忘れ去られることに抗うように
標高が高くなるほど、新しい村なのかもしれない。戦後の、ここでいう戦後は太平洋戦争のことだ、開拓者たちが築いた集落。古い、歴史のある集落は、もうちょっと下流の方にある。渓流がやがて静かな里の流れになるようなところ。新しい村は、だから、傾斜が急だったり、平らなところが少なかったり、農業に向いていない。田んぼに向いていない。そんなところで新しい人たちは、新しい農業を始めた。例えば酪農。けれども、規模がすぐに問題になったのだろう。高度経済成長の
時代、自給ではなく、経済的な成功が目的