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古本屋はなぜつぶれないのか

そこそこの規模の町になると,必ず1軒はあるのが古本屋です。あなたの町でも,大きな通りから小道や裏道に入れば小さな古本屋を発見することができるのではないでしょうか。所狭しと積み上げられた古本の,どこか懐かしさを感じさせるにおいに囲まれて,店主が静かに座っている様子を見ることができます。

でも,いつも多くのお客さんが入っているわけでもなく,店主もあまり商売熱心な様子には見えません。Amazonなどの影響で本屋はどんどんつぶれているのに,古本屋はしっかり生き残っているのはなぜでしょうか?今回は古本屋がつぶれない理由について迫ってみたいと思います。

古本屋とは

まず古本屋について簡単に見ておきましょう。古本屋とは,一度他人の手に渡った本(古本)を買い取り,別の消費者に売る小売店のことです。既に絶版になっていて新品としては入手不可能な本は「古書」と呼ばれます。開業にあたって特に資格は必要ありませんが,「古物」を扱うため,古物商の許可は必要です。

ツタヤなどのチェーン店もありますし,Amazonでも古本販売は行われています。それに対して,町の古本屋は総じて小規模でひっそりと経営されている場合が多いようです。

店頭販売

私たちから見えるのは店頭販売の様子だけですが,これだけで売上を確保するのは難しいでしょう。東京の神田のように古書店街として有名なところにお店を構えるならまだしも,町の小さな古本屋ではお客さんの数も限られてしまうからです。

飛び込みで思わぬ掘り出し物を持ってくるお客さんがいないとも限りませんが,実際にはほとんどいないでしょう。これから紹介するような方法で利益を上げていると考えた方が現実的です。

目録販売

目録販売というのは要するに通販のことです。各古本屋はそれぞれ得意分野がありますので,それを目当てに通ってくる常連客に年に数回在庫目録を送付します。常連客はお店に足を運ばなくてもその中から欲しい本を注文できるというわけです。

専門性の高い古本屋であれば,目録販売による売上はかなりのものとなり,売上の半分以上を占めているお店もあるようです。

また,古本屋には店頭には出さない本が倉庫に多数保管されており,その中には1冊数万~数十万(あるいはもっと)するような高価な本や稀覯本と呼ばれる貴重な本があります。こうした本は1冊でも売れれば売上に大きく影響するわけですね。

即売会

即売会は,主にデパートや地域のイベント会場などで行われています。数軒~数十軒の古本屋が各店数千冊の本を持ち寄って集まり開催されるため,大規模なものでは10万冊以上の本が集まる場合もあるそうです。

東京でも渋谷東急や池袋西武のような百貨店で「古本まつり」といった名前を関した即売会を開催することがありますし,池袋の西口公園ではたびたび青空古本市が開催されています。

即売会には同業者から古本屋に行ったことがないような人まで多種多様な人が足を運びます。お店にいるだけでは到底出会うことのないお客さんも多いため,お店側も普段店頭に置かないよう本を持ってくることが多いようです。雑多な本が勢揃いする上,同じ本でもお店によって価格が違うということも起こります。

本好きにとっては,雑多な本の中から思わぬ掘り出し物が見つかるという意味で,楽しみなイベントです。お店によって価格が違う場合は,あれこれ見比べてみるのも面白いかもしれませんね。

ネット販売

上述のように,Amazonなどでも古本の販売は可能で,多くの古本屋が出品しています。それに加えてヤフオクなどを通じて一般に人に交じって販売している古本屋も多いようです。

ヤフオクなどはピンポイントで本を探している人も多いですし,需給が一致しやすくオークションで思わぬ高値が付くこともあるので,店頭で販売するのに比べてチャンスは大きいと言えます。古本屋の店主がパソコンとにらめっこしているときはネット販売をしているのかもしれませんね。

古本屋の売り上げに占めるネット販売の割合は年々上昇していると思われます。

同業者同士の市で売買

古本屋同士の取引も仕入れ・売り上げの両方において重要な場です。古本屋にはそれぞれ専門分野・得意分野があるため,畑違いの本が入ってしまっても評価しづらく,それを売るルートが確立されていません。そんなときは同業者同士の市で売買をして自分の欲しい分野の本を仕入れたり,不要な分野の在庫処分をしたりするのです。

まとめ

今回は古本屋がつぶれない理由についてまとめてみましたが,いかがだったでしょうか。一見あまり繁盛していないように見えても長く続いているのは,つぶれないだけの理由があるからなんですね。ほかにも同じようなお店は沢山あるので,また取り上げてみたいと思います。

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