ベツレヘムに向かう聖人のために作られたお菓子、クグロフ。
フランス、アルザスを代表する伝統菓子です。
16~17世紀ごろ生まれたと言われていますが、1770年オーストリアからルイ16世に嫁いだマリー・アントワネットがフランスに伝えたという説もあります。
凹凸のある独特の型で作る発酵生地のお菓子ですが、その型の存在が明確に認められるのは、18世紀になってからです。クグロフとして現在のものに近い完璧なレシピが見出されるのが、19世紀初頭。とはいえ、話好きのアルザス人は、クグロフの発祥について、あるひとつの物語を語り継いでいます。それは昔むかし、リボーヴィエ村に住む陶器職人が、キリストの誕生を祝うため、東方からベツレヘムへ向かう3人の聖人を自分の家に泊めました。すると、聖人たちは職人がつくった珍しい型でお菓子をつくってお礼をしたという話です。
クグロフは、しばしば「Kougelhof」(クーゲルホッフ)というドイツ語で呼ばれ、「クーゲル」は、「丸い形」、「ホフ」は「ビール酵母」を表します。アルザスでは特産のビール酵母で、クグロフを発酵させていたとのこと。
そのクグロフを作るうえで、以下の3つの決まりがあります。
1、マラガ産の干しぶどうを入れること
2、アーモンドを表面に飾ること
3、焼きあがったら粉糖をふりかけること、
そして、もうひとつクグロフの特徴をあげるとしたら、その形です。クグロフのドイツ語のもう一つの呼び方「Gugelhupt」のGugel(グーゲル)には僧侶の帽子という意味があり、僧侶の帽子を形どったとも言われています。
クグロフの型は、アルザスのスフレンハイムという町で伝統的に製造されています。陶器の型は、生地をふんわり優しい食感に仕上げるために欠かせません。
アルザスでは、クグロフの別名をコウノトリを表すシゴーニュといいますが、コウノトリは、地元では人々の愛を示すシンボルの鳥でもあります。
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