弁天娘女男白波
「弁天娘女男白波」猿之助弁天小僧を観る機会に恵まれず実は初めての見物。
若い頃の愛らしいお嬢様も観たかったが、弁天小僧の想像を絶する可愛らしさにやられてもしまった。お嬢様は安定の女方でうっとりしてたらあらま、男と
身の上がばれてからがまたまた素敵。
河竹黙阿弥の代表作で七五調の名ぜりふで魅了する猿之助弁天小僧。
「知らざあ言って聞かせやしょう
浜の真砂と五右衛門が
歌に残せし盗人の
種は尽きねえ七里ヶ浜
その白浪の夜働き
以前を言やあ江ノ島で
年季勤めの稚児が淵
百味講で散らす蒔き銭を
あてに小皿の一文字
百が二百と賽銭の
くすね銭せえ段々に
悪事はのぼる上の宮
岩本院で講中の
枕捜しも度重なり
お手長講と札付きに
とうとう島を追い出され
それから若衆の美人局
ここやかしこの寺島で
小耳に聞いた音羽屋の
似ぬ声色でこゆすりたかり
名せえゆかりの
弁天小僧菊之助たぁ俺がことだぁ!」
あれ?っと思ったのが音羽屋、そうなのです。澤瀉屋が演じる時は音羽屋って言うんだ。菊五郎さんが演じる時は音羽屋って言ってなかったから耳に残りました。音羽屋が演じる時はじいさんとかって言うらしい。
音羽屋以外が演じる時は台詞も変わる。歌舞伎って面白い。
そして弁天小僧は男娼らしき事もしてたって台詞を読んでドキドキ。他のお家の弁天は女から化けの皮が剥がれた時は男っぽい言い回しで落差を楽しむ名調子だが、猿之助弁天小僧は男に戻ってからがより可愛い。声も少しハイトーンでどことなくBLっぽい弁天小僧で何とも艶めかしい。南郷力丸とのやりとりもなんだかラブラブ。
想像を超える可愛いさは芸の賜物。若い頃の尖った猿之助さんも良いけど四十を過ぎて半パンはいて可愛いルフィに勝るとも劣らない弁天小僧の愛らしさ。
そんな猿之助弁天の初日から随分日にちも過ぎもう一度見物って言う日を偶数日と奇数日を間違えて届いたお切符は奇数日。私のバカバカバカ!
奇数日のお切符を捨てて偶数日を取り直そうか等と心が揺れる。今月はご縁が薄かったと思って諦めようか。
千穐楽も奇数日。もう仕方ないよね。
関西の公演は今年はほとんど無い。どれだけ観たくても回数を重ねる訳には行かないのが贔屓の歌舞伎見物。
弁天小僧が少年の頃は男娼や盗みで生きてきたって七五調の台詞の中に散りばめられてるって考えたら凄いけど、江戸時代の性はおおらかだったって事かとも思ったり、男(南郷力丸)に心を寄せる風の猿之助弁天が本来なのかとも考えたりする。人に聞いた話ではこの中性的なやり方が澤瀉屋の型。年齢を重ねる事でより愛らしさを表現出来る魅力的な猿之助弁天小僧にもう首ったけだけど今月はもう会えないね
#歌舞伎座 #三月大歌舞伎 #猿之助弁天小僧
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