陽一編第11話「タイムカプセル」
バババババババババ
ハッピーバスデートゥーユーーーー♪
幹太と陽一と幹太の彼氏と虎太郎、栄助の両親が歌う
栄助が14本のろうそくの火を吹き消した
バババババババババ
陽一「なんだ!?」
虎太郎「ヘリ!?」
インターホンが鳴る
拡声器を持った宅配員「タイムカプセルのお届けでーす!」
栄助の父「そんなの頼んだっけ!」
栄助の母「幹太君!?」
幹太「俺知らない…!」
宙づりにされた青いコンテナが下ろされた
ぷしゅーーー
配達員「2050年からですね!」
コンテナが開いた
栄助(これは)
陽一「行方不明だった由人のギター!」
===
陽一「ギブソンCM-T2016!!」
虎太郎「さすがマニア!」
栄助の父「ご先祖様からか―!!」
栄助の母「えええええええええええええええええ本当だったのおおおおおおおお!!?」
配達員「メッセージカードが添付されてまーす!」
栄助があっけにとられながらそれを受け取った
陽一「栄助!!開いて開いて!」
カードを開く栄助
「君の名前を知らない。だけどこれを贈る。栄助。君がこれを弾いてくれたらうれしい。年代物だけど、フレットは打ち直してある。7万円程度のギターだ。だけどオリトラのライヴは全部これでこなした。もちろんレコーディングも。オレは反対言葉を話すことで有名だ。そう、もう業もアスカもミカミも栞も、死んだ。オレももう50だ。JOKERまで背負えとは言わない。ただこのギターを、愛礎の子孫である君に、あげたくなった。
このギターは誰にも渡すな、メディアにはこの手紙をちらつかせとけ。陽一、幹太、あと天パの君。そして、虎太郎。お前らでオリトラを継ぐなんてもってのほかだ!! 腕に全治2週間の怪我を負った笹原由人より」
陽一「うわああああああああああああ!!!」
康平(天パの君って俺のこと?)
虎太郎「どういうトリックだ!?」
陽一「トリックなんかじゃないよ!由人はほんとに竜の声を聴いてたんだあああああああすげええええええええええ!!」
幹太「そんなことあるかなあ!!?」
配達員「サインいただけますかー!?栄助さーん!」
栄助「は、はい!」
笹原栄助
ヘリが去った
ご近所の人が珍しそうにこちらを見てた
栄助の母「すみませんお騒がせして!」
栄助の父「さ、みんな中へ入ろう」
家の中に入る
ポロンポロンと栄助が弦をなでている
「オリトラ 由人 ギター シリアル」
検索ボタンが押される
栄助の母(あった!160079336!!)
栄助の母「栄助!そのギターにシリアル番号ってある?」
栄助「番号?」
虎太郎「ヘッドの裏じゃないか?」
160079336
栄助「いちろくまるまる」
栄助の母「!」
栄助「ななきゅうさんさんろく」
栄助の母「…」
栄助の父「一致した…」
栄助の父と母が考え込んでいる
回想
「サインいただけますかー!?栄助さーん!」
栄助「…」
陽一「栄助!今どんな気持ち!?」
栄助「悪魔と契約した気分…」
陽一「由人は悪魔なんかじゃないよ!!いや!由人が悪魔なら栄助は天使だ!!」
幹太「陽一テンション高すぎてなに言ってるかわかんないw」
康平「オリトラは継ぐなって書いてあるけど」
虎太郎「俺らは俺らのバンド名を考えろってことじゃないか?」
栄助「もう俺ら14だぜ?アイドルって年じゃない」
陽一「実力派で行こうよ!」
幹太「そうは言ってもねえ」
栄助「14歳以降はマージナルな時期だからなあ」
陽一「マージナル!?」
虎太郎「周辺にあるさま。境界にあるさま。」
陽一「それだ!!」
栄助「え?」
陽一「マージナルトランプ!!」
幹太「おもしろいけど、マージナルには『限界に近い』って意味もあるんだよ?」
陽一「トランプが限界に近い!!」
虎太郎「なんだそりゃw」
栄助「陽一、ジョーカーに向いてるんじゃないか?」
陽一「俺ドラムやりたい!」
虎太郎「もうパートの話か」
幹太「康平、ピアノ弾けるんだよ」
康平「ええ!?幹太乗り気なの!?」
栄助「幹太は5歳の時ピアノを勧められて断ったんだぜ」
虎太郎「自分でか?」
幹太「あ~『絶対やだ』って言ったらしいw」
康平「…俺、絶対やだなんて言えないな」
陽一「やってもいいってことだよね!」
康平「うん、幹太と一緒ならね」
幹太「しまった」
陽一「幹太は何やる!?」
指さしながら栄助「ギター、キーボード、ドラム」
指を数えながら虎太郎「ボーカル、ベース」
栄助「あ、幹太ベースだ」
陽一「なんでなんで!?」
幹太「俺の歌声忘れたの?」
陽一「はははは!!」
幹太が少しムッとして
虎太郎「だめだこいつ、トランスしてる」
虎太郎がなだめた
幹太「俺がベースでいいかな、虎太郎」
虎太郎「…」
絵の具の上を走り回れ
色とりどりの足跡で世界を飾れ
のどを震わせて
声を届けよう
いつでもここにいる
今の君へ
虎太郎「のど、震わせてみようかな」
陽一「決まり!」
栄助の両親が反応した
陽一「栄助のお父さん!写真撮って!」
栄助「どうするんだい?」
陽一「将来本に載せるんだ!」
栄助の父「将来、か」
栄助の母が肩を下ろした
栄助の母「血は途絶えるのだし、文化を残しましょう」
栄助の父「…そうだな」
ギターを構える栄助を中央にして5人が並んだ
栄助の父「せーの」
パシャ
栄助の部屋に虎太郎と陽一が泊まる
栄助「陽一、寝たか?」
陽一は寝息をたててる
虎太郎「俺なら起きてる」
栄助「ギターなんて弾けるのかな」
虎太郎「由人も14で始めたんだぜ」
栄助「教室とか通えばいいのかな」
虎太郎「それはちょっと…講師を呼ぶとか?」
栄助「うーん」
陽一「ん」
虎太郎「やべ、陽一起きる」
栄助「なんか陽一が真ん中だと俺と虎太郎が陽一の両親みたい」
虎太郎「お前の彼氏だろw」
栄助「つきあって、とは言ってないんだ」
虎太郎「じゃあ栄助、俺とつきあって」
栄助「陽一がいるからダメw」
虎太郎「つきあってんじゃん、それ」
栄助「契約してるみたいでやだ、って陽一言ったんだ」
虎太郎「今日の結成は」
栄助「約束、かな」
虎太郎が子守歌のように口ずさんだ
虎太郎「全ての、色と、出会う、約束、博愛をなそう…」
陽一「このエニグマの層で…」
栄助「あ」
虎太郎「寝言だ」
栄助「なんだw」
虎太郎「この声で、どこまでいけるのかな」
栄助「悪くなかった」
虎太郎「いいって言えよ」
栄助「これからうまくなるさ」
虎太郎(自分に言い聞かせてるな)「寝るぜ?」
栄助「うん…あらためて、おやすみ…」
===
幹太「康平」
康平「寝てるようだ」
幹太「オリトラってアスカと栞は女だったけど」
康平「あ、俺らのパートか」
幹太「女装でもする?」
康平「え」
幹太「康平ってさ」
康平「な、なに?」
幹太「ちょっとだけ女の子がいるよね」
康平「昔から、時々そういうこと言われた」
幹太「今、二人だけじゃなく5人の関係もあるから言えるんだけど」
康平「うん」
幹太「康平が女の子でも、俺は好き」
康平「あ、ありがと」
幹太「ありがとうなんだw」
康平が向こうを向いてた
幹太「そっち行っていい?エッチはしないから」
康平「来て」
幹太が康平のふとんに入った
康平「俺ちんちんあるのが自分だと思ってる」
幹太「うん」
康平「けど、スカートとか穿くのも興味ある」
幹太「中1の時は我慢してた?」
康平「だって…少年愛に水なんて差せないよ」
幹太「水差さないほうを選んだ」
康平「水差しても受け入れてくれたの?」
幹太「中1の俺には、難しかったかも」
康平「じゃあ…穿いていかなくてよかった」
幹太「持ってるの?」
康平「母さんも父さんも気づいてくれてる」
幹太「俺、今の髪型でスカート穿いてる康平と」
康平「あ、うん、髪は今くらいが自分って気がする」
幹太「街歩いてみたいな」
康平「幹太…」
幹太「狭くない?」
康平「このまま寝たい」
幹太「康平」
康平「?」
幹太「女の康平も康平なの?」
康平「え…」
幹太「名前」
康平「それは、考えたことない」
幹太「分けなくていいけど」
康平「うん」
幹太「こう呼んでほしいとか、(あくび)あったら言ってね」
康平「なんで」
幹太「え?」
康平「そんなに俺のこと考えてくれる?」
幹太「自分のこと僕っていうときの康平、すごくかわいいから」
康平「…僕」
幹太「ほらねwかわいい」
康平「僕、チョコレート一人で作ったの」
幹太「あ」
康平「お母さんと作ったら異性にあげるって意味、お父さんと作ったら同性にあげるって意味…」
幹太「一人で作ったのは」
康平「幹太が僕と同じかもしれないって思ったから」
幹太「なるほど…」
康平「エッチはしたかったよ」
幹太「ならよかった」
康平「今度反対でしてみたい」
幹太「うん、いいよ」
康平「スカート穿いたままでも?」
幹太「はは、お望みとあらば…」
康平「ちょっといや?」
幹太「ずっとはいや」
康平「たまに?」
幹太「俺の時の康平も、かっこよくて好きだから…」
康平「幹太って」
幹太「イエスマン?」
康平「ううん、なんか完璧な彼氏だ」
幹太「へへ、なんか自信出ちゃう」
康平「つきあう意味って、それかな」
幹太「なのかな(あくび)」
康平「幹太」
幹太「寝てるようだ」
康平「ぷ、おやすみw」
幹太「おやすみw」
星空に浮かぶ夏服の業と由人
中学生の業と由人がハイタッチする
それを見た小学生の陽一が「いかなきゃ」という顔をする
小学生の陽一が走りながらやってきて
二人とハイタッチした
小学生の陽一が笑った
業「やっと笑ってくれた」
陽一「うん!」
由人「お前のためならなんでもする、大好きだよ、オレたちの陽一」
陽一「うん!」
業「栄助、いったいどんな変顔したんだ?」
陽一「秘密!」
由人「あれが約束だったんだもんね」
陽一「そう!」
業「これからは…」
陽一「ずっといっしょ!」
由人「もう死んでるもんね」
業「くっ」
はははははははは
アイ・リヴ・ウィズ・ユー・アズ・カルマ
===
陽一が起きた
陽一「…夢か」
虎太郎が隣で
栄助がベッドの上で
寝息をたてていた
ギタースタンドにギターが置いてある
その奥に栄助の卒業アルバム
手に取る陽一
クラス写真
陽一「お前だけずるいぞ」
ハイタッチしてる夢の映像を思い出す陽一
陽一(オレたちの陽一なんて言われて)
陽一の写真が笑った
陽一(!?)
ように見えた
陽一(…気のせいか)
陽一には聞こえていない声(大丈夫、素敵なものが待ってる。)
むくり
虎太郎が起きた
陽一がそれに気づく
栄助も起きた
栄助「なんかすごい夢見た」
虎太郎「陽一だけずりー…」
栄助「…え?」
陽一「…」
スマホが震えた
栄助「幹太からだ」
虎太郎「でればああああ」
陽一「…スピーカーにして?」
栄助「わかった」
ピ
幹太「栄助!!陽一生きてる!?」
栄助「幹太…」
幹太「俺と康平、陽一が死ぬ夢見たんだ!!」
栄助「俺もその夢見た」
虎太郎「死んだってか」
栄助「天に召された?」
康平の絶叫が響いた
幹太「陽一…」
陽一「俺生きてるよ」
幹太「陽一!?」
康平「動画に切り替えて!?」
陽一の顔が見える
康平が安堵して泣いた
虎太郎「康平、女の子みたいだぜ」
康平「いいもん、僕」
幹太「はは知れ渡った」
陽一「ってか夢で聞いたし」
虎太郎「幹太は完璧な彼氏」
幹太「そっちは陽一の両親気分になってたでしょ」
陽一「えーーーーー」
一同「??」
陽一「小学生の俺だけずり――――」
虎太郎「はは」
幹太「今の陽一には」
栄助「俺らがいるじゃん」
康平「僕も」
栄助の母「栄助~~~?朝にしなーーい?」
幹太「栄助!そっち行っていい!?」
栄助「ちょっとまってーーーーー?」
階段を降りる栄助
栄助「母さん、二人前追加できる!?」
栄助の母「5人分よー」
栄助「え?」(あ、母さん髪、団子にしてない)
栄助の母「先にあんたたちのサラダだけ出しといたわ」
サラダが5つ
栄助「もしかして…母さんも?」
おほん
栄助の父「父さんもだ」
栄助「…大変だ」
階段を駆け上がる栄助
栄助「幹太!康平!母さんがサラダ5つ用意してる!」
幹太「向かってるよ!」
康平「うん!!」
陽一「栄助…」
虎太郎「5つじゃ足りないみたいだ」
栄助「ええ?」
窓に向かう栄助
貴誉がいた
翼が走ってきて陽一の顔を見て安堵した
春、道郎
礼、裕大
豪、琥珀
柚留
栄助「もしかして…あいつら全員?」
虎太郎「いちに、さんし、ご、ろく…」(サラダの材料あるかな?)
陽一「あ!先生だ!」
元6年1組のみんな「え!?」
幹太「うわああああなんかすごいことになってる!!!」
元担任「みんな久しぶり~」
春「先生も!?」
柚留「あの夢見た!?」
元担任「え~みんなもか?」
ワイワイ
豪「栄助―――!ギターあるんだろーーー?なんか弾いてよーーー!!」
栄助「あ!ギター講師発見!!」
豪「俺!?」
ははは
虎太郎「陽一」
陽一「え?」
虎太郎「みんな友達か?」
陽一「あ…。小学生の俺が」
栄助「俺たちの陽一につないでくれた!」
だだだだ
幹太と康平が部屋にたどり着いた
幹太「どうなってんだよお」
康平「誰かにおしり触られた」
栄助「ぷっ!」
幹太「こらーーーー!!貴誉―――!!」
貴誉「いけねw」
栄助の父「先生!バーベキューでもしませんか」
元担任「いいですねえ!材料は任せてください!」
はーい!と声を張る元担任
元担任「元6年1組は買い出しに行きまーす!」
元6年1組「はーい!」
陽一「俺たちどうしよう!」
幹太「俺たちは中の手伝いだ」
虎太郎「コンロ足りるのか?」
栄助「俺んちには二つある!」
幹太「あ、俺んちにも一つあった」
康平「僕と幹太で取りに戻ろう!」
幹太「よし!行こう!!」
足踏みする陽一「俺どうしようどうしよう!」
翼「陽一!」
陽一「翼っ買い出しいかなかったの?」
翼「一緒にコンロ運ぼうよ」
陽一「それだ!」
コンロを運ぶ虎太郎「楽しくなってきたな」
栄助「これ、はじまりにすぎないんだぜ」
虎太郎「ふっ、ああ」
栄助の父「先生たち買い出しに行ったよ」
栄助の母「割りばし買ってきてくれるかしら」
===
スーパー
村井「あら」
坂島「昨日の今日ね」
村井「なんか夢見たの」
坂島「あたしもここに来ればあなたに会える気がした」
柚留「あ、村井さんだ」
春「あ、坂島さん!僕、道郎と仲良く!その」
坂島「なによりだわ」
元担任「おはようございます」
柚留「俺たちの小学校時代の担任の先生だよ!」
村井「まあ!■■中の用務員の村井静です」
坂島「夏の補助員をしてます、坂島マリです」
元担任「これはこれは、この子たちを卒業生に持つ常本です」
村井「あの、この子たちもしかして」
坂島「全員、夢を見たのね?」
一同「はい!」
礼「これから栄助の家でバーベキューするんだ!」
村井「えー!?朝から~!?」
琥珀「二人も来る?」
顔を見合わせる村井坂島常本
坂島「お邪魔させてもらいたいの」
村井「マリ…」
常本「もちろんですよ」
===
じゅーーーー
陽一「それでは!!」
幹太「マージナルトランプ結成を祝して!!」
栄助「乾杯!!」
===
一同「かんぱーい!」
ブラックコーヒーのボトル
ジンジャエールのボトル
コーラのボトル
常本「こんなふうに卒業生と再会するなんて思わなかったなあ」
村井「夢にも?」
常本「ふふ」
坂島「…」
===
貴誉「あー幹太!それ俺の肉!」
幹太「知らん!」
康平「ははは」
===
栄助「こうか?」
豪「これがEマイナー、んでこうすると」
じゃらーん
栄助「明るくなった?」
豪「そう、これがE!」
===
春「あーんして」
道郎「みんなの前だから駄目!」
春「えー」
琥珀「柚留、あーん!」
柚留「あーん!」
春「ほら道郎!はずかしくないよ!」
道郎「わかったよ、あーん!」
===
裕大「バレエはどうだ?」
礼「ぼちぼちでんなあ」
===
村井「翼、その後どう?」
翼「あの後貴誉が電話くれたんだ、なんかあったらちゃんと言えよって、さらっと言われて、電話切った後、いっぱい泣いちゃった」
陽一「そうだったんだ…」
村井「そう、その涙はね」
坂島「静」
村井「どうしたの?」
坂島「あたしのフルネーム、言ってみて」
村井「坂島マリ」
坂島「言いにくいでしょう?」
翼「まがつづいてるから?」
陽一「かなあ」
村井「ふふ、なんの冗談?あたしなんてイシズカって呼ばれたことあるわ?」
翼「むらいしずか」
陽一「いしずか…」
坂島「はっきり言うわ」
みんなが坂島の方を見た
村井「ほんとにどうしたのよ、マリ」
坂島「あたしを」
じゃらーん!
豪「そう!それがC!」
坂島「あたしを村井マリにして!」
じゃらーん!
村井「!!」
豪と栄助「え?」
口で手を押さえる村井静
静「マリ…!!」
マリに抱き着く静
マリ「今朝の夢を見て思ったの、ここでプロポーズできたら最高だって…」
栄助の母が感動しながら
(返事は!?)
息をのむ一同
静「返事はイエス!」
栄助の父と常本先生が「おお」と声を出した
栄助「わー!」
栄助がCを掻き鳴らした
虎太郎「栄助が言ったな、これは始まりに過ぎない、って」
陽一「次の100年に!つなぐんだ!」
マリ「静!聞いた?オリジナルトランプの博愛の意志が」
村井「マージナルトランプにつながった!」
マリ「私たちの選んだ道も…」
静「ここにつながってた!!信じられない!」
陽一「二人はずっと一緒だ!!」
静「マリ!」
マリ「静!」
抱擁
キスで誓う二人
栄助のほっぺにキスをする陽一
栄助が口にキスを返す
康平と幹太もキスをした
春と道郎も
栄助の父と栄助の母も
元担任「よし相手がまだな奴は先生にチューしろ!」
わー
虎太郎と貴誉「ははは」
互いに気づく二人
虎太郎「…」
貴誉「…これ、食うか?」
いい感じに焼けた串を持ち上げた貴誉
虎太郎「もらう」
栄助「なあ陽一、どこまでいけるのかな」
陽一「みんなの生きたい世界に行きたい!」
幹太「みんなが思ってることをするのは」
康平「きっと簡単!」
虎太郎「マネージャーみつけた」
貴誉「よろしく」
陽一「あー」
幹太「なるほどね」
陽一「貴誉、一人のおしりは愛せない!」
栄助「ぴったりだな」
貴誉「今日の写真をファーストのジャケットにするなんてどうだ?」
康平「あ、いいね!」
虎太郎「こりゃ切れ者だ」
陽一「栄助!三脚ある?写真撮る用の!」
栄助「どうだろ、父さーん!」
常本「先生が撮ってもいいぞ?」
陽一「除け者なんて駄目だよ!先生も写るの!」
常本「…陽一は優しいな」
物置から三脚を発見する栄助と栄助の父
栄助の母「あの」
静「え?」
栄助の母「1着しかありませんけど、ウェディングドレス」
マリ「それはあなたのもの。他人に貸していいものじゃないわ」
栄助の母「心から祝福したくて」
静「気持ちだけでうれしい」
ぴ ぴ ぴ
陽一「せーの!」
===
カシャ!
一同「はい!」
===
6年後 2122年 冬
(まだあるかな…)
型鞄を押さえ、雪の中を小さく走る少女
アスカの生まれ変わり
横切る公園のジャングルジムの隣で小さなかまくらを作る子供たち 3人ともニット帽をかぶっている
ざくっざく
「カズハ!もういいんじゃない!?」
「そうだね!」
「できたー!」
「かんせー!」
ポニーテールの尾
「アイキはマッチ!ケンタはろうそく!僕は木の板だ!」
アナログ屋の入り口の横にポスターが貼ってある
アスカのポニーテールが店の中に入ったアスカを追いかける
ポスターには5人のシルエット
マージナルトランプ/インヘリダンス
キャッチコピー:次の100年間が、始まっている。
新譜のコーナー
マージナルトランプ/インヘリダンス
ジャケットに女性二人を中央にした写真
アスカ(最後の1枚!よかった…!)
ジャケット
アスカ(なんで予約しなかったんだろう!)
?「アスカ」
アスカ「栞」
===
栞「アナログで持っておきたいの?」
アスカ「でも」
栞「あたしもそれ持っておきたかった」
===
(栞に言うべきことがある)
目線を下へ向けるアスカ
アスカ「栞、これ、あたしと二人のものにしない?」
(違う)
===
栞「うれしい!」
アスカ「うれしいって?」
栞「今度はアスカと結ばれたかった」
アスカ「今度は?なーに、それ?」
(栞に言うべきことがある)
===
コートと帽子の人物が雑誌を立ち読みしている
栞「アスカ、あたしたち、前世でも一緒だった」
コートと帽子の人物がマリだったとわかる
アスカと栞の方に目を向けて驚く
マリ(アスカに、栞!?まるで生き写しだわ)
アスカ「前世?何言ってるの、栞」
栞「でもその時代は、友達以上になっちゃいけない雰囲気があった」
マリ(…)
アスカ「今は…違うの?」
===
栞「アスカ、あたしの恋人になって」
アスカが涙ぐんだ
アスカ「栞が何言ってるか分かんない、…でも」
===
(栞に言うべきことがある)
こんなにうれしいのはどうして
(栞に言うべきことがある)
横顔:思い出せないのがもどかしいのはどうして
===
栞「アスカと過ごした日々のこと、全部覚えてるの」
アスカ「そんなのずるい、あたしは何も知らない!」
===
栞「業も由人も、ミカミも松雪ももういない。でもアスカにはあたしがいる」
アスカ「栞にはあたしがいる!」
栞「大人になったらこんな風になりたい」
===
アスカの持ってたアナログCDに手を添える栞
ジャケット
アスカ「栞!あたしあんたのこと!」
===
マリが退場した
しゃがみ、口を押さえ泣くマリの横顔
===
アングルが変わる
マリの後ろにさっきのポスター
次の100年間が、始まっている。
アスカ「ずっと好きだった!」
つづく