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追加コンテンツの行方
前回のnoteの、続きというか、番外編です。
終わったはずの青々しく、苦々しい、甘酸っぱくない、恋愛、まさかの、番外編突入。
こうやってふざけて書かないと、涙に変わってしまうので許してください。
人生で、1番好きになった人でした。
ほとんどあって無いような、私たちにだけ流れる独特の関係をただ壊したくなかった。そして何より、あの人に嫌われたくなかった。3年前の私は、ただ度胸がなかった。それだけの理由。私の口は「好きです」と紡げなかった。
3年経った。
だいぶん、大人になった。
何より、目が覚めた。
見て見ぬ振りをしてきた。「私たちの関係は変わらない」という現実を受け入れられる様になった。美化されているだけで、私たちの関係は変わらない。知り合い以上、友達未満。意を決して、悩みに悩んで、追加コンテンツとしてLINEをすることにした。好きだった、という言い逃げの。返信はいらないとわざわざ付け加えた。内容には死ぬほど頭を悩ませたのに、送るときは寝ぼけ眼だった。やる気あんのか。ここまでが、前回の記事。
追加コンテンツとして送ったLINEに返信が来た。
来ないと思っていた。
1週間以上、既読すらつかなかった。もともとほぼツイートをしないのに、その1週間の間にツイッターには現れた。だから油断した。もうおしまい、と思っていた。
通知が来るのが怖いから、あの人の通知だけ切っていた。けど、もう返信はないんだろうと思って通知をオンにした。オンにしたらすぐに返信がきた。心臓が痛くて、内容を見る前に通知欄から消した。それでも、少しだけ目に入ったのは「ありがとう」と「恋人がいる」ということだった。
心臓が痛くて、目の奥にぐんぐんと水が溜まっていくのがわかった。喉の奥がヒリヒリと痛い。鼻の奥がツンとする。だけど、泣きたくない。戦う。目を瞑る。息を吸う。過剰にゆっくりと吐き出す。
返信をくれた。
ふざけた、とは言わないけれど、本当にただの言い逃げ丸出しの、あんだけ考えたくせに今読むと「ひでえな」と思うような追加コンテンツに、返信をくれた。それだけ。そんなことが妙に嬉しかった。変なやつ。振られてますけど。
送ったときから、わかってたのにね。
返信いらないよ、という私の当てつけのような捨て台詞を、あの人が無視すること。それでも返信に1週間くらい平気でかかること。優しいから傷つけない言葉を選ぶこと。わかってたのにね。
あの人が私を選ぶことはない。
そんなことは学生時代から知っていた。私の、予想通りの結末。だけど、言葉が違った。くれた言葉は、全然違った。そこら辺は、いつも私の予想の上を行く。
もっと傷つく準備してたじゃん。
返信は、まだしてない。
この期に及んで、私は、まだ嫌われたくないと思っている。物分かりのいい女のふりをしようか、それとも純粋に思っていることだけ返信しようか、ずっと考えている。何をしていても片隅にある。なんて返信したら、少しは記憶に残るかな。
ね、たまに記憶のフタを開けた時でいいからさ、「そんな奴いたな」って思い出してね。居たんですよ、こんな奴。チビでやかましいアホな女が。ちょっと待って、悪口しか並んでへん。やり直し。
居たんですよ、こんな奴。あなたに嫌われたくなくて、できたら少しだけでも可愛いと思われたくて、記憶に残りたくて、お化粧から洋服から音楽から、色々と勉強した女が。
あなたのことが、アホみたいに好きだった女が。
「ごめん」という言葉が、返信の中で1番残っている。
私の送った追加コンテンツは、本当に乱暴な言い逃げでしかなくて、あの人とどうなりたいとか、そんなことは何にも書いていなかった。それでも「ごめん」と言ってくれる。応えなくていいのに。私の思いには、応えなくていいのに。勝手に好きだったのは私だ。ビビって伝えなかったのは私だ。ごめんと言うのは、私の台詞だ。
青々しく、苦々しい、甘酸っぱくない、青春というにはさすがにダサい、ちょっと間抜けな恋愛だった。ようやくおしまい。なんだこの爽快感。なんのやねん。なんでやねん。今度こそ、おしまい。
追加コンテンツを送ってしまったがばかりに、閉めたはずの宝箱は実は半開きだった。口が。横からはみ出てくんのよ。思い出が。困るでしょ。気をぬくと思い出してしまっていた。宝箱は締め直し。もう開かないでね、もう漏れてこないでね。大切で大好きだから、記憶の隅っこにまとめて置いておく。
今度こそ、おしまい。
好きだったな。残念なくらい。大人になるのに、時間がかかりすぎてしまったね。8割が後悔で、どこに甘い要素があるのか不明な恋、これにておしまい。もう2度と連絡できないのだな。それだけが、この期に及んで少し寂しいね。
終止符を打って、宝箱をしっかり閉めて、そろそろ私も前向いて生きてくよ。
でも見てろ。
「あー!そんな綺麗なった?!」って思わせてやるからな。知らんけど。
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