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英語より中国語の時代?

 アジア地域に住むと、もはや英語ではなく、中国語のほうが便利な言葉であることをよく感じます。

 中国語(北京語)はよく知られているように世界で最も話されている言葉。約15億人が話すと言われています。それは中国大陸だけでなく、世界に散らばった華僑の人たちも含めています。

 この華僑たちの存在というのは重要で、世界のどこに行っても簡単に見つけられ、中国語が話せると助けてもくれるのです。

 昨年11月にタイ北部のチェンライに行きました。チェンライからだいぶ外れた山奥のカフェに行った時のことです。そのカフェはなんだか、まだ作りかけ。よくあんな山奥にカフェを作ったなあと関心をしていると、オーナーは華僑の人でした。友人らはいつの間にか中国語で話しており、なにやら周辺情報のことも聞いていましたが、あんな山奥にでも華僑がいるのは驚きでした。

カフェとその華僑オーナー

 タイにも多くの華僑が住んでいますが、その華僑も各地に散らばっています。それぞれ華僑としてのアイデンティティーも強く、祝い事や家族の絆を大事にし、最も重要にしているのが、やはり言葉でしょう。子どもの頃から現地語に加えて、普通語(北京語)や広東語といったさまざまな言語を身に着けさせるのです。北京語でコミュニケーションができるため、世界中の華僑たちともつながっていく。どんな山奥にいても、今はネットでつながることもあり、ますます華僑や華人のネットワークが深まるのだと思います。

 世界各地には中華街があります。日本にも横浜や神戸などにありますが、世界各地の中華街が話される共通語が実は広東語なのです。数年前にベトナムのホーチミンに行ったとき、そこの中華街に行ったのですが、最初は英語で話していても一向に通じなかったので、北京語で話したら、その後に広東語で返されました。ワンタン麺を注文しただけなのですが、そのとき広東語の普及の強さを思い知らされました。ベトナムの中華街でさえも広東語が通じる。
 
 マレーシアのクアラルンプール周辺は広東語圏で、華人たちは現在も香港に憧れてよく旅行に行きます。広州から来た人たちの子孫がクアラルンプール周辺に住んでいます。なので、僕にとっては広東語は日常生活の一つの言葉としてしか認識していなかったのですが、これがインドネシアやカンボジア、イギリスなどの中華街に行っても広東語が通じるのです。

 今、僕はマレー半島の東海岸に住んでいますが、ここにも多くの華人が住んでいます。先日、なぜか注文するときにふと広東語で注文してしまったのですが、何ら問題はなく、店員は理解してくれました。先ほど、スーパーで買い物をしましたが、レジの後ろに並んでいた華人夫婦は広東語で話していました。東海岸はどちらかというと華人の間では北京語圏なのですが、広東語も多くの華人は話します。

 一方で、北京語も通じます。彼らは家で勉強もするのでしょう。発音はどこもだいぶ現地語化しており、よく言っていることがよくわからないこともあります。先日は今住んでいるところでタイ語なまりの北京語を聞いていましたが、これはなんだか別の言語を聞いているような気がしました。タイ語なまりの英語はだいぶ慣れて今は聞き取ることはできますが、タイ語なまりの北京語は、かなり聞いていかないと慣れることはないでしょう。

 そう、アジアの現地の情報をつかもうと思うと、華僑や華人に接触して北京語で聞いたほうが結構的確だったりする可能性があります。英語は確かに話す人は多いのですが、タイの山奥や僕が今住んでいるマレー半島の東海岸ではほとんど通じない。アジアでは意外に英語は不便な言葉なのです。英語を話せる人たちはどうしたって外国人が多くいるところに住んでいるものです。マレーシアでもクアラルンプールやペナンなどでよく通じるのもそのためです。そういったところを旅するのであれば、英語だけで足りますが、アジアでは少し地方でも旅行しようと思うと、英語ではなく、現地語しか通じないことがよくあります。そうなると困ったときには華僑を見つけて北京語や広東語で話しかければ、なんとかなる。バックパッカーの下川裕治さんの本を読んでいるとそんなこともちらほら出てきたりします。

 となると、アジアでは英語だけでなく、北京語も習得していれば、どうにかなる。特に華僑たちのネットワークは巨大で、そこに入り込めるとビジネスもどんどん展開できる。英語だけだと、そのネットワークには入り込む余地はまったくありません。逆に入り込めると自ずと道が拓けます。アジアでは英語なんかより北京語のほうがより現実的な言語なのかもしれません。



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伊藤充臣
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