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『雪国を巡る旅』 〜越後湯沢文学旅その②〜

今回は川端康成が雪国を執筆した『雪国の宿 高半』へ宿泊した時の模様になります。
過去と現在、そして虚構と現実が入り交じる素敵な体験をさせていただきました。

16:00【雪国の宿 高半 到着】

・現在の建物は昭和47年築。
・昭和63年に増築・改装を行ったとのこと。

今回旅のメインとなるお宿に到着しました。
こちらの高半さんこそ、川端康成が雪国を執筆したお宿なのです。
900年の歴史を持つ極上の温泉は数々の著名人を魅了し、今に至ります。

・入口には雪国の一節が。もうここは小説の世界なのだと実感すると気分が高まります。
・中間に作られたフロアや美しいシャンデリアなどが昭和マニアの心をくすぐります。
・地下のロビーからエスカレーターで一階へ。
・一階には温泉を始め、読書の出来るスペースや、卓球場や自販機コーナーがあります。

16:15【お部屋について】

・川端康成が宿泊したかすみの間と同じ方角。

チェックインを済ませてお部屋へ。
お部屋は東館の最上階。窓から見える上越国境の山々が美しいですね。
温泉旅行に来たという気持ちを一層高めてくれるような、昭和レトロな内装が落ち着きます。

・大事に維持された備品の雰囲気も◎。

16:55【見所満点のレトロな館内】

チェックインしたらひとっぷろと思っていましたが、居心地の良さから部屋でゆっくりしてしまい、気付けば時間に。
川端康成が雪国を執筆したかすみの間の見学時間が迫って来たのです。

・歴史を感じる物がたくさんありました。

絵や欄間や箪笥など、館内至る所に歴史を感じる物が。聞けなかったのですが、前の建物の時代からあった物ではないでしょうか?
中でも衝撃だったのがこちらのエレベーター。

・日立ビルエースA(1970年〜1972年)

よく残っていましたね!このボタン、旧ラジオ会館で見て以来でした。旧ラジオ会館も調べましたらこの高半さんと同じ昭和47年築とのことでネタが合いました。

・当時のままよく維持されています。

確かに備品や設備は古いかもしれません。しかし建築から半世紀経った現在でも現役かつ綺麗に残っていることは、大事に維持管理されてきた証に他なりません。お宿のマインドをこのような形で感じれるという事はとても素晴らしいことです。

17:00【かすみの間 見学】

1階には川端康成が雪国を執筆したかすみの間が移築保存され、実際に入って見学することができます。
7時〜10時はフリー開館ですが、5時からは女将さんによる解説付きで見学することができます。

・雪国にまつわる貴重資料を始め、松栄さんの遺品、北原白秋や与謝野夫妻の書など美術館級の展示に驚かされました。

数々の貴重な写真を前に、雪国が執筆された背景や、高半に逗留中の話、そして映画撮影時の秘話を女将さんから教えていただけたのは貴重な体験でした。印象的なラストの繭倉が実在し、写真まで見れるとは思いませんでした。

【上段】右建物が昭和6年に建てられた長生閣。
2階部分が雪国を執筆していたかすみの間。
【下段左】ヒロイン駒子のモデル松栄さん。
【下段右】川端康成と雪国を翻訳したエドワード・G・サイデンステッカー氏。

群馬の温泉に滞在していた川端康成が、上越線も新潟県まで開通したのだから、そちらの温泉に行ってみてはどうかとおすすめされ、やってきたのがきっかけだそう。そして実際の出来事が雪国のモデルとなっていくのです。

・昭和6年築 長生閣 2階 かすみの間

ここがそのかすみの間です。備品は当時のものとは限らないそうですが、紛れもなく先生が執筆され、松栄さんと会っていたかすみの間そのもの。

・長生閣は清水トンネル開通に合わせたレジャー需要を見越し、水上温泉などで気に入った建物を建てた大工に建てさせたものだそう。

白黒写真ではわかりませんでしたが、柵がパステルグリーンのような色で、装飾もされています。当時にしてみれば和な建物でありながらモダンさを取り入れたものであったことがわかります。

・左は松栄さんが当時着ていた服そのもの!
・右は映画撮影時。当時のかすみの間です。

1957年制作の雪国は唯一高半旅館で、更に改築前に撮影されたものとなっています。ヒロインの駒子は岸惠子、葉子は八千草薫、主人公の島村を池部良が演じています。ご飯ののち、こちらの映画を観ることになっています。

19:00【夕食】

・従業員さんには親切にしていただきました。

晩御飯はお刺身を中心に地酒と堪能させていただきました。
このあたりでは古くから上越線のルートで新鮮な海産物が入手できたため、山奥で刺身というチョイスは間違いではないのだそう。

・ご飯がとにかく美味しい!

特Aランクの魚沼産コシヒカリはおかわり自由。
美味しいご飯には漬物が一番合います。
お昼にいただいたので注文はしませんでしたが、別途へぎそばを追加することもできました。
とても美味しい夕食で大満足でした。

20:00【映画『雪国』鑑賞】

予約をすると1957年にこの高半旅館で撮影された雪国を上映してくれます。
この体験もとにかく凄かったですね。この後の年代になると交通が目まぐるしく発展し、大きなホテルが開業し、街が一気に変わります。作品が書かれた時から戦争を挟み約20年、同じ世界観で撮影する最後のチャンスだったと思います。

街は変われど、川端先生も、モデルの松栄さんも、映画の中の人物たちも、同じ山々を見ていたのだなぁとしみじみ思いました。山を相手に三味線の稽古をしていたというシーンを思い出すと、作中の駒子、実在した松栄さんが浮かんでくるようです。

23:30【温泉】

すっかり想いに耽ってしまい、気付けば深夜になってしまいましたが、自慢の温泉に入ろうと思います。
卵の湯と呼ばれるph9.6のアルカリ性アルカリ性単純硫黄泉は源泉掛け流しで43度という優しい温度と入り口。これがとても素晴らしく、就寝前に入るとリラックス効果で安眠できるのだとか。確かによく眠れたんですよね。
熱めが好きな私ですが、これはいいなぁと気に入りました。川端康成や数々の著名人もこの泉質を気に入って逗留されたのでしょう。納得です。

風呂上がりに名物アイスらしいもも太郎を。
ももと言いつついちご味なのもこういう歴史あるご当地ものらしくていいです。
柿チョコは道の駅にて購入したもの。こちらも美味しかったですね。

08:00【朝食】

朝食はバイキングとなっておりました。ご当地グルメをはじめ、和洋様々な料理が並んでおりました。やはりシーズンだけにスキー客の方が多そうでしたね。外人の方も結構いらっしゃいました。
美味しい朝食に朝から大満足でした!

【まとめ】

いかがでしたでしょうか?
川端康成の逗留した時代、映画が撮影された時代、そして今を生きる私という過去と現在。
島村と駒子の小説雪国の世界、映画雪国の世界、そして私のいる現実の世界。
過去と創作物と共通の世界を体感するという、他では絶対にない体験をさせていただきました。
それがノーベル文学賞受賞作家の作品でということなのですから、他ではあり得ない体験でしょう。
是非雪国を一読いただき、その上で高半に宿泊されることをおすすめします。
温泉、食事、対応も素晴らしいお宿でいい思い出になりました。また宿泊したいと思います。

次はこの文学旅最終章。雪国ゆかりの地を巡ります。今回もご覧下さりありがとうございました。

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