CaCO3+CO2+H2O=Ca(HCO3)2
10年くらい前に知人の友人のやっている英会話教室に通ったことがあって、先生はカナダ人でミュージシャンだった。「このあいだ福岡に友人が遊びに来た時に空港で、ファックユーオケイでいいところだなと言ったんだははは。」って言った日以来、なんだか全てが嫌になってその英会話教室を辞めた。糸島はファックユーオケイな福岡 FUK U OK A にある。
立石山は糸島の芥屋海岸のすぐそばにあって、花崗閃緑岩の岩肌には水晶が埋まっている。うっすらと桃色がかった岩は花崗岩のような気もするが。地層的には花崗閃緑岩だそうだ。
芥屋海岸には玄武岩の隆起する岸壁があり、かつてはダイバーが潜って探索できていた玄武岩の海中洞穴がある。かつて、韓国に旅行した時にBeatleで2時間半、海を渡った。釜山の海岸に着くまでに船の窓から見えた黒く険しい玄武岩の岩山は、福岡からおよそ200km離れたはるか遠くの韓国まで、玄武岩が海底をずっと繋がっていて、韓国と福岡もまるで一つの国のように繋がっているみたいだ。そう考えると、韓国と福岡の間の海はまるで瀬戸内海のような内海に思えてくる。ドーバー海峡をフランスとの内海のようだと思うイギリス人はいるのだろうか。韓国人と日本人はイギリス人とフランス人ほど仲が悪いとは思えないが。まあいいや。
一昨日、北九州にある平尾台の洞窟に行った。平尾台はカルスト台地で、洞窟で鍾乳石を見ることもできる。カルスト台地に点在する岩の表面は所々白く輝く方解石を含む石灰岩。雨によって有機的な形に変えられたそれらの岩々は、地下から地上に生えてきたかのようで、緑の草むらにまるで羊のように静かに群れていた。立石山の花崗閃緑岩とよく似ているが、平尾台の石灰岩は柔く、手で触ると簡単に表面の小さな岩の塊が落ちる。
石灰石は主たる成分は炭酸カルシウムで、雨が降ると炭酸カルシウムは溶けて、土壌に吸い込まれ、土壌に含まれる二酸化炭素と結合してさらに地中にある洞穴に入るとそこで鍾乳石を作る。しかし、鍾乳石もまた、雨水との化学変化によって溶け、そして固まったりまた溶けたりとを繰り返して洞穴の天井からぶら下がって伸び、地面に落ちたものは下方から上方へと伸び、双方から鍾乳石の柱を作っている。鍾乳石の表面をライトで照らすと鉱物の煌めきが暗闇で独特の光を放っていた。その輝きは、地上で見る太陽の輝きや太陽の光を細かく反射する海面の輝きとも違って、どこかスパンコールやネオンにも似た仄暗い怪しさがあって、心を奪われた。
家に新約聖書しかなくて、というところまで書いて石のことを書いてしまったが、続きは旧約聖書を買いに行ったけどどれを買って良いかわからなかった。というところまでだった。いつもの習性で本屋で買ってしまったのは、ブリューゲルの薄っぺらい画集だった。バベルの塔というタイトルの絵は知っていたからっだった。件の人物について何か手がかりになるものはないかと思ったが、崩壊する塔はどうも夢で見た図書館とはまったく別のものだった。
それから5、6年後に湯布院でR.シュタイナーの読書会をされていた吉川夫婦と出会って、吉川さんから旧約聖書と新約聖書が収められた聖書をいただいた。そこで初めて、バベルの塔の物語を知った。実は、それよりも気になって先に読んだのは、バビロンの虜囚と預言者エレミヤの物語だった。古代に繁栄したバビロンの都の栄華を想像する時、イシュタルの門を思い出す。都はイシュタルの門のように様々な美しい石で彩られていたのだろうか。バビロンという名前を聞くと、そこにある建物も道も壁も様々な宝石でできているような都を思い浮かべる。オズの魔法使いのエメラルドの都のようなそんなイメージが重なっているのかもしれない。