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ラ・ブリュイエールを読む Leçon 9

2024年11月【応用編】第9課「物知り屋アリアス①」

引用元:『カラクテール』第5章「社交界および社交について」第9節。

アリアスは、何もかも読んでいる。見ている。そう人に思いこまそうと欲している。それは何でも知らないもののない人だ。自らかく称している。彼は、黙っていたり、何にせよ知らないように見えたりするよりは、嘘をつく方がよっぽど好きなのだ。食卓でさる北国の朝廷に時めく人の話が出る。と、彼は滔々としゃべり出す。そして、彼について本当に知っている人達が話そうとするのを話させない。彼はその遠い地方を、あたかもそこの生れででもあるかのごとくに、ご案内である。

(岩波文庫版上巻 pp.175-176)

Arrias a tout lu, a tout vu, il veut le persuader ainsi ; c’est un homme universel, et il se donne pour tel : il aime mieux mentir que de se taire ou de paraître ignorer quelque chose. On parle à la table d’un grand d’une cour du Nord : il prend la parole, et l’ôte à ceux qui allaient dire ce qu’ils en savent ; il s’oriente dans cette région lointaine comme s’il en était originaire ;

*この節をとりあげるレッスンは第12課(Leçon 12)まで続きます!

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NHKラジオ第2放送の語学講座「まいにちフランス語 応用編」では2024年10月から2024年12月までの期間、 「Art de la  parole を学ぶ ラ・ブリュイエールを読む」が開かれました。

ラ・ブリュイエールの文章をテクストに Art de la  parole (上手に話す技術)を学んでいくというもの。ここではその著作『カラクテール(人さまざま)』から引用される文章を、岩波文庫版の翻訳(関根秀雄訳)に照らし合わせてみました。

ラ・ブリュイエールの文章が話題にされた貴重な機会に乗じて、祖父の翻訳を紹介している次第です。


ジャン・ド・ラ・ブリュイエール『カラクテール 当世風俗誌』
関根秀雄訳(岩波文庫)

Jean de La Bruyère, Les Caractères de Théophraste traduits du Grec avec les Caractères ou les moeurs de ce siècle, 1688-1694


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