゃいびつな形してそう。

相性のいい悪いが出てくるのはひとえにBMCC6Kの採用スペックの割り切りによります。BMPCCまではそれなりに多用途に使えるように配慮されていましたがBMCCになっていろいろ吹っ切ってきました。記録方式がBlackmagic RAWだけになって、BMPCCにあったProRes記録はついに省かれています。BRAWで2時間収録しようとすると設定にもよるものの簡単に1TB以上のストレージが消費されてしまいます。RAWのみでは長尺の映像を収録、保管するのにメディアのコストもかかりますし、ポスプロにかかる手間も馬鹿になりません。と、長時間を回すにはコスパが良くないのでそういった用途であれば別の機種を選ぶのが良いでしょう。
Davinci Resovle以外で編集しようした場合、いったんResolveからBRAW以外で書き出してからの編集となり、元のファイルをどうしようかという問題も悩ましいです。ちなみにファイルサイズ的にはProResで収録しても実はそれほどは変わらないので画質とファイルサイズを天秤にかけるとBRAWのほうがもちろん良いのですが・・・Davinci Resolveではない映像編集ソフトウェアを利用している人にはちょっとファイルの取り回しが面倒ですね。
それでも限られた予算の中で表現を追求していきたい方々にとってBMCC6Kは魅力的な選択肢ではないでしょうか。抑えられた価格からどうしてもミラーレスカメラと比較しがちですが、シネマカメラとして考えるとREDやARRI、BMDではURSA CINEやBMPCC、PYXISといったラインアップが比較対象となるのかなと。

シネマカメラとビデオカメラの違いですが、シネマカメラは企画と構成に沿って被写体やレンズ、写り方、動きがすでに設計された状態で撮影する道具。いっぽうビデオカメラはそこで流れている時間や場面を撮影するため、AFやズームがついていてさまざまな状況に対応しやすく、長回しも難なく可能となっています。どちらが上や下といったことはないので用途に合わせて選びましょう。

BMCC6Kのこだわりポイント

ではピーキーなカメラに仕上がっているBMCC6Kをもうちょっと詳しくみていきましょう。

大きなセンサー

フルサイズセンサーと次のBlackmagic RAWこそがBMCC6Kのレゾンデートル。このセンサーで収録したものを心ゆくまで編集したいという願いに応えてくれます。今ですと普通にフルサイズのセンサーを搭載したミラーレス機で動画を撮影できるのでそれほど特殊ではありません。それでもシネマカメラに限っていうとまだまだ普及途上に思えます。

BRAW一択

上位機種を見ても分かるとおり、BMCC6Kに限らずBlackmagic Design社はBlackmagic RAW(以下BRAW)一択に舵を切っていってるように思えます(厳密にいうとプロキシファイルはH.264)BMPCCにあったProRes収録はついに省かれてしまいました。BRAWですとISOや色温度、露出などなどを後から変えられるので写真のRAWと同じような柔軟さを持っており、ガンマカーブなども変更できます。厳密にいうとBRAWはカメラ内でディベイヤーされているため本当のRAWではありませんが、使い勝手としてはほぼRAWと一緒といった感じ。
そういったポスプロの自由度と引き換えにストレージの消費量が半端ないので大容量の作業領域と保存領域が必要になり、幾つものプロジェクトを並行作業しようとするとかなりのストレージ容量が必要になります。プロキシで編集時のコンピュータへの負担は減っているとはいえ、素材の保管に必要なストレージサイズは軽くはないので頑張りましょう。ストレージサイズと録画時間は下記のシミュレーターである程度予想できます。

Lマウント

ライカ、パナソニック、シグマのミラーレスで使えるフランジバック20mmのマウントです。今まで広く使われてきたようなシネレンズはマウントアダプタ経由で使えるのではないでしょうか?現状の電子接点のあるレンズを使うメリットはレンズの情報の記録程度で、素性の良いレンズが使えるならそちらを使ったほうがポスプロが楽になるかもしれませんが、シネレンズはそこそこ値段が高いので予算と相談ですね。

DaVinci Resolveとの一体化

それほど興味がなかった頃はなんでBMDのカメラってDaVinci Resolveが付いてくるんだろうって思っていたんです。おまけ?みたいな。実はが全くそんなことはなくて逆にこれがないとかなりの制限となります。BRAWをきちんと扱えるのがDaVinci Resolveということもありますし、いわゆる手ぶれやレンズの歪曲収差、ローリングシャッターなどの補正はすべてDaVinci Resolveで行うようになっています。

内部収録ほぼ一択

映像出力に関してはフルサイズのHDMI出力端子がついています。ただし出力可能なのは1080p60までの映像です。外部レコーダーでわざわざ収録するような画質ではありません。外部と内部の両方で収録して冗長性を高めたい場合は他のカメラでということになるんでしょう。こないだ発表されたPYXISはいろいろと汎用性が高く、12GSDI出力もついているのでそういったもののほうが向いていると思います。

でかい

確かに他のカメラと比べて一回り以上大きいし重さもあります。ところがRAW収録セットとして考えてみると実は案外コンパクトです。モニターもその筐体の大きさを活かして5インチの大きなものがついていますし1500nitまでと明るいため、画面の向く方向の許す限り内蔵モニターでじゅうぶんです。RAW収録を前提として考えた場合、他の機種では外部レコーダーが必要になるものも多く、そういったシステムでは嵩張る方向になったりします。

ティルト液晶

BMPCCもそうなんですが、BMCC6Kはバリアングルではなくティルト(2軸ティルトって呼ぶのでしたっけ?)で、基本的に撮影者はカメラの背後にいるという想定。
いちおうカメラの正面から録画を開始、停止できるようにレンズの横にも録画ボタンがあります。ただカメラ正面からモニターを確認できないので結局外部モニターが必要になって大掛かりになるので、それなら別にこの録画ボタンなくても良いのではと思ったり思わなかったり。ティルトであるためにVバッテリーを利用しようとすると配置に制限が生まれてしまうのが悩ましいです。

オープンゲート

6048 x 4032のセンサー全面を利用した3:2で記録する方式で、もちろんそのまま3:2で利用するのもありです。6Kで収録しているなら横動画から縦動画の切り出すのにも十分な解像度ですし、カメラを90度傾けて縦動画を撮る際にはフレーミングにオープンゲートが便利。
この広い画面を生かしてフルサイズ対応の1.6倍のアナモーフィックレンズで収録した際にはデスクィーズすると2.4:1となり、映画でも使われるアスペクト比になります。ピクセル換算すると9676 x 4032。すごい。この最大サイズでのフレームレートは現在36fpsまで利用可能となっています。
オープンゲートはシネマカメラでは利用可能な機種が多いですね。逆にスチルも撮れるタイプのものでは少なくて、PanasonicのカメラやX-H2Sなどくらいでしょうか?

OLPF

上位機種のURSAにもOLPFのついたモデルがありますね。モアレが出にくくなっているのでしょうけれど、それでも全く出ないというわけではありません。
OLPFはその名の通り光学的なローパスフィルターのことで、これだけだと何のことかさっぱりなんですが、音楽における低周波数と高周波数の違いに例えると分かりやすいかもしれません。低周波数は、LFOのようにゆっくりとした波形の変化であり、高周波数は急速に波形が変化します。画像処理においても、このゆっくりとした変化が低周波数、細かい変化が高周波数とされています。
ローパスフィルターを通すことにより、細かい模様が干渉してモアレが発生するのを防ぎ、偽色の発生も抑えることができるということです。これはいいことづくめということではなく、OLPFを通すことでシャープネスが失われたりというダウンサイドもあり、トレードオフですね。BRAWならポスプロ時にシャープネスを強調できるのでそちらに任せるということなのかも。

オートXXX

オートフォーカス、オートホワイトバランス、オートアイリス(?)なども一応機能としてはありますが、性能的に良いものではなく緊急時用(?)です。BMDのカメラは基本マニュアルトランスミッションの車みたいな感じで、習熟して乗りこなしていくのが楽しいタイプ。

NDは外付け

BMPCC 6K ProではPocket系では初めてNDフィルターが内蔵されるようになっていました。ところがBMCC6KではLマウントを採用してフランジバックが20mmと短くなったため、機械的なNDフィルターの内蔵が困難になってNDフィルターは外付けに戻っています。
この短いフランジバックですと内蔵する場合は電子NDが必要になるかもしれず、もしそうなら実現はかなり先のことになりそうです。

内蔵記録メディアはCFexpress Type B

BMPCCまではCFastカードでしたがBMCC6KではCFexpress Type Bが採用されています。やはり書き込み速度が高速である必要があるのでしょう。
ちなみにCFexpress Type BはPCIe 3.0で2レーンを利用できます。CFexpressは現在は2.0と4.0の規格がありますが、おそらくBMCC6Kは2.0のほうじゃないかと。で、CFexpress 2.0だと1レーンあたりだいたい1GB/s転送可能で2レーンだと2GB/sくらい利用できる計算となり、かなり高速な読み書きができます。サポートされているカードのリストを見てみるとCFexpress 4.0のものもラインアップされているので下位互換が取れているようですね。

購入時に気をつけておきたいのは最大書き込み速度に惑わされないことで、あくまで継続的に一定以上のスピードで書き込めることが重要です。連続800MB/s以上の書き込み能力が欲しいかも。公式ページにBMDが推奨する製品のリストがあるので参考にしてみてください。

それともう一つ気を付けておきたいのは容量による転送速度の違いです。同一のシリーズであっても512GBまでのものと比べて512GBより容量の大きなモデルでは転送速度が倍になっているものが多いです。Amazonなどで購入する際には並行輸入なのか、正規代理店のものなのかもチェックしておきましょう。並行輸入品については代理店はサポートしていません。

もちろんSSDなどに外部記録可能

もちろん従来通りUSB-C経由でコスパのいいSSDにも収録可能です。搭載されているUSB-Cは3.2 Gen1なので5Gbpsということを考えると500MB/sの継続書き込み能力があればじゅうぶんに思えるんですが、SamsungでいうとT7 ShieldやT9などが上のサポートページで挙げられていて、もうちょっと必要だったりするのかなと思ったり。

内蔵冷却ファン

カメラとしては結構な熱を持つので冷却ファンが内蔵されています。それなりにファンのノイズも出るので注意。

迷いのない操作系と設定

もともとカメラに抱えている機能自体がそれほど多くないので操作で迷うことはありません。簡単にすべての設定を把握できるでしょうし、カメラ自体はすぐに使いこなせるようになると思います。代わりにその後のポスプロで利用するDaVinci Resolveが若干難易度高めです。

フレームガイドは自由

フレームガイド設定ではタッチパネルにテンキーパッドを表示できて、そこで比率を直接打ち込めます。でも必要とされるものだいたいはプリセットで揃っているんじゃないかなーって思います。

こんな感じの1:1の動画とか作ってみたい。

ISOの設定幅の余裕

デュアルネイティブISOとなっていてベースが400と3200です。でも設定値が400以上でなければいけないというわけではなく、100などにも設定できるのがすごく楽ちんです。手持ちのX-H2SだとF-Log2では最低感度が1200に設定されてしまうので日中屋外で撮影するのに難儀していました。

配信で便利な機能はまだ

BMPCCではできていたATEM Software Controlからのリモートコントロールは(まだ?)できません。リモート制御は直近のファームウェアによってできるようになっており、将来的には配信でも便利に使うことができるようになるかもしれません(いちおうiPadからBlueTooth経由でコントロールすることはできます)

ATEM Software ControlのカメラリストにはまだBMCC6Kが見当たらず

Blackmagic Cloudへのプロキシアップロード対応

スマホなどと接続することで、撮ってるそばからBlackmagic Cloudへプロキシデータをアップロードすることができます。BMCC6Kでこれやる意義みたいなのってなかなか微妙なのですが、チームを組んで放送準備するときには便利かもしれません。撮影者側のミスもBRAWの恩恵である程度カバーできます。

高速起動

映画って面白くてやっぱりclapperboard🎬が鳴ってから場面が動くんですよね。それまでは時間は止まっているも同然で、いわゆるシャッターチャンス的なものは存在せず、すべてが予定と見積もりの範囲内。なのでARRIやREDといった本気シネマカメラの場合は起動時間はお構いなしになっていて、スイッチを入れてから撮影できる状態になるまで40秒以上かかったりします。BMCC6Kはなんとスイッチを入れてからだいたい4秒くらいで起動します。めちゃめちゃ高速ですね!(もちろんスチルなども含めてシャッターチャンスを逃さないように作られた一般的なカメラよりは遅いです)

フォルスカラー

そのままだと偽色という訳になりますが、画像の明度を段階的に分けて、それぞれにわかりやすい色を割り当てて露出を調整するための機能です。シネマカメラによくついている機能ですね。画面中のブラックやホワイトが黒つぶれや白飛びしていないか、メインの撮影対象が適正露出になっているかをとてもわかりやすく確認できます。
Blackmagic以外でよく目にするカメラでいうとSIGMAのfpにもフォルスカラー機能が搭載されていてEL Zoneというマッピングにも対応しています。

通常の撮影であればBlackmagicのフォルスカラーでも必要十分と思われます。

PYXIS 6Kとの違い

PYXIS 6Kは映像出力が 2160p60までの12G-SDIになっていて、それとリファレンス入力がついています。ほかEthernet端子を装備。音声入力はmini XLRなのはそのままで1系統のみとなりました。スクリーンは4インチで側面に移動されており、メディアはCFexpress Type Bが二つ用意されています。あとUSB-C経由のメディア収録はUSB-C 3.1 Gen 1と変わらずなのはいいとして、Gen 1だったのですね。5Gbps。
さらにURSAシリーズでも利用できる大きめのファインダーが使えるほか、箱型を活かしてリグが組みやすくなっていて、バッテリーもBP-Uタイプが使えます。
映像出力が強化されていることでこちらはライブ配信などにも使いやすくなっていますね。液晶が側面に移動していることからも外付けのモニターかファインダーを利用することを想定しているようです。
忘れてはいけないのがマウントがLマウントの他にPLマウント、EFマウントも用意されており、所持しているレンズなどに応じて選択可能です。

BMCC 6Kで一番大変なこと

これはもう圧倒的にレンズ選びで、ガイド的なものがあまり見つからなくてめっちゃ苦労しました。
Lマウントのものが良いのか、それともPLマウントをマウントアダプタ経由で使うのが良いのか?YouTubeとか見まくっても全然わからず途方に暮れていた時にBlackmagic公式の製品のギャラリーページにレンズを含めて撮影情報が細かく記載されていたのを見つけてようやくこんな感じというのを掴めました。

このページで紹介されているレンズを見ていくとやはりPLマウントのシネレンズをマウントアダプタ経由で使っているケースも多いですね。LマウントネイティブのレンズはSIGMA優勢でした。

Lマウントカメラ各社純正レンズのメリットとデメリット

パナやライカ、シグマといったLマウントカメラを作っている各社のレンズをBMCC6Kに使うので良いの?というところですが、利用にはいくつか注意する必要があります。
BMCC6Kはレンズの補正プロファイルをカメラ内で読み込んで自動で補正できないため、撮影される画像はレンズの光学特性に依存します。したがってレンズの歪曲収差はDaVinci Resolveなどを使って後処理で補正する必要があります。
また、新しいレンズの多くはバイワイヤ式フォーカス制御を採用しており、フォーカスリングの回転速度に応じてフォーカスの移動距離が変わるノンリニアな特性を持っています。ということはフォローフォーカスを使用する際など、マークした目盛りに基づいてフォーカス面を移動させるのが困難になってしまいます。これがSIGMAやパナソニックのカメラであれば、カメラ側から設定を変更してノンリニアからリニアなフォーカスへの切り替えやフォーカス移動角の調整が可能です。BMCCではこの設定ができません。
さすがにこの設定はマニュアル操作がキーとなるBlackmagicのカメラでもできるようにしてほしいです。

シネレンズ

シネレンズは一般的にカメラでの補正を前提としておらず、素直な光学特性を持っています。
ブリージングが少ないほかフォーカスリングの移動角もスチル用と違ってかなり大きく設定されており、絞りリングもだいたいクリックレスとなっています。また焦点距離が違ってもフォーカスリングや絞りリングの位置、径が一緒のため、レンズを交換してもフォローフォーカスの位置を変える必要がないものが多いです。
ズームタイプではパーフォーカルといってズームすることによってピント位置がズレないものもあり、ズームして対象にピント合わせてから引いて撮るっていうのができて便利です。
ただ数が出るものではないのでだいたい高額ですね。

アナモーフィックレンズ

シネレンズの中でも横にぐいっと長めのアスペクト比で表現可能なアナモーフィックレンズ。最近ではSIRUIのSaturnのようにFF対応であっても手頃な価格のものもあります。
気をつけておきたいのは基本的に最短焦点距離が長めなこと。例えばSaturnは焦点距離の短いタイプであっても最短撮影距離が90cmで取り回しに苦労します。対象をバーンと入れて背景もドーンと入れたい派の人は面倒でもクローズアップレンズ使いましょう。

PLマウントレンズ

映画でもよく使われているシネレンズのマウント、PLマウントのレンズはもちろん種類が豊富です。PLマウントはもともとスーパー35センサーサイズ用に設計されているため、レンズを購入する際はフルフレームセンサーをカバーできるかどうかを確認しましょう。そういえばそうねって感じですが自分は勝手にPLマウントならFFも対応してるって思い込んでました。
実際には、フルフレームに対応しているPLマウントレンズもありますし、ラージフォーマット用のLPLマウントの場合はほぼ確実にフルフレーム以上のイメージサークルに対応しています。例えば、Leitzのレンズは最大60mmまでのイメージサークルに対応し、かなり大きなセンサーまでカバーできます。

オールドレンズ

もちろんミラーレスのフランジバックの短さを活かしてちょっと古めのレンズをマウントアダプタ経由で遊ぶこともできます。めちゃめちゃハレーションが発生するようなレンズを使ってみても面白そう。Mマウントレンズはフランジバックが27.8mmと短く、アダプタ経由で付けても見栄えがいいですね。

マウントアダプタ選びについて

さて、マウントアダプタを選ぶ際の注意点。ひとつ目はバックフォーカスの調整ができるか。これができないと無限遠にピントが合わなかったりします。かなり前の話になりますが、意を決してライカのレンズを買って無限遠が全然合わなかった時は悲しかったです……。調整できるタイプのものではシムと呼ばれる薄い板を交換したり重ねたりすることによって調整します。

上にあげたWooden Cameraのマウントコンバーターの商品写真でカラフルな輪っかが見えると思いますが、これらは色ごとに厚みが違っており、挟み込むものを変えてマウントコンバーターとカメラの間の距離を微調整できるものです。SIGMAのMC-31だとマウントコンバーターのカメラ側とレンズ側それぞれでシムによる調整が可能です。以下にシムの交換などについて解説してくれてるYouTubeを貼っておきますね。

ちなみにDZOFilmのOctopus Adapterは0.1mm精度で加工しているから調整の必要なしとの謳い文句

あと電子接点の情報を読み出してカメラ本体に渡してくれるマウントアダプタがあります。ただこの辺BMCC 6Kとの互換性に関しては全然情報がないんですよね。ライカ純正のM-LマウントアダプタやシグマのMC-21は大丈夫なのでしょうか?

BMCC6Kで使う際、電子接点を持たないレンズであったり、レンズの情報を利用できないマウントアダプタを利用する場合はカメラに焦点距離の情報を入力しておくことを忘れないようにしましょう。これをしておかないとジャイロを利用した手ぶれ補正などで適切な結果を得られません(うっかり忘れてしまった場合、後からRAWのメタデータの書き換えでどうにかなるのでしょうか?)

BMCC6K準備過程

はい、散財編です。買ったものと買ってないものがごちゃ混ぜとなっています。

レンズ

レンズがとにかく一番大きな課題でしたが、悩みまくって最後に清濁合わせ呑んでチョイスしたのがSIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II。このレンズの60%(いや70%くらい?)の機能をBMCC6Kでも利用できます(AFもほとんど使えないのと歪曲収差をカメラ内で補正できないのとリニアフォーカスの設定をできないという意味で)

一応歪曲収差はそれなりに強くて素のままだとこんな感じ(24mmの上端)

さすがに気になりますね

補正を入れるとひとまずこんな感じ。DaVinci ResolveのLens Correctionで「Analyze」っていうボタンを押すと自動的にこのくらい?っていうのを算出してくれます。ただ、まだちょっと補正が甘いですね。

これもまだちょっとキビシイ

手動で試行錯誤して補正するとこんな感じ

やりすぎてうねってる感じもなくはないですね

ということで歪曲収差以外は気に入っています。
ひとまずこれでFIXの画は綺麗に撮れるようになったので、次買うならFF用のシネマレンズがいいなーって夢想してます。
SIGMAのFF対応F1.8の広角ズームの噂もありますね。価格的に30万円切らない気がしているのですがどうなんでしょうか。

NDフィルター

今回はNISIのSwift FSにしてみました。固定NDです。同じSwiftシリーズのVNDもいいですよ。ただBMCC6KではISOの設定範囲を広く取れるので固定でも大丈夫かなと思ったのと、せっかくシネマカメラなのだからVNDの色ムラで悩まされたくないなとこちらに。ISOをガチで揃えておきたいという場合にはVNDが便利そうです。

ケージというかリグというか

モニターも必要なさそうだし大それたリグを組む必要はないかなと思っていましたが、三脚に据えたりマイクを載せたり、あとハンドルあるとやっぱり便利だなということでケージを考えています。ケージはTILTAやMID49をはじめ各社から発売されていて、TILTAのだとBMD純正のバッテリーグリップも使えます。BMCC6Kってセンサーがちょっと高めの位置に配置されているのでフォローフォーカスの位置を考えると選ぶのがそもそも難しいのと、オープンゲートで撮影できるので縦位置のことも考えたいなどとなると、もう何が良いのかわからなくなります。

結局ケージはTILTAのものにしました。バッテリーグリップにも対応しているということと、ケージの正面から見て右側、HDMIなどの端子がついているほうの正面に位置ぎめ穴のついた1/4の穴があって、マウントをつけることでロッドをそこから伸ばすことができるんです。ちょっと試してみようかと。

外部バッテリー

ティルト液晶ですとVバッテリーをカメラの背面に設置するのがちょっと辛いので、純正のバッテリーグリップか、CORE SWXのPB Edge Linkみたいにカメラの下につけるタイプのが良いかもしれません。悩ましい。YouTube見てると結構な割合で背面液晶からちょっと離してVバッテリーつけてたりするんですけどあまり使い勝手良くないですよね。

ちなみに付属のバッテリー1本で1時間持つようです…そんなに持ちます??
それでも付属のバッテリーは高性能のようで3,350mAhとなっており、ここまで大容量の互換バッテリーは国内ですと見かけません。

外付けモニター

特に必要はなさそう。ただ7inchくらいの大きな画面で確認しながら撮影したい場合には良いかもですね。先述したとおり出力は1080pまでですのでレコーダー機能は必要ないかと。とはいえBMDでいうとモニター機能のみのカメラ用モニタはないので純正で揃えようとするとBlackmagic Video Assistくらいになりますが、そろそろ記録メディア部分の性能不足が目立ってきてるので遠くない将来にCFexpress Type Bを搭載した新モデルが発表されそうですし今の時点ではちょっと手を出しにくいです。

マイク

ぶっちゃけ音が必要な時はフィールドレコーダー使って別クチでやると良さそうです。
ただ自分の場合はソロで映像と音声の別撮りを同時っていうのはやること多すぎて失敗する未来しか見えません。なのでカメラにはガンマイクでも載せておこうかと思いつつ、アンビエンス録るならステレオ収録したいなーなど。

よくマイクを付け替えるならXLR to mini-XLRのオーディオブレイクアウトがあると便利そうです。ケージに固定しておくことでマイクケーブルの抜き差しが楽になりますね

もしくはBMDのVideo Assist用のケーブルも……(ただ長さがちょっと気になります)

XLR to mini-XLRのケーブルは特殊でなく他にもいろいろあるので検索してみて下さい。もちろん自作するのもありです。手頃なものだとmini-XLR側はREANのRT3MC-B

XLR側はノイトリックのNC3FXXあたりでケーブルは好きなものを。柔らかめのやつがいいですね。

そのほか音声関連で悩ましいのがタイムコードで、BMDですとUltraSync Blueを使おうとするとUltraSync Oneが必要になるんです……。できれば脱UltraSyncしたいんですけどフジやニコン、TASCAMやZOOMもそっちに行っちゃってるので面倒すぎます。
動画界隈ってこの陣営争いみたいのがあってFrame.io-UltraSync-ProRes RAW陣営と、対するBlackmagic Cloud-その他タイムコード-Blackmagic RAWみたいな感じで、この両陣営を跨ごうとすると結構なコストが発生するのがユーザとしては痛いところ。

メディア

以前はCFexpressのカードがかなり高額だったのでSSDを使う人が多かった印象ですが、だんだんと値下がりしてきてこの値段だったらCFexpressでも良いかなと思えるようなものも増えてきました。

AngelBirdのメディアもたまにセールで安くなっているのを見かけます。

ワークフロー

撮影後はとりあえず素材をDaVinci Resolve Project Server互換として立ち上げたNASのSSDにコピーしてプロキシ使って各コンピュータ上で編集、区切りがついて書き出したらコールドストレージのHDDに移動してバックアップ、みたいなワークフローでしょうか(Resolveを19にアプデしたのですがProject Serverはそのまま使える???)あっというまにHDDが消費されていきそうですね。

まとめ

これに加えて今はNDフィルターまで揃っててあとはケージやマイクなど

まだ外に持ち出していませんがそのうち。こんなニッチなカメラですけど、日本で飛ぶように売れてたのをみてちょっと嬉しくなってました。さて、あくまで撮影やポスプロはコンテンツ制作過程のごく一部。なんだかんだで自分にとって一番大変なのは企画を作ることで、そちらも学びつつ映像作品をガシガシ作れるようになりたいです!