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マレーシアの物価対策で考える

 物価高騰に伴い、マレーシアではその対策として調理油、鶏肉、卵の上限価格を7月1日に導入しました。しかし、なんだかそもそものことを考える時期に来ているのではないでしょうか。

 これらの上限価格は以前は時限的に大型連休前後に設定していました。しかし、今年に入ってから価格が高騰したため、2月から長期的な措置として導入。6月には一旦廃止すると政府は発表したのですが、選挙も間近であることから、7月1日に再び導入することになったのです。

 現在の上限価格は下記のとおりです。
    (1リンギ=約31円(7月16日現在))
調理油
 1キロの袋詰 2.5リンギ
 パーム油の5キロボトル 29.70リンギ
     1キロ    6.7リンギ
     2キロ   12.70リンギ
     3キロ   18.70リンギ

チキン  1キロ 9.4リンギ

卵 グレードによる 1個0.41~0.45リンギ

 貧困層の対策向けとしているのですが、果たしてこういった製品の上限価格を設けるのはどうなのかと疑問に感じます。確かに上記3品は食品としては必需品なのですが。

 マレーシアでは油を使った食べ物が非常に多い。特に揚げ物がメインな食事と言ってもいいでしょう。マレーシアの人はフライドチキンが大好物で、KFCは連日大盛況です。

 マレーシアの人の調理油の摂取量は月1.45キロ。これはマレーシア政府が定める月の推奨摂取量620グラムを大幅に上回ります。その証拠にマレーシアの肥満率はアジアのトップに輝き、国民の約3割が肥満。また、死因も心臓病が最も多く、要は油のとりすぎによるものなのです。

 となると、タバコと一緒で調理油の摂取を抑えるように施策を行っていく必要があるのでは? マレーシアでは砂糖が入る飲料水については新たに税金を課して、価格を上げるようにして、できるだけ摂取を抑えるようにしています。それと同じで調理油の摂取も下げるようにしていく必要はあると思うのです。そう考えると、上限価格を設けるというのはいかがなものなのか。

 マレーシアの料理は確かに油がなくなると成り立たなくなってしまう側面はあります。しかし、現状維持は現実的に死を招く事態になっているので、特にマレー人の食文化を大きく変えていく必要がある時期なのだと考えます。

 食文化は一朝一夕に変えられるものではありません。ずいぶん前にマレー人に油の摂取について聞いたことがありますが、やはり彼も「なかなか変えられない」と返答していました。そこにはかなり深い意味が込められている気がしました。ただ、変えていこうとする努力がない限りは変えられません。その変える努力をいつからどう始めるのか。それは今しかないのではないでしょうか。

 僕はこのパンデミックになってから食生活をガラリと変えました。それまで結構油っこいものを食べてきましたが、引っ越した先の部屋にはガスコンロがないため、油を使う料理が物理的にできない。そのため、油を使わないスープを中心に料理しています。その結果、何と5キロ以上はやせた。油を使わないのをやめただけで痩せたのです。劇的に痩せることは他の人でも証明できています。油はカロリーが高く、これを抜くだけでだいぶカロリーは抑えられるはず。油(脂質)は人間にとって重要なエネルギー源でもあるので、ある程度は取る必要があります。でも、調理油をどっさり使って料理したものを食べるのではなく、例えば、肉類や魚類についている脂質を食べるだけで十分なのです。大量の油を使って調理する必要はなく、自然に取れるようにしておけばいいだけなのです。

 さて、チキンと卵の上限価格ですが、こちらも必要ないのではないか。

 チキンは確かに僕もよく食べるので、安いに越したことはありませんが、よく食べるということはチキンを殺し続けているということでもあります。これって果たしていいことなのでしょうか。卵も同様です。

 チキンも卵もおいしく栄養価も高いのですが、一方で脂質が多いこともよく知られています。卵は1個あたり5グラム以上あります。

 脂質の1日あたりの推奨摂取量は50グラム。卵焼きを一つ食べたら、すでに12グラムほどの脂質を取ることになります。これって「まだ余裕があるのでは」と思うかもしれませんが、意外に1日のなかで脂質を取ることは多いのです。KFCのオリジナルのフライドチキンの1個あたり(!)の脂質は約15グラム。フライドチキンと卵焼きを食べたらすでに27グラム。これにチャーハンと一緒に食べたら、1食で優に50グラムは超えるのです。1日あたりの推奨50グラムなんて簡単に超えてしまうのです。ちなみに、僕は脂質の摂取量を1日あたり30グラム以下にしています。

 となると、上記3つの上限価格はもう設定せず、価格は任せるに任せてしまったほうがもっと健康的になるのでは? 高ければ人は買わないし、そこから「どうしようか」と考えるはずです。人間切羽つまらないとなかなか動けませんが、生きていくためにはそこは個人が知恵を使っていくでしょう。食を変えていけば、自ずと痩せてもいくはずなのです。

 ただ、政府としても代替の食べ物は用意しないといけないと思います。保健省が中心となって、本当に痩せるような食事の紹介を大大的にやったらいいのでは。特にオートミールを利用した食事をとても痩せる(僕が実証済)ので、食文化革命を起こすぐらいの勢いでやっていかないといつまでも肥満は続きます。国民の健康を考えるともはや現在の食生活はもうだめなのです。

 上限価格を設定するのであれば、調理油やチキンではなく、野菜を中心に設定していったらいい。マレーシアの人たちはあまりに野菜を食べないこともあり、栄養はだいぶ偏っていると思います。それも考慮すると、上限価格の設定先がなにか違うような気がするのです。現状維持ではなく、どんどん変わっていかないと人間ってだめになってしまうのです。

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