プロジェクト型学習(PBL)研修
High Tech Highの特色のひとつに、プロジェクト型学習があります。実際に学校で使われているProject Based Learning、略してPBLと呼ばれるこの手法を教える研修が、今年の1月と8月に東京で行われました。来日したのはサンディエゴのノースカウンティにあるHigh Techエレメンタリーで小1を教えるジャメル・ジョーンズ先生、そして初期の頃からあるHigh Tech Highで生物を専門に教えるジョン・サントス先生のふたりです。
1月に行われた研修については、こちらの記事 課題解決型学習、世界はこの学校に注目する 「ハイテク・ハイ」が日本にやってきた に詳しく書かれています。1月には46人の教員が参加と書かれていますが、夏には60人を超える参加があったようです。私は夏の研修で通訳としてお手伝いをさせていただきました。
3日間の研修で、実際にHigh Techスクールで行われているPBLのデザインの最初から最後までを実際に見ていきました。いつからプロジェクトのプランを始めるのか、どういうところから着想を得るのか、生徒たちの評価はどのようになっているか、など、かなり細かなところまでレクチャーがありました。また、初日の午後から早速、グループごとに話し合いをしたり、実際に手を動かしてモノを作って発表するなど、参加している教員の皆さんが実際にプロジェクトを体験する場面もありました。
中学・高校ではともかく、小学校では基礎的な力がまだついていないのに、プロジェクトができるのか?という質問もありました。実は、私も同じことを考えていたひとりです。High Techスクールはまず高校が作られ、そのあと中学校、小学校と拡大していきました。高校で生物を専門とするジョン・サントス先生は16年前から教えているベテランで、「最初のうちは、高校と同じやり方を小学校でもやろうとして失敗した経験がある」と話してくれました。
去年から小学校で1年生を教えるジャメル・ジョーンズ先生によると、もちろん小学校の最初のうちは読み書きや計算などの基礎的な力をつけなくてはいけないけれど、すべての学びをプロジェクトというフレームワークの中で行うことは可能だ、と言っていました。実際に、先生の時間割がどうなっているかを見せてもらうなど、参加者の先生方にとっても有意義な学びがあったようです。
(来日したジャメル先生、ジョン先生、主催者のおひとり「こたえのない学校」の藤原さとさん。今回「FutureEdu」の竹村詠美さんは別の研修に関わっていました)
今回、通訳としてお手伝いさせていただいたことで、PBLについて深く理解できたことは本当に幸いでした。3日間を通して、ふたりの先生が何度も出使っていたのは"Children develop their identity as a learner"というフレーズ。「学習者としてのアイデンティティ」とは、様々なプロジェクトを通して自分について良く知り、最適な学び方を学んでいく、というニュアンスでしょうか。自分の学校時代には、そんなことを意識したことすらなかったような気がします。次回は、学校が始まり一か月ほど経った今の我が家の子どもたちの反応・感想について書いてみます。