いつか西の英国庭園へ 関西カフェに思いを馳せて
横浜喫茶あなたこなた 番外編
【いつか西の英国庭園へ ~関西カフェに思いを馳せて~】
※おことわり…
ここから先書いていくのは、未踏の地である憧れの大阪カフェに対する独り言である。
かなり事実とは異なる場合もあるのでご容赦願いたい。
いずれ行く日が来たら、追ってこの目で見た関西のカワイイものを記したい。
横浜の異国情緒溢れるカフェ、というのはこの連載で度々紹介してきたが私はこの頃関東の瀟洒な佇まいのカフェだけに留まる事なくインスタ等でしきりに『#大阪カフェ』や『#イギリスカフェ』などを検索して関東には無いカワイイものを探している。
無論近くの京都や神戸、同じ大阪でもUSJにも可愛いものはある。
京都は言わずもがな、美しい古都の上に歴史の美しい絵巻物が繰り広げられてその上にあの町がある。
最近だと任天堂の本社が建っているのもあり、今度ハテナブロックが目印の博物館もできる。
今年のユニバのハロウィンイベントにポケモンの文字を見た時、密かに関西の人を羨んだ(この前の夏、横浜にもピカチュウが来たクセに……)。
だが、今密かに計画している大阪一人旅行計画では“大阪の竹下通り”と呼ばれるアメリカ村やら洋館やグレーの煉瓦橋の上がカフェテラスになっている北浜を見て回るつもりだ。
大阪における若者の街、梅田の赤い観覧車からあの関西の千代紙のようなとりどりの街並みを眺める日を心待ちにしている。
関東のヨーロピアンなカフェには無いものを持っているなぁ、と感じるのは(ショップでも路面店が多いからか)一店の世界観が店の周りの小庭園含め完成されている所だろうか。
無論、こっちもそこは負けてはいないが全体的にはシンプルである。
例えば、淀屋橋の地階を降りていくとある【オフィシナデル・カフェ】と【オールドローズガーデン】という2つの英国風カフェ。
このふたつは同じ系列のお店が運営している。
オフィス街のコンクリートの階段を下っていくにつれ緑に覆われた秘密の花園が姿を現し階下に薔薇が描かれた陶器のティーポットを模したフラッグがたなびき、そこかしこに英国の本の挿絵と思しき看板が飾られている。
白い窓枠越しにはヴィンテージからロリィタブランドのキャラクターまで、様々なテディベアが英国インテリアの本や英語で書かれた挿絵の綺麗な絵本の積まれた椅子の上で居心地良さそうに鎮座している。
訪ねてみたいのは、オールドローズガーデンという19世紀ヨーロッパを舞台にした映画の少女部屋めいた可愛らしいカフェである。
壁紙にはピンク色の小さなローズブーケの図案が彩られていた。額縁にはそれぞれ静物画やロンドンの街並みの絵に若い女性の白黒写真が飾られている。
小さな白い窓枠にはリボンで留められたレースのカーテンがひかれている。
天井には小ぶりながら美しい白のシャンデリアが部屋を照らしている。
スワッグが壁に吊るされた壁際の席に座ると、テーブルにはバラのクロスが敷かれている。
そこかしこに掛けられた古い壁掛け時計に目をやりながらキッシュと紅茶のセットを頼みたいと思っている。
オールドローズガーデンでも、私の大好きな“アフタヌーンティー”と呼ばれるメニューは提供されている。が、今回ここではお預けにしているのは淀屋橋からおよそ12分、馬車道と少し似た雰囲気を持つ北浜という地にある洋館カフェ・【北浜レトロ】という名店を尋ねてみたいからである。
ユニオンジャックの旗が二階窓からたなびき、出入口の傍らには金のティーポットを模した小さなオブジェが吊るされている“北浜レトロビルヂング”という素敵なネーミングの明治時代からこの地を見守ってきた洋館。
そこが令和の世では人気カフェとして土日には若い女性が列をなしている。
木製の重い扉をくぐると、まず広がるのはロンドンの土産物屋さんのようなダークブラウンの飾り棚の上には所せましと可愛らしいテディベアが並び、棚の中には薄青と白のストライプが鮮やかな紅茶の茶葉の袋が並べられている。
壁掛けの燭台には二つのろうそくが揺らめいている。
壁には昔のリプトンの広告やロンドンの時計塔の静画、向こうの牛乳のポスターが一面覆うように飾られていた。
右側にはケーキやスコーンも販売されていて、ケーキのショーケースの上には硝子瓶の中に暗く透き通ったジャムが並べられていた。
テディベアや向こうのマグカップも、実際に販売されているらしい。
コバルトブルーの美しい枠に区切られた二階のカフェスペースに案内される。
金の燭台が煌めくシャンデリアが青緑の鮮やかな窓枠から北浜の街(この店から見るとさながらロンドンの街に思えてくるだろうか……AHMAD TEAという紅茶のパッケージに描かれているあの風景を大阪に見る事になるかも知れない)を見守るこの静かなティーラウンジ、英国のものであろう図案のテーブルクロスが敷かれたテーブルの上でアフタヌーンティーを楽しめれば素敵だろう。
私個人の感想だが、ホテルの高い天井や豪華な調度品に見守られたアフタヌーンティーよりも小さなカフェにてまったり一人ヌン活する方が気は楽…というのもあり好みである。
帰りには、“ストロベリーフィールド”という可愛らしい名前の茶葉を買って自分への土産にしようか。
……と、ここまで空想で書き切った感はあるが実際に行ってみないと今日名前をあげたカフェの魅力というのは10分の1も伝わらないだろう。
行くとしたら、来年になるだろうか。
私の事である。大阪でもカフェ巡りやサンリオショップに立ち寄って…変わらない“カワイイもの探し”に余念が無いだろう。
執筆 むぎすけ様
投稿 春原スカーレット柊顯
©DIGITAL butter/EUREKA project