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若手と中堅では、処方までのジャーニーに大きな違い
こんにちは。株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。
総じて評価が高く、適応拡大も追い風となり処方量が増加しているSGLT2阻害薬ですが、医師は
その存在をどのように知り
オフライン・オンラインなどのさまざまな情報のチャネルからどのようなインプットを受け
何を考え
初めての処方・継続処方の判断に至る
のでしょうか?
その過程と「頭の中の思考」を明らかにすべく、10名の腎臓内科医を対象にヒアリングを行い、「カスタマージャーニー」の形でまとめる試みを行いました。
①調査概要
今回調査対象としたのは、以下の条件全てに当てはまる30代~40代の腎臓内科専門医です。
病院勤務医
慢性腎臓病患者に対するSGLT2阻害剤の使用経験がある
自身に処方権がある
事前WEBアンケートとWEB座談会(5名×2グループ 各90分程度)を実施し、その内容をもとにカスタマージャーニーマップを作成しています。
②調査結果サマリ
2-1 若手と中堅でカスタマージャーニーに大きな違い
若手医師は、「学会発表・論文」、「デジタルチャネル(医師向けWebサイト、TwitterなどSNS)」「MR」等から積極的に情報収集しているが、最終的には上司の一押しがないと処方には至らない傾向が見られました。
また、初めて処方する症例は、自分で副作用をコントロールできるものを極めて慎重に選んでいます。
一方、中堅医師は、若手が活用するチャネルに加え「製薬企業のWebセミナー」や「同僚」などさらに複数のチャネルから広く情報を得て判断しており、中でも特に「同僚」からの情報の影響が大きい傾向が見られました。
一定以上の規模の病院に勤務している場合、SGLT2阻害薬の処方経験豊富な同僚(糖尿病内科医)からの情報もプラスに働いているようです。
2-2 学会発表・論文は認知度向上へのインパクトが非常に大きい
海外学会にて発表されたエビデンスに多くの医師が高い関心を持っており、医師間でも初期からかなり話題に上がっていたようです。
特に多くの医師がEMPA-REG、CREDENCEをインパクトがあったエビデンスとして挙げていました。
2-3 デジタルチャネルは、活用度は高いものの、処方行動の最後の一押しではない
学会等でエビデンスを見聞きした後、興味関心が高まっているタイミングで医師向けのWebサイトでコンテンツを閲覧した医師多かったものの、コンテンツが処方に影響したと回答した医師は少ないという結果でした。
2-4 MRに求める役割が医師のジャーニーによって異なる
複数のチャネルから積極的に情報取得している医師でも、「安全性情報に関してはMRから得ている」と回答した医師が多く、その点では必要性を感じていることが分かります。
ただ、「MRは都合の良い情報しか言わない」と回答した医師も多く、MRからのアプローチがなくとも処方意向が高まっている医師に対しては、Push型アプローチは逆効果になっている傾向も見られました。
医師の感情面も含めて特性を把握し、アプローチ法を変える重要性が問われているようです。
MRに期待したい役割として、医薬品の情報提供のみならず、近隣医療機関での使用状況の共有、と回答した医師もおり、MRにしか提供できない情報への期待が伺えました。
③腎臓内科医10人のカスタマージャーニー
3-1 若手 30代 卒後6年目 一般病院勤務 A先生
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3-2 若手 30代 卒後9年目 一般病院勤務 B先生
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3-3 若手 30代 卒後10年目 一般病院勤務 C先生
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3-4 若手 30代 卒後10年目 一般病院勤務 D先生
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3-5 若手 30代 卒後7年目 一般病院勤務 E先生
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3-6 中堅 40代 卒後16年目 一般病院、大学病院に勤務 F先生
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3-7 中堅 40代 卒後16年目 現在までに3つの一般病院に勤務 G先生
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3-8 中堅 40代 卒後16年目 現在までに2つの一般病院に勤務 H先生
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3-9 中堅 40代 卒後17年目 大学病院、一般病院を経て現在はクリニックに勤務 I先生
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3-10 中堅 40代 卒後16年目 大学病院勤務 J先生
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弊社では、こういった座談会やディープインタビューにも対応いただける医師パネルを豊富に持っており、さまざまな調査を継続的に実施しております。
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株式会社ユカリアデータインテリジェンス事業部 pharma.biz@eucalia.jp
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