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父が膀胱癌になってから読んで参考になった本 - 闘病記編

この夏に父が膀胱癌であると分かってから、私は慌てて情報収集を始めました。

(情けないようで、仕方ない気もしますが)父本人は高齢のためスマホはおろかパソコンも使えませんし、癌を告知されてショックを受けてしまい、1日中ソファに寝転んでテレビを見ている日々が2週間ほど続きました。母は父よりITリテラシーはあるものの、持病を抱えながら日々家事をこなしてくれているので、情報収集にはあまり時間が割けません。そこで娘の自分の出番となったわけです。

週末はもちろん、平日も毎日仕事から帰ると深夜までネットや本の情報を自分の中に詰め込みました。今日はその中でも「読んで良かった」と思った膀胱癌患者の闘病記を紹介します。

「ぼくとがんの7年」
膀胱癌に罹患された小児科医、松永正訓先生の闘病記。父が膀胱癌と分かってから初期の段階で読みましたが、膀胱癌のステージ、5年後生存率、治療法などが詳しく且つ素人にも分かりやすく書かれており、入門書としてオススメです。一点難を挙げると、筆者はとても痛みに弱い方のようで、膀胱鏡検査やTURBT後の痛みを一大事として書かれているのですが、全員には当てはまらないように思います。(少なくとも父はここまで痛がりませんでした。)


次に紹介するのは、中川恵一先生の著作2点「がん専門医が、がんになって分かったこと」「がんから始まる生き方」(前者は絶版なので中古で入手しました。後者は共著で、私は失礼ながら中川先生のパートだけ読みました。)

中川先生は日本を代表する放射線医学の専門家で、膀胱癌サバイバーでもあられます。ご自身の膀胱癌発見から治療までの体験を何冊かの本に残されていて、私は2冊を読みましたが、TURBT前・中・後の様子を詳細に記載くださっていたのが参考になりました。また、膀胱癌にとどまらない[癌]に対する向き合い方も指南くださり、中川先生の著作を読んで「父の場合もセカンドオピニオンをやろう」と決めました。一点、難を挙げるとすれば、(ご本人には何の罪もないのですが)先生の癌はごくごく早期であったため、TURBT/抗がん剤の膀胱注入を1度やっただけで治療が完了されていることです。多くの患者はその後も治療が続くというか、そこからがむしろ治療の本番なわけですが、それに関する先生の見解等は得ることができません。


続いては、「改訂版 膀胱がん闘病記: 人生ポジティブに生きよう」
アマチュア作家、杉岡昇さんの膀胱癌闘病記です。上の松岡先生や中川先生の著作ような医学的見地からの解説はありませんが、2回のTURBT、BCG膀胱注入にどう向い合ってきたかが一患者の視点から率直に書かれています。癌のステージが父と近いこともあり、患者視点での闘病記では、私にとってはこの本が一番参考になったかもしれない。


最後に紹介するのは、恐らく日本語での膀胱癌の闘病記としては最も有名な「見落とされた癌」です。
元ボクシング世界チャンピオンの竹原慎二さんが、膀胱癌発覚から膀胱全摘出に至るまでの体験をかなり赤裸々に綴っています。竹原さんは、長年頻尿の症状があり、かかりつけのお医者様に相談していたにも関わらず、かなり進行するまで膀胱癌であることが発見されず、結果的に膀胱全摘を余儀なくされました。その悔しい胸の内が余すところなく綴られています。
私はこの本を父のガン発覚直後に読み始めましたが、気分が落ち込んでしまい、全てを読み通せませんでした。なので、この本を自分のお薦めとして挙げるかは迷いましたが、大変な状況でも強い気持ちで癌に向き合い、結果的に今でもお元気に過ごされているご夫婦の姿にはとても学ぶものがあったので、紹介させていただきます。

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