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2.1. 用語の解説 - 商品売買

本記事の内容は以下の電子書籍「【日商簿記3級編】読まないで会計思考を身につける方法」をベースにnote用に内容を一部、修正・改変しています。

まず、会計独特の用語の使い方に少しづつ慣れましょう。
大きく4つのパートに分けて解説します。

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2.1.1. 商品売買取引

2.1.1.1. 現金仕入れと売上げ

クチヒゲさんは、八百屋を営んでいます。扱う商品は「リンゴ」です。
リンゴは、農家であるアゴヒゲさんから 300 で仕入れます。
その仕入れたりんごに儲け 300 をのせ、レストランを経営するハートさんへ600 で売上げます。
この一連の取引が「商品売買取引」です。

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簿記ではよく、商品を仕入れた先を「仕入先」、商品を販売した先を「得意先」といいます。​

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現金仕入れ取引のまとめ図

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2.1.1.2. 価額と価格

価格」とは単価のことであり、「価額」とは単価×数量の合計のことです。ここは混同して使われるのをよくみかけます。しっかり、使い分けましょう。

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以下の例でいえば、得意先へ販売した、りんご3個の売上価格は「200」であり、その売上価額は「600」です。価格(単価)は「@」で表現されることが多いので、本文中・図中でも価格(単価)と価額の混同をさけるため「@」を使用します。

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2.1.1.3. 取得原価

「取得原価」とは、本体の取得価額(購入代価)に発送運賃などの付随費用を加算し、割戻し分を控除した金額のことです。(付随費用と割戻しの詳細は後述)

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例えば、仕入先からりんご3個を@100円で仕入れれば、「取得価額(購入代価)」は 300円です。
購入代価は、商品などの棚卸資産の本体の金額のことです。

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運賃など、購入に伴って発生する諸費用(これを付随費用(ふずいひよう)という)を支払えば、それらは「取得原価」を構成します。
ここで割戻しがなければ、取得原価は 600 です。

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ここからさらに、「割戻(わりもどし)」を差し引けば、取得原価450になります。
この結果、りんご1つあたりの取得単価は @150円になります。

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会計では、この「取得原価」が貸借対照表における表示の基礎です。

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2.1.1.4. 付随費用

「付随費用(諸掛り)」とは、商品売買において発生する運賃などの諸経費のことです。
まず、仕入取引にかかる付随費用から確認します。

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当社は商品の仕入代金 300 を支払い、仕入先は商品を発送します。
発送代金は当社負担とします。

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当社は商品の受取に際し、引取運賃30 を運送会社へ支払います。

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この当社負担の引取運賃 30 のことを仕入れに係る諸掛りなので、「仕入諸掛り(しいれしょがかり)」といいます。

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次は、売上取引を確認します。
発送運賃30 は当社の負担とし、商品を 600 で売上げます。

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当社は得意先から販売代金 600 を受取り、商品を発送します。

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当社は、運送会社が得意先に発送する費用として、「発送費 30」を運送会社へ支払います。

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この当社負担の発送運賃 30 は、売上げに係る諸掛りなので、「売上諸掛り(うりあげしょがかり)」といいます。

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付随費用(諸掛り)のまとめ図

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2.1.1.5. 掛けによる仕入れと売上げ

「掛け仕入」とは、後日まとめて仕入代金を支払うことを約束し、商品を仕入れることです。掛けで仕入れれば、その代金を後日支払う義務、「買掛債務」を負います。これは人に何かをしてもらったら、その人に「借り」ができるのと同じです。後で「借り」は返さないといけません。

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反対に、仕入先からみれば、当社に対して売り上げたわけですから、これは「(売掛)債権」です。このように、誰かにとっての権利(債権)は、必ず、誰かにとっての義務(債務)になります。

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この「買掛債務」は、約束した支払期日が来て、お金を支払えば清算されます。
つまり、「借り」を返したことになります。

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次は、商品を掛けで売上げた場合を確認しましょう。
「掛け売上」とは、後日まとめて売上代金を回収することを約束し、商品を売上げることです。
このとき発生する債権を「売掛債権」といいます。

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この売掛債権は、約束した支払期日が来て、売上代金を受け取ることで精算されます。これが売掛債権の受取(回収)です。このように、「債権を回収」、「債務を精算」のような言い回しをよく耳にします。

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掛仕入と掛け売上のまとめ図

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Column_そもそもなぜ掛け取引が必要か。
なぜ、企業間取引は掛けによる取引が多いのでしょうか?

通常、企業間取引は単発取引でおわらず、同一の取引先と反復継続的に取引を行います。この場合、取引の都度、現金決済しているとお互い手間です。

また、たとえ振込であっても、月に1回まとめて振り込んだほうが、振込手数料も安くつきます。

そのため、企業間の取引においては、1ヶ月の取引をまとめ、一定の支払期日を定めて決済する「掛け」での取引が採用されます。

企業間取引以外では、例えば、クレジットカードの支払いが、「掛け」取引です。商品を購入したときではなく、まとめて月末付近に預金口座から引き落とされていると思います。あれは「掛け」取引をクレジットカード会社と行っています。

2.1.1.6. 締め日

掛けによる取引では、ある期間に発生した掛けによる取引の合計金額を支払期日にまとめて支払います。
例えば図のように、3月の間に発生した仕入代金の合計 900 を4月の末日にまとめて支払います。

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クレジットカード支払いもこのような支払方法です。
例えば、R社のクレジットカードカードの支払い条件が「月末締め翌月27日払い」だとすると、3月中にクレジットカード払いした分の預金口座からの引き落としは、4月27日に行われます。

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