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サイゼリア狂想曲

 じつはまた札幌にぶらぶらしに行って、5日間ほど滞在していた。11月中旬になると雪が降り始め、道央に車で出かけることも難しくなるので雪が降らないうちに遠出しておこうと思ったためである。密かに札幌に引っ越しすることも画策して、物件の情報をネットで見たりもしていたのだが、札幌は雪が多いし中心部はやっぱり人が多すぎて生活するには不便である。函館に住んでときどき札幌に出かけるくらいでちょうどいいのかもしれない。

 12月に函館に新しい商業施設がオープンして、その中に道南初のサイゼリアがオープンする。サイゼリアは1月にならないと営業開始しないらしいのだが、ニュースが出たときからサイゼリアに無性に行きたくなってしまった。サイゼリアのピザが食べたく、代わりに函館にあるピザの店に行ってみたりしていたがイマイチで、札幌に行くついでに必ずサイゼリアに行こう、と心に誓って行ったのである。

 札幌に着いた日曜日、ホテルにチェックインして札幌駅の北口にある地下のサイゼリアにのこのこ出かけていって驚愕したことには、なんと長蛇の列ができていた。日曜の夜だからまあ大丈夫だろうと高をくくっていたら、10人以上並んでいて、泣く泣くホテルに引き返してそのまま寝た。

 翌日はリベンジのために、開店と同時に店に行って、無事座ることができたが、私のあとにもすぐ次々に客がやってきていた。ピザとチキン、ドリンクバー、それからまたピザを食べて、一人で2,000円以上も豪遊してしまった。あとから来た客を見ていると、就活中の学生やらサラリーマンやらも結構いて、食事もせずドリンクバーだけ頼む人も多い。昨日の行列の原因もこういう単価も低く回転も悪くする連中のせいだと思うと腹が立った。

 そしたら今日は集英社オンラインにこんな記事が出ていた。

 リモートワークや、デジタルコンテンツの充実のためにカフェでも席を占拠して、長っ尻の客が増えているということだ。カフェはもともと難しい業態で、定年後に自分のカフェを開くなんてのはサラリーマンの密かな願望としてありがちだが、破産まっしぐらだから絶対にやめたほうがいい。高度経済成長期の、人が座って話す場所が絶えず不足してた時代に、泥水みたいなコーヒーでも申し訳程度に出しておけば金を取れて業態として成立した時代とはもはや条件が違うのである。いまや客の要求水準は高く、金も落とさないくせに延々とTikTokを眺めて場所を占拠する時間ばかり長いという時代にはほぼ無理だ。そのうちカフェでコーヒーを飲んでたらトルコリラでも買いませんかと営業をされるという時代が始まってもおかしくない。まあ、食い物に睡眠薬を入れられて自宅に火をかけられるのに比べれば圧倒的にマシかもしれないが。
 
 サイゼリアもそのうちにフードを頼まないとドリンクバーが頼めないとか、ドリンクバーも15分ごとに料金が加算されるとか、ドリンクバーはそのままだが席料がかかるとか、そういう感じになっていくのだろう。

 最初に行ったサイゼリアの店舗では自分のスマホからQRを読み込んで注文するタイプだったが、その後に行った別の店ではまだ紙の注文票に書いて注文する方式だった。函館のサイゼリアがどちらのタイプになるかはわからないが、客のスマホで注文させるタイプは今後電気代の高騰やらシステムトラブルの手間やらと相まって減っていくような気がする。AIが発達しすぎて、なんでもかんでもデジタルにすればいいみたいなトレンドも完全に終わっている。サイゼリアの鄧小平イズムで良い感じにしてくれ。


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