分析官をして。失敗と失敗と学び。
おはようございます。しとぎしです。
しとぎしごとなのですが、おおよそ1年間セミプロのサッカーチームでサッカーアナリスト(分析官)の活動をしてました。それについての振り返り文です。
サッカーのアナリストとは
そもそもサッカーのアナリストとは。仕事の内容としては昔からあるが職として専門化されたのはここ最近っぽいです。
J2以上のチームでは専任がいることが多く、アナリストであったり、分析官であったり、テクニカルコーチであったり名前はさまざまだがやっていることはおそらく大体は同じです。
分析官という名の通り、お仕事は対戦相手チームの分析。自チームの分析。個人(自チームやスカウト目的などで)の分析がほとんど。
チームによって役割は違いますが相手のスカウティングのmtgなども任されそのために映像編集や資料作成なども行います。
その中で自分は分析官のインターンとして実際の分析官の補佐みたいなポジションで活動させていただきました。
なぜ分析官の活動をしたか。
そんなの知りません。覚えていません。
というのは嘘ですが、直感的に決めたような気がします。
ただ振り返ると2020年、小学生との出会いからもっと心に素直に。
純粋に楽しいことをやろうと思い、趣味でサッカーの分析を始め、
元プロの分析官の方がやってるコミュニティに入り、
分析官の募集をしているのを見つけて応募して受かってという流れだったような気がします。
あと自分は覚えていないがこんなことも書いてました。
今までの経験などから基づき自分を正当化していくと自分の進路というか手段の部分が狭まるし面白くない的なことを書いていました。それで今まで全くやったことないことやろうぜそういう時期なんじゃないみたいなの書いてますね。
確かに。自分自身想定内の人生なんてつまんねぇって思ったりもするたちの人間だからすごく自分ぽいなと思います(他人事)。
分析官としての失敗
たくさん失敗しました。何が成功か失敗か基準は知りませんが来季の契約などのオファーを勝ち取れなかった時点でこの業界としては失敗と言えると思います。しっかり失敗を羅列していきます。
・しとぎし最大の特徴自己防衛癖
もはや分析官とか一切関係ないですがはい。
癖というか体に染み付いちゃっていて、無意識に自分でコンフォートゾーンを作り出してそこで安心してる癖が。
原因として生きづらいこんな世の中じゃPOISONということで、レペゼン社会不適合者なので、自然と自分でコンフォートゾーンを作り出すのが上手くなってしまったのと、
昔の仕事で無茶苦茶頑張ったけどミスしまくってクビになってほぼ鬱なりかけになってから成長というものを捨てて幸せに生きること=快適に生きることに振り切ってしまったのが大きな要因と思われます。
一度快適に。成長、向上心を捨てた人間がこれらを取り戻すのは大変。
全ての物事の根底に自己防衛マンこいつがいました。
この自己防衛癖のせいで快適を求めるが故に自分を包み隠したくなりがちで。
すごく自己表現であったり、そこらへんのセルフブランディングが下手なんですよね。
今思い返すと過去やった仕事に対して全てに言えることですけど自分はどういう人間なのか?って表現することめちゃくちゃ大事だなと。
そこができなかったのが以外に痛かったです。サッカー以外の要素なんですけどやっぱりここが足りんかったなと。
・戦略不足
上記のような自己防衛癖が発揮して良くなかったのがコミュニケーション。
21にもなって人見知りなんてとても恥ずかしいですが、その上コミュニケーションをめんどくさがるので大変でした。
サッカーに限らずですが、信頼を得る方法の一つはコミュニケーションですよね多分。
まあでも最悪コミュニケーションが上手くなくてもそこの一個上段の目的はコミュニケーションじゃなくて信頼を得ることなので、
苦手なら苦手なりに新しい代案、試作で勝負しなきゃだったなと反省。
さっき書いた自己表現っていう部分もまさに通ずる部分ではあるんですが自分なりの自己表現を見つけれなかったのが痛かったですね。色々な人から信頼を得るために。
その上これが足りなかったなと。自分が好きな名言。
できないことを消去法で削ぎ落とし、できることを磨けませんでした。
・課題の整理不足
なぜ上記のように何かしら自分の中で改善できる施策(自分なりの自己表現)を打ち出せなかったのか。できないことを消去法で削ぎ落とし、できることを磨けなかったのか。
理由は自分の中で何が課題なのか明確ではなかったからだと思われます。
課題=理想と現状のギャップ。課題が明確ではないということは、①理想が設定されてないor②現状が把握できない。
自分の場合は明らかに①②両方。
こちらを言語化、可視化できなかったのが敗因。
・構造問題
構造問題。これも監督やチームから信頼を勝ち取ることができなかった問題の一つ。
自分自身分析官の方の下につく分析官補佐的な役職のポジションでした。
そのこともあって分析官の人と直接やりとりやタスク振り分け、自分が隔週で行ってた対戦相手の分析レポートを出したりしていました。
ただ実際色々権限があったりするのは監督であったり、契約に関しては強化部。小さいクラブだったら社長に大きく権限があったりする中、
自分が行ってることが分析官という裏方もあって何も見えない形になってたのが痛かったです。
これは以前にも経験がありましたが難しい。最初に書いたようにブランディングがお上手じゃなかったのと、監督と直接言語で話せなかったのも外部要因として痛かったです。
しとぎし英語全然聞き取れないし、しゃべれない。
母親帰国子女で英語ペラペラの英語の先生なのにな〜。
英語が喋れないことのデメリットを痛感した。
その上でこれから有限な人生において、自分という特性を含めた中で英語の優先順位がどのくらいになるのかは興味深いです。
学んだこと
・伝えるということ
分析官と聞くと分析の部分が分析官の腕の魅せどころと思うはずです。
けどやってみて思ったのは実際は違う。分析なんて誰でもできる。ということ。
分析しても細部で言ったらたぶん一流の人と多少の違いは出てくると思うけど多分大筋はどの分析官が分析しても変わらないと思います。
そもそも分析官の目的は分析することではなくて、監督や選手が試合(試合前も含め)で良い判断を迷わずにするための材料を与えるのが目的だと個人的には認識しました。
そのため重要なのは分析ではなくて、分析した後どれを使うのかの材料選び、そして材料の加工(=伝え方=監督、選手がいかに理解しやすいか、試合で判断して実行に移しやすいか)だと実感しました。
特にここの伝え方の部分は奥が深いです。
クラブとしてはチーム独自の用語やフレームワーク(プレーモデルなど)などを作って全員で共通認識を持たしたり、
スカウティングのプレゼンでは選手が理解しやすいようにストーリーを組み立てたり、また映像に対して視覚、グラフィックで分かりやすくしたり。
あとは言葉一つとっても表現が非常に重要だったりします。
例えばサッカーでよくある抽象的な表現「良いポジショニング」。
頭のいい選手は良いポジショニングと言われて、状況状況に応じてで経験などから良いポジショニングが取れるかもしれないが、ほとんどの選手は理解するのは難しいです。
なぜならサッカーは自分、相手、ボールの位置、自分、相手の特徴、試合展開、戦術、気候など様々な要素が相互作用を生み出してるので常に状況が変わりとても複雑的。
そんな複雑的であるサッカー、状況においていかに抽象的ではなく本質をついた具体的な言葉を提示するか。それが分析官に限らずサッカー指導者の腕の見せ所なのではと思いました。
例えば前大分現G大阪監督の片野坂さんはシャドーというポジションに対して攻撃時に「相手のSB(サイドバック)の背中につけ」と表現したりします。
サッカーは基本相手のマークから外れてフリーになった方が良いとされます。
本来であればこのように空いてるスペースにいるのが良いとされます。
しかし片野坂監督は「相手のSBに背中につけ」と。
スペースにいた場合あらかじめ誰が誰に行くか明確にしてしまえば対応できるっちゃできます(あくまでできるっちゃできる。)
しかしSB(サイドバック)の背中につけばCB(センターバック)からしたら自分の管轄外であるからついていかないし、
SBからしたら前行けば背後取られる、でも前行かないと2vs1の状況作られてるという中で判断に迷うし、
SH(サイドハーフ)も2vs1の状況で行っていいのか迷う。
サッカーの攻撃ではいかにボールを持ってる人の時間と空間を作るのが一つの肝です。
サッカーだと分かりづらいのでバスケで想像して欲しいのですが、3PTシュートを打つ時、相手が近ければ近いほどブロックされやすかったり、プレッシャーを感じたりして成功率が下がる。これが空間です。
3PTシュート打つ選手に対してブロックしに行くまでの時間が長ければ長いほどシュート打つ人は打つのに余裕が出て成功率が上がる。これが時間です。
全くサッカーも同じでいかに時間と空間を生み出すか?その中で相手のディフェンスのプレスに行く判断を迷わせることによって時間と空間を生み出す。そしてそれを行うための手段として「SBの背中につけ」という超具体的で本質的な表現。
めちゃくちゃサッカーをマニアックに語ってしまいしたが、良いポジション取りなさいとSBの背中につけのこの表現の差は分かりやすさの差は歴然。
先ほども言った通り複雑的で常に動的で状況が変わるスポーツにおいて、相手の状況が変わろうと汎用性のある本質的なワードの言語化というのはとても重要。
これはっていうかサッカー全てだけどビジネスの世界にも通ずる部分はあると思います。
また話は少し変わりますが、機械が指示するわけではないので、そこには人の部分、熱量であったり人柄、信頼関係なども乗ってくるので「伝える」一つとっても非常に面白い部分だなと思いました。
そんな私は中々今季伝えるっていう部分を創出できなかったんですけども。
・主務=UXデザイナー
チームの人手が足りないこともあり、主務(雑用係、マネージャー)もやりました。
はっきり言って自分は雑用が大嫌い。
性格もガサツでめんどくさがり、気も効かない人間で雑用はとても苦痛です。
実際に初めて働いた会社では雑用(カッコよく言ったらバックオフィス)が多いというか全てで、当時18歳のしとぎし少年はミスに次ぐミスを繰り返し、精神的にも人生最大ダメージを負いクビになったくらいです。(さっきもクビってなんか書いたような。)
この時泣きながら辞める宣言したしとぎし少年に社長さんが授けてくれたお話がイソップ寓話の三人のレンガ職人の話をしていただきました。
ある人が一人のレンガ職人に何をしているか聞くと「レンガを積んでいるところ。こんな仕事はこりごりと嘆き。」と答え、もう一人は「壁を作っているところ。この仕事で家族を養うため。」と答え、もう一人は「教会を作っているところ。多くの人が訪れ心の拠り所となりこの仕事につけて幸せ」と答えたお話です。
当時その話聞いた時今より尖りが鋭利だったので、いや別に俺は教会作る意義感じてないから!別に教会作りたくないんですけど。って思ってましたわら。
でも三年も経つと素直さは失い、無理矢理でも教会を作る意義を自分の中で生み出してレンガ積みを全うするようになるんですよね。(悲しい現実)
主にサッカークラブの主務の目的は選手がいかに快適にTR、試合を行うことができるかが目的だとおもいます。
その中で例えば練習の水をどこに配置したらスムーズかつ選手もちょうどよくレストできるか?だったり、常に周りを注意深くみながら道具だったり、選手のウェアを回収して畳んで選手が分かりやすかったり、忘れない位置に置いたりなど、
もう実質UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー
主務、ホペイロ、マネージャーなどの職務はUXデザイナーと名乗っていいと思います。
おかげさまでしとぎし家気が利くグランプリ21年連続最下位の私も以前よりは気が利く人間に近づいた気が、、
余談ですがこの間こんな記事を拝見。
しとぎしはwebエンジニアの仕事しておいてもあまり効率化に関心なく🤫だらだらのんびり自分のペースでやるのが好きだったのであまり意識してなかったけど、もっと効率化の観点の意識持ってれば多岐に渡り転用できるスキルだったのに7。
・選手からたくさんの学び
選手からもたくさん学びました。楽しくサッカー(仕事)をする人はかっこいいし、向上心があれば年齢関係なく成長できるし、洞察力ってすごい大事だし、常に準備し続けた人は急にバッターボックスに立つ機会が来てもちゃんと結果を残すし、チームの雰囲気見て自分ができること、役割を徹せるひとはめちゃくちゃ需要だし、挨拶大事だし、人、立場関係なしにお礼をしっかり言える人はかっこいいしこっちも嬉しいし。
などなどたくさん学びました。(文章書くスタミナ切れ)
終わり
まーこんな感じでした。
分析をするっていう部分では大いに通用した感覚はありますが、分析官としては全然ダメダメでした。
来年もどこかで分析官を続けていく、探すといった選択肢もありましたが、この一年を通してまた新しくしたいことが見つかっちゃったので、そちらの方をこれからは挑戦していきます。
最後にあくまでこれは組織に対しての批判ではなく自分しとぎしという人間とこの業界に対しての批判ですが、
やっぱり無料で労働するのは良くない。タダで働く奴なんか犯罪に加担してるものだと。
どうしてもこの業界のこの職種は筑波大学に行く以外つけない職種ということもあって、
「経験」という価値が高くなり、経験できるんだから対価はいらないよねとなってしまう業界であります。
いわゆるやりがい搾取ってやつですが、一番悪いのはやっぱりやりがい搾取を受けてるというか自分からやりがい搾取を受けにいった奴が一番悪いです。
犯罪の助長。加担です。タダで労働するなんていいこと何一つありません。仕事に責任は生まれないし、何よりビジネス感覚が損なわれます。
自分の価値、時間に対して適正な対価が分からなくなってます。ここ2〜3年の私の時価総額は300円くらいです。完全に病気です。通院が必要です。笑
なのでみなさんやりがい搾取は受ける側の罪なので気をつけましょう。間違っても手を出さないように。(以上自己批判でした。)
たくさん失敗して挫折したってことですね。まあでも失敗してナンボ。それが人生。
出た名言。センキュー。
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