レトロゲーム回顧録『魔界塔士サガ』
お金を貯めて初めて買ったハードはゲームボーイ
私が高校1年の冬にゲームボーイの本体を買う前に魔界塔士サガに買った。普通はハードとソフトを同時に買うのだが、私がゲームボーイを買った時は順序が逆だった。これには当時、私の家庭環境とゲームを取り巻く複雑な事情に大きな問題があった。
我が家のゲーム事情
私の両親は家庭用ゲーム機に対して強い偏見を持っていて、私がその話をすると度々怒られることがあった。
その為、いつでも自分の望む時間と好きな時間に遊べる事と高い携帯性、ゲームボーイのハードとソフトはファミコンソフトに比べて小さく隠しやすさの高い利便性を考えれば、ゲームボーイの様な家庭用携帯ゲーム機は私の複雑な家庭事情にベストマッチしていた。
私の周りの友達もゲームボーイを持っていて、いつか私もゲーム機が欲しいと思い近所に住む親友の先輩が親身に相談に乗ってくれた。
親に見つからない様に何度かゲームボーイの本体を1週間ぐらい借りて、時にはゲームソフトを借りる事もあった。
そして貸し借りの日取りや段取り、万が一親にゲームボーイが見つかった時に備えて本体とソフトの隠し場所等を教えて綿密に親友の先輩と相談。
私もなるべく両親に見つからない様に両親のいない時間帯を選びゲームを遊んだ。それでも親に見つからなかったのは幸運としか言いようがない。そんな事が何度か続いて、少しずつ貯金したお金が貯まって7月の終わりくらいに念願だったゲームボーイの本体を購入。
これ以降、親友の先輩からゲームボーイの本体を借りる事はなくなり自分の家で思う存分ゲームを楽しむ事が出来た。
念願のゲームボーイ購入!魔界塔士サガクリアする。
私がゲームボーイを購入した時には、魔界塔士サガは大詰めを迎えていた。
私が育てたパーティーの編成は、人間の男女2人とエスパーの男女2人の4人パーティーで彼らは十分強くなり、後は塔の頂上を目指してエンディングをむかえるだけとなった。
魔界塔士サガをクリアしたその日の夜は、日曜日にもかかわらず両親が共働きで家にいなかったのでこの最大のチャンスを逃す事は出来ません。両親が家に帰ってくる前にゲームをクリアしなければならず、ある意味時間との勝負だったかもしれない。
塔の頂上を目指すために何度も敵と遭遇して戦わないないといけないが、私は戦闘を回避するために戦闘前にセーブを地道に何度も繰り返し、モンスターと遭遇する度に逃げるを選択して極力戦闘をしないでいたが、たまにモンスターから逃げる事に失敗したらゲームボーイの電源を切ってタイトル画面に戻りコンテニューとセーブを繰り返して塔の頂上を目指した。
苦労の末に塔の頂上に住む『かみ』と出会い自らの退屈しのぎの為に世界を混乱に陥れ、その傲慢で身勝手な行為と態度に怒りを覚えたキャラクター達は『かみ』に無謀な戦いを挑んでいく。
当時の私は何も知らずに正攻法で戦ったので、ラスボスの『かみ』は、プレイヤーの様々な武器を使って全力で攻撃して瀕死状態に追い込んでも『ふっかつ』を使いヒットポイントを全部回復。たとえプレイヤーがラスボスの『かみ』の攻撃を運良く全てしのぎ切ってもこちら側は瀕死状態。ある意味チート級の強さを持つラスボスである。
『かみ』の攻撃は『ひかりあれ』で仲間全体に目潰し攻撃・『かみのひだりて』で威力中の全体攻撃・『かみのみぎて』で威力大の全体攻撃・『くいあらためよ』で全体に混乱攻撃・フレア等の様々な攻撃で容赦無くプレイヤーを苦しめ、『かみ』のヒットポイントが僅かでも残っていれば『ふっかつ』を使いヒットポイントを全部回復してしまう強敵・難敵であった。
私が魔界塔士サガのラスボス『かみ』の攻撃で特に印象に残った攻撃は、ラスボス『かみ』が使用する『くいあらためよ』の攻撃で仲間が混乱して仲間を同士討ちをしてしまうので非常に厄介で困った攻撃のひとつだった。
ラスボス『かみ』との戦闘は悪戦苦闘の連続で何度もゲームオーバーになりながらも何とか勝つ事ができ、両親が家に帰ってくる前に魔界塔士サガのエンディングを無事に迎える事となった。
その日は感無量の夜を迎える事ができた。
魔界塔士サガとチェーンソー
魔界塔士サガをクリアしてその後にラスボスの『かみ』はチェーンソーで一撃で倒せる事がしばらくして分かり、2回目以降のプレイではチェーンソーを装備して『かみ』を倒しに行く事になり魔界塔士サガのラスボス『かみ』との戦闘は何の苦労も無く瞬殺一撃で終わった。先輩の友達と会話した時に
「何で、魔界塔士サガのラスボスの『かみ』はチェーンソーで簡単に倒せるんだ」
そう質問された時に私は
「『かみ』イコール『紙』とかけたのなんじゃないか?」
と割りと簡単に答えた事答えた事がある。
魔界塔士サガはゲームボーイ初期に発売された初のRPGで、少ない容量で上手く世界をまとめた作品で、場所を取らずに気軽でどこでも手軽に遊ぶ事が出来る携帯ゲーム機であるゲームボーイには非常にマッチしていたと言える。
少ない容量を生かしたユニークな成長システムと独特な世界観を持った魔界塔士サガは、人気作品になりその後のゲームボーイにおけるRPGのジャンルを確立していき、サガシリーズとして続編の発売されるほどの人気作品になっていった。
魔界塔士サガ発売以降に発売される携帯ゲーム機におけるRPGゲームの礎となり、その後の携帯ゲーム機におけるRPG作品に与えた影響は大きい。
後にワンダースワンカラーからリメイク版が作られ、携帯電話への移植も行われて、2020年12月15日にはニンテンドースイッチ用ソフト『Sa・Ga COLLECTISON』としてゲームボーイ版の全3作品を完全移植版が収録されるほどの人気作品となっている。
当時は、剣と魔法の世界が主流だったファンタジーのRPGの中でも珍しくSFやサイバーパンク等のジャンルを取り上げていて、SFではお馴染みのパワードスーツ・ビームライフル、荒廃した都市世界ではバイクが存在する世界なのに、剣と魔法の世界では有名な武器としてエクスカリバーとまさむねが存在しており、何でもありの世界を上手くまとめた魔界塔士サガの独特の世界観は発売から30年以上経った今でも色褪せない名作で現在でも多くのゲーマー達から愛されている作品となっている。
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