オーディオ好きはひとりごつ お洒落と高音質は成立するのか
雑感あなたこなた
【オーディオ好きはひとりごつ
~お洒落と高音質は成立するのか~】
私は今までもこの先もAirPodsを使う事はないし、何なら最新型イヤホンに対して使ってやらないぞ、という対抗意識を持っている。
のっけから爆弾発言で申し訳ないが、オーディオに限らず音楽絡みでオタクに片足を突っ込むと石頭になっていくものらしい。
ロリータファッションしかり、私の趣味というのは毎回お金のかかるものなのは一体何なのだろうか……。
熱心なロック愛好家が昨今流行りのJ-POPを毛嫌いする事に若干近いだろう。
一回だけ、別のワイヤレスを使っていた事があったがものの半年で片耳が聞こえなくなった…というちゃんとした理由も勿論ある。
AirPodsの一部ユーザーがメトロの車両に落とすだとか、高級なイヤホンというのにしょっちゅう失くしてその度買い替える人がいる…というようなニュースを見て、
(私はイヤホン片耳聞こえなくなっただけで気が気でなくなるからなぁ……)
とは思う…が、ここまでは9割表層的な理由に過ぎない。
およそ10年前。
中3だった私の誕生日プレゼントはソニーのちょっと良いイヤホン(4~5000円程だったか)だった。
当時から(今もだが)iPodで音楽を聴いていたが、付属イヤホンが全体的に平面感のある音でイヤホンの音質、というのを理解には遠い人間なりに苦手だった。
SONYのイヤホン、というのは音が全体的にクリアで聞き取りやすいほか
細かい音(ピアノのペダルを踏む音や、ホールでの録音だったらコーラスの残響などである)も拾ってくれる代物なので初めていいイヤホン、というのに片足を突っ込む人にはおすすめできるものだそうだ。
その日は好きな曲達を聞き、
(ここで、こんな音なっていたんだ……!)
と感動しきりだった。
Appleの製品自体、どちらかというと洗練されたデザインや操作性、ブランド力に裏付けされて支持されているモノで(Appleのオタクというのは居れど)あくまでライト層向けのものなのだろう。
本当に高音質のイヤホン、というのはヨドバシへ行って自分で吟味する必要があった。
父が機械オタクの家で、オーディオやイヤホンもまた自分の興味の管轄内だったらしく数年前にワイヤレスと有線のイヤホンって音質違うのか、と聞いたら、
「音質気にするなら、有線使い続けた方がいいね」
と返された。
こうして…リンゴのマークの白いイヤホンを貰っても喜ばないどころか、頑なに使わないヒネくれた女子高生が出来上がったのだ。
(当時の話だが、Apple社のイヤホンというのは大体のJKにはお洒落と喜ばれるものであった)
そして10年近く経ってこのエッセイを書いている次第である。
私がいま使っているのはゼンハイザーという会社の「IE 100 PRO」という
ミュージシャンやオーディオエンジニアなど本業の方たちが使用する「モニターイヤホン」に分類されるものである。
かれこれ5年近くの付き合いになるが業務用みたいなものなので頑丈に作られているのか健在である。
モニターヘッドホン・イヤホンはその他のヘッドセットにはある、低音や高音を勝手に強調してしまう事がない。
CD本体、録音環境や微かな声の機微というのもそのまま通すものなのでアーティストのレコーディングでも使われている。
YouTubeの『THE FIRST TAKE』というアーティストの一発録り企画で使われているSONYのヘッドホンもモニターヘッドホンの代表作である。
私が使っているのはもう少し素人のリスニングに適したものなので音源の音質が分かるようになったのは勿論だが、去年に入ってからパリのノートルダム大聖堂にあるオルガンの音が入ったクラシック(というより教会音楽か)のアルバムを聴くようになったのでオーケストラなどをイヤホンで聴いた時にある、
「あの楽器のこの音が埋もれてる……」
というのがなく快適に聴けている。
オーディオに拘っている人がクラシックを聴くようになるのはこういう所にもあるのかも知れないと感じた。
中学のころはアニソンしか聴いていなかったが(当時、ピアノ教室には通っていたが。クラシックに対して私の3倍ほど硬度の高い石頭だったその時の先生に反抗して家では一切聴かなかった)
某スタンドバトル漫画を読むようになってからは元ネタになっているバンドの曲を聴くようになり数年後、サブスクというものの恩恵を受ける事となるのだった。
話を少し寄り道させて頂くと。
YouTubeの動画で“ルームツアー”というコンテンツがあり、有名ファッション誌ではアナ・スイや有名モデルの豪邸からルームツアーに特化して、日本家屋からお洒落な和洋折衷ルームを作り上げた方やアメリカの映像が可愛いガーリー映画に出てくるようなインテリアを紹介するチャンネルなど探していれば永遠に見てしまう。
さて、そんなルームツアーで出演率の高いオーディオスピーカーがあるのだ。
Marshallというイギリスのメーカーがある。
ギターをやっていた事がある方ならご存じだろうか。
かのジミ・ヘンドリックスもここのアンプの愛用者だったそうだ。
楽器屋さんを通った時に巨大なお洒落スピーカーが設置されているお店があるしそういうお店ではここのアンプは大体取り扱いがある。
ここのスピーカー、ガーリーなインテリアにも溶け込むほどおしゃれなデザインをしていてかつ音質もとても良いらしく。
この前ヨドバシで気になっているカラーである白の現物を初めて見たが光沢も控えめな上品な白に輝くスピーカーは、明らかに周囲のスピーカーと並べても良い意味で異質だった。
(とても由緒あるメーカーで若い女性に受けそうな白の可愛いスピーカーが出ている…というのにもびっくりしている)
他にブラックも勿論だが、ブラウンレザーっぽいカラーもありブラウンは和風のレトロなインテリアなどにも溶け込みそうな見た目である。
まぁ、お察しの通り可愛くないお値段だが……例によって貯金を頑張っていつかお迎え出来れば嬉しい次第である。
と、ここまで書かせて頂いたが。
私の好む類のオーディオは恐らく、モニター用イヤホンや本職の方が使うアンプ会社のリスニング用スピーカー…など素の繊細な音まで聴こえるタイプのものなのだろう。
オーディオというのは、ちゃんとしたモノを揃えようとすると値が張るモノであるのと良いものが分かるのは違いの分かる大人…という印象を受けるのだろうか。
社会人になった時、いいイヤホンを購入する人も割といるのだろうか。
イヤホンに求めるもの…というのは人それぞれだろう。
始めのほうではけっこうな事を言ったが(すいませんでした)、AirPodsもまた学生さんや若い人たちにとって働いてから欲しいものなのだろうか。
あくまで私が音質バカなためあんなことを言ったが、マイク機能やApple社製品を使うのに持っていて損はない多機能なイヤホンであるしApple社製のスピーカーというものにこだわっている人もまた、電子機器へのこだわりを持つ人間である。
価値観はオーディオひとつとっても、とても人それぞれだという話である。
執筆 むぎすけ様
挿絵 シエラ様
投稿 笹木スカーレット柊顯
©DIGITAL butter/EUREKA project