サイレントヒル2雑感 ストレスの無い不快感が心地良くて気持ち悪い
発売日にかってちまちま進めているサイレントヒル2のリメイク。まだ中盤に差し掛かったところじゃないかなという感じ。
【ネタバレなしです】
3年前に亡くなったはずの妻、メアリーから手紙を受け取ったジェイムズは、妻の手がかりを探して手紙に書かれた町「サイレントヒル」へと赴く。
霧が立ち込め、住人はおらず、建物は荒れ果て、道路に大穴が空いていて、そして異形の怪物が歩いている。そんな不快指数MAXの町をメアリーを探してさまよい歩くゲーム。
このゲーム、とにかくストレスの与え方が上手いと思う。
そのストレスはプレイヤーである自分が直接感じるものではなくて、主人公のジェイムズが感じているものを同じようにプレイヤーに感じさせる工夫が凝らされている。
例えば初代のサイレントヒルやPS1時代のバイオハザードは、操作感やカメラアングルの悪さを逆手にとって、プレイヤーをプレイヤーとして怖がらせることに成功してきた。
ゲーム画面の死角からクリーチャーが出てきたり、独特な操作感によって思った動きをキャラがしにくかったりすることで、恐怖を増幅させる手法を取っている。
それはそれで今遊んでみても面白いものだと思うけれど、現代のハイスペックなゲームでわざわざ操作感を悪くするような調整をするのは、怖さの前にイライラが先に感じられてしまうのも事実。
サイレントヒル2のリメイクに、プレイ感覚のストレスはほとんど無い(若干画面酔いしやすい感じはする)。
アイテムや地図の確認もスムーズに行ってくれるし、操作をしていても自分の思った通りにジェイムズは動いてくれる。
そしてそのジェイムズはゲームの中で延々と散々な目にあう。暗く狭い通路を歩かされたり、怪物に追われたり、その怪物をいやいやながら角材で殴りつけたり、得体のしれない穴や汚水の溜まった便器に手をつっこんだりする。
彼の感覚は、高解像度のグラフィックや、立体音響、コントローラーのアクティブフィードバックなどを通して、ほぼロス無く自分に伝わってくる。その結果、プレイする方も動揺してあらぬ方向に走りだし迷子になったり、今まで問題なく倒せていた敵にやられたりもするのだ。
自分とジェイムズは限りなく同一になってサイレントヒルの世界をとぼとぼと旅することになる。 その旅は真綿で絞められるような緊張感と一瞬の安堵、そして繰り返しの恐怖に満ちている。爽快感は一切無い。
それどころか極めて不愉快ですらある。
でも先に進まないといけないのだ。亡き妻に繋がる手がかりをつかむため、この狂気の町から出るために。
満身創痍で歩き疲れて、今日はここまでにしようと思ってコントローラーを置くと、ふっと肩が軽くなり全身に力がはいっていた自分に気が付くのだ。
個人的には、アクティブフィードバックの使い方が特に好き。戦闘中に得体のしれないものを殴る気持ち悪さや、ダメージを受けて鼓動が早くなる感覚などが伝わってくる。もっと大げさにしてもらってもいいぐらい。音響はこだわっている環境では無いのでテレビのスピーカーから流しているが、ヘッドホンを付ければより没頭できるだろうなと思う。
VRのゲームも増えてきて、没入感を得る手段は幅広くなっていっているけど、ここまで直球に勝負するものもまだあるんだなと嬉しくなってます。