しずかな痛み
午前2時。
真冬の風がその冷たさで頬に見えない裂傷を与えていくようだ。
寒さは寡黙で、静かな痛みだ。
精神科の窓は相変わらず10センチメートルしか開かないが、その僅かな窓の隙間から痛みはやってくる。
心地良い。
そうして徐々に私という存在の輪郭は明確になっていく。
つまり、私は私であることを実感するに至るのだ。
冷たさというのはじつに不思議な効力をもっているといえるのではないか。
そしてこれもある種の自傷行為的なエッセンスを持ち合わせているとも考えてもいい。
冷たさは魔力を伴っている 。
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