見る、乗る、撮る。SL大樹満喫旅。その②
今回は「見る、乗る、撮る」の、「見る、乗る」編でございます。
鉄道が好きとは言っても、C63 3がいまだに北海道を走っていると思い込んでいた程度の認識しか持ち合わせていない素人の文章ではございますが、引き続き読んでいただけますと幸いです。
09:25【下今市駅】
日光市営駐車場に車を停め、下今市駅まで歩きます。予約したSL大樹3号の時刻は10時29分。だいぶ時間に余裕を持って到着できたようです。
09:33【東武鉄道パーク】
早く着けたおかげでSL大樹1号をお見送り。こういう場所があると親子連れでも見学し易くていいですよね。力の入れ様が素晴らしいです。
09:35【下今市駅】
発車まで駅構内を見て回ることにしました。
まず待合室に入ってみると、何やら昭和レトロなグッズが。昔の東武のポスターや、温泉街らしく(?)8トラのカラオケ機が置いてありましたが、私が一番惹かれたのがこのコカコーラの瓶自動販売機です。
これ、地味に珍しいです!1977年の毒入りコーラ事件以降、リターナブル瓶と呼ばれる繰り返し使用できる瓶飲料が衰退したため、事件以降新しい機種ほど珍しいものとなっています。画像検索してみても、古い機種の方が多く見受けられます。
歴史の深い旧跨線橋はそれだけでも見所ですが、ギャラリーとして東武鬼怒川線にて国の登録有形文化財に登録された7件の紹介がされています。SL大樹に乗る前に一読するとマニアックな見どころが知れますからおススメです。
ホームに降りてみますと、乗車予定のSL大樹3号が準備していました。
10:29【SL大樹3号発車】
いよいよ発車の時刻になりました。
ハイケンスのセレナーデが流れて出発。
ホームでは駅員さんやお客さんが手を振ってお見送りしてくれています。
検札もひと段落すると、比較的自由に車内を見て回ることができます。そしてアテンダントさんによる沿線紹介が始まりました。この旅で一番感動したのはアテンダントさんの親切さ、仕事ぶりでしたね。
暑くないですか?暖房調整しましょうか?と親切に聞いてくださったり、外人さんにも英語で展望車から景色を眺めれますよと、こちらに楽しみを提案してくれるような対応をされていたのには感動しました。なかなか出来る事ではないと思います。
11:05【鬼怒川温泉駅到着】
11:20【鬼怒川温泉駅転車台】
11:40【ランチ】
折り返しの時間までだいぶ余裕がありましたので、せっかくだからと温泉街を歩いてランチにしました。
先程いただいたアテンダント通信に書いてあった日光HIMITSU豚を使ったメニューにしようと、こちらにしました。鯉が泳ぐ池を眺めながらゆっくりランチのできる、素敵なお店でした。ちょうどガレット食べたかったんですよね。美味しかったです。
12:35【鬼怒川温泉駅】
12:54【SL大樹4号発車】
折り返しのC11 123号機牽引の列車に乗車します。東部ワールドスクエアまで乗ることも出来るようで、その場合は早めに検札を受けた方が良さそうです。私は行きと逆側の席に座り、行きとは違う景色を楽しみながら下今市駅まで乗車します。
13:03【新高徳駅】
新高徳駅では下今市駅を13時01分に発車したSL大樹5号の通過待ちを行います。少しの間ホームにも出ることが出来ますので、記念撮影なども行うことが出来ます。
すれ違いも終わり、再び出発。向かいながら次に写真を撮るべく考えていた場所を眺めてみました。ここでやっぱり日光方面に行こうかなど悩みもしましたが、せっかく考えた事だからと写真を撮ることに。日光方面は夏に改めて行きましょう。
13:44【下今市駅到着・感想】
そして、あっという間に下今市駅へ。行きよりも少し長めの乗車時間でしたね。
見る、撮るを終えて思ったこと、それは沢山の人の善意と良心の上で運行されている、素晴らしい列車であるということ。
いくら14系が国鉄の客車とは言え、蒸気機関車の時代としては晩年にあたります。乗り心地も大変よく、当時を擬似的に体感できるようなものではありません。レトロにリニューアルされた駅舎類もそうです。しかし、それがダメなのかというと、そこがいいのです!
観光地へ行く方々がいつもとは違う特別感やノスタルジーに包まれ楽しい気持ちになるには、快適さと雰囲気の絶妙な加減が必要だと思います。こだわりの強い時代考証が必ずしも正しいとは限りません。その絶妙さが見事だと感じました。
東武側のおもてなしは勿論、沿線の住民、乗客、鉄道ファン、みんなが手を振り合い、善意と良心をとにかく感じました。
沿線の方々も観光客が増えて嬉しいだけではありません。蒸気機関車の煙や音に悩まされる事もあり、実際には理解を得るには難しい点も多いそうです。しかし、線路沿いの住民の方々、老若男女問わず、みんな笑顔で手を振ってくれました。沿線で写真を撮っている鉄道ファンの方々もそうです。
SL大樹が運行され始めたのは2017年。つい最近です。昔からではありません。蒸気機関車を走らせる事、観光客をもてなすこと、これらを地域ぐるみで理解し合い、行えているということにただただ驚くばかりでした。
私の好きな美味しんぼの名言を引用すれば「人の心を感動させるのは唯一、人の心をもってのみ出来ることなのだ。」という海原雄山の名言がまさにこれだと思いました。
列車のコンセプト、施設や車両の調達や整備、企業が大きいから出来たことではありません。並々ならぬ努力があってのものだと思います。それがいい形で人々に伝わっていっているからこそ、この列車の旅というのは幸せなものになっているのだろうと思います。
私はつい先日、川端康成の伊豆の踊子を読みました。生い立ちの寂しさから来る孤児根性が、旅先で出会った純真無垢な踊り子と接することで和らいでいくといった話ですが、そこまではいかずとも近い感覚をこの列車旅に感じました。
一人旅ですから、最初は一人の殻に籠っていました。アテンダントさんの親切さ、沿線の方々の笑顔と手を振る姿、それらを受けている内に、いつしか車窓の方々に笑顔で手を振り返す自分がいました。たった30分少しの列車旅でこんな気持ちになるとは思わず、素晴らしい思い出となりました。
SL大樹、本当に素晴らしい列車です。
皆様も是非ご乗車になってくださいね。
次は「撮る」編です。
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