見出し画像

22頁目 本みくじ フェア

神保町本店での思い出や周辺のお店、現在行っているフェアなどを
100日紹介する<三省堂書店神保町100頁日誌>。


本日はnote担当Iに代わりまして従業員Kがお送りします。

(想いが溢れすぎてかなりの長文になりました。その上話があっちにもこっちにも飛びます。ご覚悟を。)


ご紹介したいのは【本みくじ~本とのご縁結びます~】フェア

開催期間:2/11~3/10

画像1

(一時)閉店企画の第1弾として去年から準備してきた企画です。

普段なら手にとらない本との素敵な出会いになれば…と思っております。


そういう私もつい偏った作品ばかりに手を出しがちで、気になるな…と思っていてもなかなか購入にまで至りません。

良く売れている作品や、誰もが知ってるベストセラー作品、ましてやシリーズもの、ともなるといつか読もういつか読もう…でいまだに手を出せていない…なんてことも。


話はかなり逸れますが、ずっと読みたい…と思いつつ何年も食わず嫌いしていた

漫画『宝石の国』(市川春子)

を去年同僚から借りて読んでみたらまんまと沼る…ということがありました。

(↑えげつない作品。まだ未読の方はぜひ。)


そう。人間、いつ、なんどき、何にハマるかなんてわからないのです。

私の好みとは違うかな…と自分で自分の興味関心の幅を狭めてしまうのはもったいない!

(もちろん、むやみに広げなくても良いのです。)

ということで、私と同じようになかなか新しい一歩が踏み出せない方の背中を押す…とまではいかずとも、そっと手を添えてあげることができたら…という思いから企画しました。

*

企画が通るまで紆余曲折あり、いざおみくじの中の本はどうするのか?となったとき思い付いたのは

“皆さまに選書していただく”

ことでした。

せっかくの(一時)閉店企画、従業員だけではなく普段から当店を利用してくださるお客様、そして本が好きで好きでたまらない方々にもご参加いただけたらどんなに良いだろう…と。

そうして募集したのがこちら、

(今はもう募集は締め切っております。)

Twitter上で募集したGoogleフォームとは別に

画像2

店頭にもアンケート用紙とBOXを設置しました。


アンケートはそんなに集まらないだろう、

と上司から言われていたので

あんまり集まらなかったら私たちで選書しようね。と話していたのですが、フタを開けてみたらなんと最終的に【363冊】も集まったのです!

良い作品って、声を大にして、

「この作品、本当におすすめだよ!面白いんだよ!みんな読んで!!!」

とすすめたくなりますよね。(人それぞれだと思いますが)

多かったお声が、「一冊に絞れない」というもの。

そうでしょう、そうでしょう、かくいう私も20数年の人生で、忘れられない作品が一冊なわけがないのです。

そんなお客様のためにもアンケートの記入欄は5冊分ご用意しました。(紹介したい本はもっとありましたよね、ごめんなさい!)

【本みくじ】に使用する本は、手にとりやすくするために文庫本に指定。

そのため今回の企画では集まった作品の中から文庫本だけを選ばせていただきました。

(文庫本以外の本も他の企画で今後使用予定ですのでお楽しみに😊)

アンケートにご参加くださった皆さま、そしていいね、やリツイートで拡散してくださった皆さま、本当にありがとうございました😭😭


*

アンケート募集と同時に頭を悩ませていたのがカバーデザイン。

「なぜ今わざわざ本みくじをやるのですか?」と言われていたこの企画。

記念となる何かが必要、ということで当初は三省堂書店を含む神保町周辺地図をカバーにできたら…と提案していました。

が、地図を使うというのは意外と労力とコストがかかる…ということで現実的ではなく😣

「じゃあKさんが描いたらいいんじゃない?」と言われて悩みに悩みに悩んだ末の、

「三省堂の由来になった論語、使えないかな。」でした。


2021年の一定期間だけ限定販売していた140周年記念の御書印

画像3

(中の人Kが実際に購入したもの)

この時の論語『三省』が個人的にカッコよくて大好きで。しかもこちら、当店従業員Oさんの手書き文字を使用しているのです…!!!!!すごすぎる!!

こちらの限定デザインの御書印は終了しておりますが、通常デザインのものはSCにて販売しております。今現在の建物にて、今現在の建物デザインの入った御書印が手に入るのは(一時)閉店までの期間だけです(たぶん)!
まだ御書印帖を持ってないよ~という方も、200円の御書印代で御書印帖がもらえます😊(特装版も販売してます。)この機会にぜひ。

神保町界隈だけでも参加されてるお店はたくさんあるので、楽しいですよーっ!

猫が好きな方は神保町にゃんこ堂さんの御書印はぜひ手に入れていただきたいです🐱(中の人は2022年2月22日のスーパー猫の日にもう1度欲しいなぁ、と思っています。)


御書印とはなんぞや。という方はこちらをチェック↓


ということで、カバーデザインの話に戻ります。上司やOさんに許可をいただき、論語『三省』を使わせていただくことまでは決まったのですが、それをどうデザインしていくか…

文字列を眺めていてパッと浮かんだイメージは

夏目漱石『こころ』の初版デザイン

画像4

出典:「博物館 明治村」所蔵資料

漱石自身が装丁を手がけたと言われているこちら、個人的に大好きなのです。

こんな感じにできたら最高にカッコいいのでは?となってからは、次々にイメージが浮かびあがり、背景デザインは様々な字体を使い、

三省堂書店神保町本店

を入れてせっかくなんだから特別感を出そう。となりました。

画像5

↑当初イメージしていたのは割と『こころ』のイメージそのままのこんな感じのデザインでしたが、試し書きをしてみたら

画像6

あれ?もうこれだけでもいいのでは?

これに論語まであわせたら、うるさくなりすぎるのでは?

となりデザインはこちらに決定。論語は折り返し部分に使用しました。

(文字だけよりも何かイラストがあったほうが、とアドバイスいただき、実際に採用したものには当店のロゴが使用されています。ロゴを配置する場所や数にもこだわってますので要チェック☺️)

個人的にはこの呪物っぽい白黒デザインも好みだったのですが、周りの反応はイマイチだったためカラーを検討することに。

ここまで読んでくださった皆さまは薄々勘づいてらっしゃるかと思いますが、中の人、あれも良いじゃん、これも良いじゃん、となって候補を1つに絞りきれないタイプの人間なので、これまたカラーがなかなか決まらない。

当初1色だけに絞って作成する予定が、2色になり、5色になり、10色になり…15色になり…最終的に40色!のカラー展開となっております😳

画像7

↑大量のデータの中から約80色までに絞り、実際に印刷してみたこちらから更に40色までに絞りました。

私が色と色の組み合わせを大量に書き出したものを、1つ1つ加工しデータを作ってくれたNさん、気の遠くなるような作業をありがとうございました🙇‍♀️

そして折り返し部分の、白文&書き下し分を書いてくださったOさん、本当にありがとうございます🙇‍♀️

表紙の表と裏、文字の配置が同じなのでまったく同じ文字のコピーのように見えますが、実は1文字1文字手書きしてるのでほんの少しずつ、微妙に違ってたります☺️

あなたの推し文字を見つけてみてください。

画像8

↑ちなみに私の推し文字はこの子です。

この企画でしか手に入らない限定カバー、個人の"好き"が詰まったものになってしまっていますが、誰かの心にも刺さってくれたら嬉しいです🥰♥️


*

そして、この度の【本みくじ】。実は中にメッセージカードが入っております。

選書の際にいただいたコメントを、ぜひ購入して下さった方にも読んでいただきたく、1枚1枚手書きしました。

元々字が綺麗ではない上に、700枚近く手書きしたため最後の方はみみずが走ったような字になってしまっています。ご容赦ください🙇‍♀️

画像9

メッセージカードに使ったのは、文房堂さんにて販売しているカラー紙(?)のセット。

使用したお気に入りのペンたち。

画像10

ジュース アップ 04 クラシックグロッシーカラー

よく見ないとわからない程度にラメが入っていて、綺麗に発色します。サラッとしていて書きやすく、絶妙な色味。0.3~0.5まであります。

画像11

そして好きな色のインクを染み込ませて使える

からっぽペン

綺麗なインクだから購入してみたいけど、万年筆は使わないし…という方にオススメ。

当店3Fにある文具売場にてどちらも購入しました✨

売り場はそんなに広くはないですが、スタッフこだわりの商品がたくさんあります☺️当店にいらした際にはぜひお立ち寄りください!


ほとんどの場合、1冊につき1枚のメッセージカードが入っていますが、

画像13

↑2人の方が選書してくださった書籍には違うメッセージカードが2枚入っていたりします。132種のうち3~4種類ほどあります。引いた方は強運の持ち主かもしれません😺

そして(お客様コメント)の部分が(従業員K)のものは私の選書だったりします。132種中2種あります。引き当てた方にとって良いご縁となれば嬉しいです😊


*


画像13

おみくじに書いてあるヒントは出版社のデータを参考にしたものです。長文のものもあればたった数文字のものもあります。

引いてみて、「お???読んだことありそうだぞ??」というものだったり、しっくりこなかった場合は何度でも引き直していただいてかまいません。

1枚1枚カットして、折り折り手作業したものです。もしよければ大切にお持ち帰りいただけたら嬉しいです。(何人ものスタッフの方々にお手伝いいただきました。)

2/19(土)、遊び心満載の運勢のものを限定1セットだけ追加しました。

1つの番号に1枚しかないレアなものなので、引いた方は本当にものすごい強運の持ち主。悪い運勢のものではありません。お楽しみに!


*

企画がスタートしたのは2/10。

中身のわからないものに人はお金を払うのか。

と言われた言葉が小骨のように刺さっていて、当日を迎えるまで期待よりも不安のほうが大きかったのですが、予想以上の反響をいただき…

「1日20冊くらい売れたら本当に嬉しい。」というてた自分を往復ビンタしたくなるほど。

初日50冊以上の販売~1週間の合計販売数は

《383冊》でした!!!!!!

購入いただいた皆さま、本当にありがとうございます🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️中の本たちも、良縁に恵まれたようでなによりです。

当初補充はなしで売り切り後免にしよう!という計画でしたが、急遽追加をすることに。

追加発注した書籍が入荷してもすぐに店頭に並べられるわけではありません。追加のメッセージカードの作成、バーコードの印刷、カバーかけ、ビニールパック、バーコードと番号を貼り付ける、という作業があるためなかなか補充が追い付いておらず。嬉しい悲鳴をあげています。

せっかくお越しいただいたのに、売り切れ続出…なんてことになるかもしれません。

急ぎつつ、1冊1冊大切にご用意いたしますので今しばらくお待ち下さい🙏


*

(余談)

店頭に飾ってある鳥居とだるま、トラちゃんも実は手作りだったりします🐯⛩️

画像14


画像16

画像17

画像18

本みくじの棚にある縁結び神社の守護神たち。

名前は(左から)敦、李徴、とらきち、ジュディスです🐾

商品の配置、カバーのカラー展開までこだわりの詰まった棚となっています。こちらの棚は写真撮影OK📷️他のお客様が写り込んでしまったり、ご迷惑にならないようご配慮の上撮影ください。

そしてTwitterでの感想ツイート、本当にありがとうございます。とっても嬉しいです。震える手で当店公式Twitterから「いいね」させていただいておりますので、ぜひ購入報告や感想などお待ちしております☺️

これからも(一時)閉店までの間に行う企画や新刊などのご案内をしてまいります。@honten_sanseido(神保町本店のアカウント)のフォローもよろしければよろしくお願いいたします🙇‍♀️


うまくまとめられずに大変長くなってしまいました。ここまでお付き合いくださった皆さま、ありがとうございます☺️

【本みくじ】の期間は3/10まで。本との思いがけない出会いをお楽しみください。皆さまのご来店をお待ちしております🥰♥️

*

noteを乗っ取れる機会はなかなかないので、この機会に(勝手に)この数ヶ月以内に発売された書籍の中から数点おすすめさせてください。

画像18

『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』著:ガイ・ドイッチャー、訳:椋田直子(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

2012年に刊行されたものが今年、ついに文庫化!

いやぁ~面白かった。今まで知っているということにすら気づいていなかったものに気づかされるというか。読みごたえ抜群です。


画像19

『大邱の夜、ソウルの夜』著:ソン・アラム、訳:吉良佳奈江(ころから株式会社)

あぁ、私はこの感情をたしかに知っている。と感じる。同じ経験をしたわけではないけれど、同じ今を生きている人の苦しさをうまく表現していると思います。

夫婦の対立、お互いの実家での確執を描く「あるある」マンガかと思いきや、「自由」を求める女たちのバディ物語だったという…。
作者のソン・アラムは、本作を自身の話であり、「簡単に折り合いをつけられない」すべての女性の話だと語る。

(出典:出版社コメント)


画像20

『もじモジ探偵団』著:雪朱里、イラスト:ヒグチユウコ(グラフィック社)

『デザインのひきだし』連載「もじモジ探偵団」が待望の書籍化。

これを読むと、日々の生活の中で見かける文字が気になりだします。そうして自然と上を向いて歩くようになり、毎日がちょっと楽しくなります。「知る」ことによって小さな世界が少しだけ広がる。これぞ本の最大の魅力ですよね。


画像21

『音楽』岡野大嗣(ナナロク社)

重版がかかるごとに色がかわる装丁。初版は青。2版は黄色。好きすぎてサイン本も含め我が家には青が3冊、黄色が2冊あります。

好きだなぁ、と思う短歌ばかりで付箋でたくさんになっているページたち。寝る前に読む用にベッドサイドにも1冊あります。

わずかにでも感情を動かした時間と光景。それを忘れたくないために短歌を作っていると思ってきた。でも正確には違っていた。戻れない過去を新鮮なまま、感傷に包み込まずに自分の中に取り込んでしまう。忘れたくないものを忘れても平気になるために短歌を作っている。今はそう思っている。 

(『音楽』あとがきより)

このあとがきにすべてが詰まっています。普段短歌に触れない方にもぜひ読んでいただきたい1冊。

「人ごみ」を言いたくないきみと、「多くの人」のなかで手をつなぐ。

(『音楽』より)


画像22

『フールナイト』安田佳澄(小学館)

家にある2冊とも人に貸し出していて手元にないため、店頭分の写真で失礼します。

実は去年にもTwitterでおすすめしたこの漫画。1月に待望の3巻が発売されました。

読んだあとしばらく余韻、というかショックから抜け出せずにまだTwitterで紹介できていないのですが…

とりあえず、言いたいのは、ぜひ、読んでください。ということだけです。

当店では書店購入特典もついてますよ~!

↑第1話試し読みができます。


ということで、いつまでも続いてしまいそうなので今回は5冊、ご紹介させていただきました!

皆さまの最近のおすすめもぜひ教えてください。

今度こそ、本当に終わります。稚拙な文章に最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

引き続き三省堂書店神保町本店をよろしくお願いいたします🙇‍♀️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?