見出し画像

陽春花形歌舞伎 御園座

尾上松緑こと、きおいちょが御園座で「南総里見八犬伝」の現八をするというのでちょこっと遠征。
ストーリーや感想の前に御園座空席問題。
私が行った4月19日は昼の部のみ。S席はかんぽ生命保険の団体でほぼ満席。今どき18000円のお席でパンフ(2000円)イヤホンガイド(700円)幕の内弁当付きで格安なのかご招待なのかバブリーな所はあるんだなと感心。席は空席より埋まっているほうが良い。ただ残念なことにA席の空席が目立つ。2階後方のC席は熱心なご贔屓でいっぱいなのにA席の空席はかなりツラい。平日だから仕方ないのか。ファンならS席で観たいと思うがS席はいつもほとんど完売。行ってみると空席と言うのが中日あたりまで続いたそうだ。ワンピース歌舞伎の時もそうだ。何故かS席空席でガラガラ。私達は買いたくても販売されてなかった。外部キャストが何人かお切符を手配してくれて最終的には大入り満員になったのだが、先日のネットニュースでは歌舞伎以外の公演でもその様な話が出ていた。不可解なチケットシステムは1年経っても改善されていない。どうぞ、錦秋顔見世までに改善されますように。そしてお切符の価格も考え直して欲しい。片岡愛之助さんを座頭にしての若手とまでは行かないが花形歌舞伎の一環。「南総里見八犬伝」だけで昼夜同じ演目。18000円は高すぎるのではないだろうか。パンフの2000円も松竹座、歌舞伎座、南座、新橋演舞場の歌舞伎筋書、番付からしても突出して高い。

不満はさておき「南総里見八犬伝」私は個人的にドラゴンボールみたいで苦手だ。
そんな私でも楽しめる仕上がりになっている。

原典は、ご存じ曲亭馬琴の作品で文化11(1814)年〜天保12(1841)年まで書き続けられた全98巻の大長編の読本『南総里見八犬伝』それをぎゅきゅと縮めてるので発端、序幕がかなり説明が入る。
安房の大名里見家は滅亡し里見の息女伏姫が愛犬八房と隠れ住んでいる。所持した数珠の八文字が消え伏姫はとも交わらないのに懐妊。追っ手達がやって来ると伏姫はアイケア八房にお腹を喰われ命を落とす。その際に仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の玉が宙に飛び散る。そしてこの玉を持つ八犬士が活躍して里見家を再興する。
 犬江親兵衛(いぬえしんべえ、仁)、犬川荘助(いぬかわそうすけ、義)、犬村大角(いぬむらだいかく、礼)、犬坂毛野(いぬさかけの、智)、犬山道節(いぬやまどうせつ、忠)、犬飼現八(いぬかいげんぱち、信)、犬塚信乃(いぬづかしの、孝)、犬田小文吾(いぬたこぶんご、悌)の八犬士の活躍を描く物語

通し狂言で観るのは初めてだが、伏姫と毛野は中村梅枝君。伏姫は古風でたおやか、女と見せかけて実は犬士の毛野は立役への変化が鮮やかで上背もある梅枝君の立役はなかなかの物。
片岡愛之助、愛ちゃんは早替りあり、化猫ありと大活躍だが化猫は猿之助化猫が化猫過ぎるので愛ちゃん頑張ってるねぇと言うていど。ごめんなさい。
信乃はとても似合ってて素晴らしいと思う。
坂東新悟ちゃんは浜路と雛衣の二役だが両方殺されちゃう。市村橘太郎さんは金のしゃちほこから令和羽織等みどころたっぷり。
芝翫、橋福兄弟、松江、玉太郎親子、彦三郎亀蔵兄弟。友右衛門、そしてきおいちょと顔ぶれも愛ちゃんと音羽屋劇団、成駒屋、萬屋と多彩でそれぞれに仁(ニン)にあったいい座組だ。

芳流閣の大屋根での立回りははらはらするほどアクロバティックで、愛ちゃんときおいちょの立回りもたっぷりで見応えあり。
そして初めて見た「がんどうかえし」セット転換がなんと回転して下からぐるっと回ってくる。大屋根は後ろに回転するので二人はどうやって掴まっているのか?後の川辺のセットが天井に届きそうになると二人は後ろへ飛び降りているみたいだ。どきどきする。
きおいちょは自身のBlogでも八犬伝なら現八だけをやりたい。一生現八だけでいいと言ってるが本人が気に入ってるだけあってホントに素晴らしい。顔に描いた牡丹のあざが何ともキュート。武骨な役柄だが品があって立ち姿、立回り、台詞回しの全てが完璧。きおいちょの現八が居るだけで八犬士がずらりと居並ぶときおいちょが一番素敵に見えるのはファンの欲目。それにしても格好良いしか形容出来ないきおいちょ!頭から血を流す役も物狂いももちろん良いのだけどこういうお役はほれぼれする。
世話物のきおいちょも素敵だが、やはりザ・男の子なお役はきおいちょを観る楽しさが倍増する。
ふっくらとした肉体にすっと伸びた足。ゾクゾクするほど男前。猿之助女形ときおいちょ立役でガッツリと芝居をして欲しい願いはいつか叶うかしら。
そういえば「黒塚」も今週千穐楽をむかえる。御園座、歌舞伎座、平成最後はちょっと客入りが寂しいのが残念。

御園座はあれだけの舞台をみせて貰って拍手が少ないのは寂しい。多分歌舞伎をあまりご覧にならない客層なのか?大向うは頑張っていたが、橋成駒は要らないかも。大向うと拍手の兼ね合いもどんどん難しくなる。そういえば伝え聞いた噂によると、米吉君の夜話で女性の大向うは役者も喜ばない的な事を話したとか。関西では女性の大向うもいる。花形役者が否定的に話す事でもないだろうにと感じた。玉三郎さんの様に自分の主演舞台では大向うを禁止してるのは納得出来るのだが。以前上方の俳優さんは女性でも声がけ大丈夫ですよ。嬉しいですよと言われたのは空耳か?
この頃は歌舞伎もストプレの様なストイックな見物を求められる。これだけお切符が高いと絶対見逃したくないと思うお客が増えても仕方ない。おばさんはそっとしょうと思っても思わず音を立ててしまう事があるのを最近実感して反省中だ。ケータイは切ってます
#松緑 #きおいちょ #愛之助 #御園座 #猿之助

いいなと思ったら応援しよう!