見出し画像

人はなぜ、ビュッシュ ド ノエルを食べるのか? クリスマスの起源。

クリスマスは、キリストが生まれた日ということになっているが、実は、そんな昔のことを書き留める人もいなければ、出産に立ち会った人もいない。ではなぜ、その日がクリスマスになったかというと、かつてローマでは、衰えゆく太陽が再び光をとりもどすことを祝う冬至のお祭りを12月25日に行っていた。そこで、この日を、闇の世界に光がもたらされたキリスト生誕の日として、教会でお祝いするようになり、それがクリスマスとして今に伝わっているのである。

画像2

(ウィーンの市庁舎前のクリスマス市)

現在、クリスマスを盛大に祝う国として名高いのはドイツ。ドイツは初めてクリスマスツリーを飾った国で、フランスではドイツと隣接しているアルザス地方に、最初にツリーが伝えられました。また、ドイツや北欧では、11月の最後の日曜日になると、もみの木でつくったリースにろうそくをたてて1本火をつける。そして次の日曜には、また一本、というようにクリスマスがだんだん近づいていることをお祝いする。こうした行為をアドヴェントという。

画像3

(リースに見立てたアドヴェントケーキ)

一方、子供たちにも別にクリスマスがやってくる。サン・二コラのお祭りだ。このお祭りは、3世紀から4世紀始めにかけてのニコラ聖人の伝説から生まれた、伝説はこんなお話だ。ある日、3人の子供が誘拐された。ニコラ聖人はある肉屋があやしいと思い、彼の家に立ち寄り、泊まるふりをして台所をさがした。すると、つぼの中に3人の子供たちが眠っていたのだそう。その子供たちを助けたニコラ聖人は英雄となり、以後ニコラ聖人は子供たちの守護神となり、彼が埋葬された12月6日をサン・ニコラの日として、子供たちにスパイスクッキー(パンデピス)などをあげてお祝いするようになったのである。

画像1

(南イタリア、プーリア州バーリの聖ニコラ聖堂のサンニコラ像。ここに聖遺物が保存されているという)

一説によると、サン・二コラはサンタクロースのモデルではないかとの説も。サン二コラは、発音によっては、サン・ニコラウス。これがサンタクロースと発音されて今に至るというものだ。

画像4

(スパイスクッキーのクリスマスツリー)

画像5

(ブリュッセルのスパイスクッキー専門店、ダンドイ)

画像6

(ヘキサンハウス作りにも、スパイスクッキー使用。スパイスクッキーは、中世から食べられていた)

そして、なぜビュッシュ、つまり薪をクリスマスに食べることになったのかについては、前の年の燃え残りの薪からできる灰が、雷や家事よけのおまじないになるという説。ヨーロッパの寒い国では、暖をとるための薪が大変貴重なものだったという説。諸説いろいろあるが、薪はヨーロッパの生活にとってかかせないものだったことは確か。そして、ビュッシュにはきのこを飾ることが多いが、きのこは繁殖力が高く、繁栄の象徴と言われているのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?