陽一編第12話「とこしえのサマーランド」
男「あとは一人で大丈夫です。おつかれさまです村井さん」
村井「おつかれさま、ありがとう」
男「結婚記念日じゃないですか、当然ですよ」
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男子生徒「村井さん、さようなら!」
村井「ええ、さようなら」
男子生徒B「おい、朋の湯行かねえか?」
男子生徒「あ、いいね」
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男子生徒「ゲ、マジトラのCD売り切れだってー」
男子生徒B「えー!!」
男子生徒「俺2枚予約してた」
男子生徒B「えっ」
男子生徒「1枚はお前にプレゼントする!」
男子生徒Bが喜んで抱き着いた
村井が微笑んだ
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「静」
帽子とコートのマリが校門の影にいた
マリ「一緒に帰らない?」
静「待っててくれたの?」
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マリ「女子中の近くのアナログショップであのCDを買いにくる子たちを見ていたの」
静「まだ売ってた?」
マリ「最後の1枚を二人の少女が一緒に買ったみたい、泣けてきて最後まで見届けられなかった」
静「あの日の写真、ホントにジャケットになっちゃったわね」
マリ「貴誉からメールだわ」
静「貴誉から?」
マリ「電話してほしいみたい」
静「帰ったらかけましょ」
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ピ
貴誉「あ、結婚記念日おめでとうございます!」
静「忙しいんでしょう?要件をどうぞ?」
貴誉「あ、陽一が」
陽一「静さん、マリさん!」
静「大人びたわね陽一」
マリ「今はデビューアルバムリリースのお祝いかしら」
陽一「二人の結婚式の写真をセカンドアルバムのジャケットにしたいんだ!」
栄助「でも二人が象徴になっちゃうから」
幹太「じっくり考えてもらおうってことになって」
マリ「アルバムタイトルは?」
康平「二人の神さま…みたいなコンセプトは決まってて」
静「ええ?決まってるの?」
虎太郎「オリトラはエニグマで始まってカルマズで終わった」
陽一「それって、エニグマとカルマズが100年間一緒になれないって意味だったんじゃないかってさっきまで話してたんだ」
静「エニグマとカルマズは神様だったの?」
栄助「そう!つがいの神様!」
マリ「素敵ね…もしかしてあなたたち、あたしたちに」
静「女神に成れって言ってるの?」
陽一「そう!」
マリ「あなたたち、お酒を?」
幹太「飲んでないよ!」
静「気持ちはうれしいけど…受け入れる時間が欲しいわ」
マリ「いいえ!鉄は熱いうちに打てよ」
静「マリ…」
陽一たち「あれ、思ったよりナーバスに…」
静「ううん!いいわ!」
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マリ「次の100年間が始まっている…」
静「みんなの生きたい世界」
マリ「そこでなら」
陽一「みんな仲良くできるだろう!」
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貴誉「静とマリ、ってのはどうだ?」
虎太郎「セカンドのタイトルか?」
静「ずいぶん直球ねw」
マリ「静」
静「…うん!」
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マリ「そうしてちょうだい!」
栄助陽一幹太康平虎太郎貴誉「わー!」
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静「とりあえずあたしたちはこれからファースト聴くわ」
マリ「あなたたちも楽しんでね」
陽一「ありがとう!!」
静「またね」
貴誉「失礼します!」
ピ
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アナログCDショップ
「あの」
店員が同じアルバムを2枚手渡す
店員「はい」
笑顔の店員の前で男子生徒が男子生徒BにCDを分けた
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雪がちらつく
アスカはイヤホンを分けようとしてる
栞「座って聴きたい」
アスカ「うん…」
二人が歩く
栞が小さなかまくらを指さした
覗いてみた二人の表情
右のアスカは驚き
左の栞は歓喜
サマザマなろうそくとマッチ箱 使い終わったマッチ
奥に木の板が敷いてある
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サマザマなろうそくに照らされた二人が手をつないで座って音楽を聴いている
栞は頭をアスカの肩にあずけ
アスカは遠くを見ている
アスカ(こんなの誰が用意してくれたんだろう…)
3人の男の子がニット帽を
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脱ぎ、雪を払った
ミカミと松雪とアイキの生まれ変わり
静とマリはディナーを食べている
マリの後ろのスピーカーから音楽が流れている
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水平線を見つめる真っ黒な由人の髪型をした人影
シルエット「業の中にはカルマズが、オレの中には」
由人「エニグマが」
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島の砂浜
行き道と戻り道のあしあと
テントに向かって歩いてる由人
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暗がりでぽん、ぽんと手が動く
業の愛おしそうな顔
そっと淡い光が差す 業がテントの外に視線を向けた時にはおぼろげに由人の影ができていた
テントをめくった由人の表情
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テントの中で添い寝をされている小学生の陽一
寝顔
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人差し指を口に当てる業(しーっ)
にこっと由人も口に人差し指を当てながらめくっていたシートを静かに下ろす
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視点が外に切り替わり、しゃがんでいた由人がテントをしめたところで
『太陽が…』
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『水平線を離れた』
間違い探しのようなページの変化
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業「大好きだよ…俺たちの陽一…」
すぅ、っと小学生の陽一が目を開ける
業がそれに気づいて「起きた!」という顔をする
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むくりと起き上がる小学生の陽一
小学生の陽一「おーはーよっ!」
由人が陽一の声のしたテントの方を見た
ポケットから手を出しテントに向かって歩く由人
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太陽はさっきよりも少し高いところに昇っている
空と水平線はオレンジと紫
みなもは黄色、赤、緑
笑顔の由人がテントから出てきた陽一を腕を広げて抱き止めようとしている
嬉しそうな陽一が由人に抱きしめてもらおうとしてる
テントから出る最中の業が二人を見て笑っている
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由人と小学生の陽一が笑顔で抱きしめ合う
ここは心の投影
心象風景の世界
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カチッ
業が煙草に火をつけた
由人に抱きあげられた陽一「あー!業!」
小学生の陽一が指さした
ふーっと煙を吐く業「歌い終わったからな」
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由人「それもそうか」
陽一がふしぎそうに由人を見てる
陽一「由人~なんでいいの~?」
由人の声「それはねー」
陽一が目線を反対側の斜め上に上げる
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陽一「あ!」
空を指さす陽一
オレンジの空に…
クイーン
キング
ジョーカー
ジャック
エース
5人の神が談笑してる
業「神様がよく見えらあ!」
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薄紫の空から5人の神が「おや?」こちらをみた
陽一「おーい!」
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星空に浮かぶ5人の神が笑いながら胸のあたりで手を振っている
島の砂浜から陽一が手を振り
業と由人が両脇にいた
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茂みの中に二人の黒い男の子がいる
3人の後ろ姿を見て微笑んでいる
「エニグマ」
「カルマズ」
二人の男の子がキスをする
陽一が振り向いてそれを見た
見られたことに気づいた二人の男の子
ニコッと笑いながら人差し指を口に当てた
(しーっ)
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空を見てる業と由人の間で陽一も
ニコッと笑い人差し指に口を当てた
(しーっ)
つづく