体験から学ぶ藍のこと、染色のこと
こんにちは。eumo事務局の仁科です。京都発の藍染Artist 松﨑陸が手掛ける天然染色ブランド『RIKU MATSUZAKI』さんの工房で藍の筒描き染め体験をしてきました。色々、目から鱗の学びがあったので、初心者の視点で紹介したいと思います。
松﨑陸さんの紹介
松崎さんのブログには、藍染との出会いが綴られていました。藍染の魅力にハマってしまう人の感性と似ているところがあるのではないでしょうか。
藍染めに使われる植物は4つ
藍の歴史は、紀元前3000年頃のインダス文明にまで遡り、藍染めの染織槽跡が見つかっていて、古代エジプトのミイラにも巻布として利用されていたそうです。日本には、奈良時代に中国から朝鮮半島を経て伝来し、現存する最古のものは、正倉院にある藍染の絹紐です。宮内庁のWebサイトから藍染の絹紐を見ることができます。
染料として知られる藍ですが、その原料になる植物は実は種類があって、主なものは4つ。
ホソバタイセイ(大青)
イヌタデ(たであい)
キツネノマゴ(琉球藍)
ナンバンコマツナギ(インド藍)
日本では、たであいを原料にした『すくも(藍の葉を乾燥し、初秋から約100日を費やして発酵〜熟成させて作る)』が染料として主に用いられています。
一方で、現在世界的に主流として用いられているのは、ナンバンコマツナギ(インド藍)で藍色成分の純度が圧倒的に高く容易に染まり生産効率が高いため、世界中で藍染の染料として利用されています。ジーンズなどでよく聞く「インディゴ」とは青色色素の名称のことで、ナンバンコマツナギ(インド藍)のギリシア語「Indikon」が語源になっています。
『すくも』を使って染める仕組み
〜古来より行われていた発酵と酸化の化学的な染色〜
木を燃焼させた後の木灰(もくばい)の灰汁(あく)の中で発酵分解することで
色素の前駆体(この時点では無色!)を取り出す
無色の色素の前駆体を生地に付着させ
灰汁から引き出して、空気に触れて酸化されることで、青色に発色する
すくもの中にある藍の色素は水に溶けないため、工程1のように発酵させることが必要です。この作業を『藍を建てる』と表現することもあります。藍染は、発酵と酸化の化学反応の2段階を経て行われます。そのため一度染まったものが水洗で脱色することはほとんどないのです。
偶然と自然の力に委ねるアートな時間
今回、私が体験させてもらった筒描き藍染めの工程についてご紹介します。
まずは、染めたい生地に青花ペンで下絵を書いていきます。
次に、米等で作った防染用の糊を筒に入れ、模様を描いていきます。天日で充分に乾かすと、糊を置いた部分が乾いて防染部分となります。(糊の部分には染料が入らないので、地色が模様として浮かび上がります!)
そして、いよいよ藍染液に生地を浸して、優しく生地を動かしながら生地全体に均等に染料を付着させます。(浸水時間と回数で色の濃さが決まります!)
染色液から取り出して、空気に触れさせることで、発色します。
最後に2−3回水洗いして完成
筒描きの面白さは、手書きのように鋭く細かい線ではなく、糊の硬さによって線や角に独特の雰囲気が出て、柔らかく遊びのある模様に仕上がるところでした。
そして、発酵の具合で日々変化する天然藍染の色合いや染まり具合は、染めてみるまでわからない!という、自分と藍の共作のような出来上がりに、「うわ〜これ、来たか!」という感動を覚えます。最後は発酵という偶然と自然の力に委ねる、そんな藍染体験でした。
藍染は衣服の原点?
今では、大量生産・大量廃棄の代名詞ともなった「衣服=ファッション」ですが、生活に欠かせない要素として、「衣食住」という言葉があったり、薬を飲むことを「服用」と言ったり、日常生活に関わる「衣、服」という単語が今も使われていて、「衣服」には日本人のライフスタイルの原点があったことを改めて教えてもらいました。
江戸時代の書物に「大薬は飲食、衣服」という言葉があるように、衣服には、身体を護り、癒し、健やかに保つという重要な役割があったようです。
古来より、衣服は草木などの天然染料で染められていましたが、各草木には薬用成分があり、その薬効を期待して、染色に使われる草木や色が決められていました。
藍染も天然染色の一つですが、現在では化学染料も使われるようになっている中で、天然の藍染に魅了された松崎陸さんのお話をぜひ、直接聞いてもらいたいと思います。
まずは、体験工房へ♪
〜天然素材を使ったいろんな染め技法を体験できる工房へおこしやす〜
松崎陸さんの工房では、いろんな染め技法を使った藍染や藍染以外の天然草木染めの体験ができます。
ご興味のある方は、ぜひ、ホームページのWORKSHOPよりお申し込みください!(京都祭コインの加盟店になりましたので、京都祭コインもフォローしてください♪)
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