マレーシアの一部で元旦は祝日ではありません

　マレーシアといえどもとても広いのですが、イスラーム教徒が大半を占めるため、一部の州では元旦は祝日ではありません。

　中でもイスラーム色が強いクランタン州、トレンガヌ州、クダ州、ペルリス州、ジョホール州の5州は元旦は祝日ではなく、平日。単なるグレゴリオ暦の2025年1月1日というだけ。

　僕は今、イスラーム暦に沿っているクランタン州に住んでいますが、グレゴリオ暦に従うと昨日12月31日が仕事納めで、きょう1月1日が仕事始まりということになります。昨日の夜はむなしい花のない花火がパチパチと5発ほどなっただけで、大晦日も元旦も日本のような雰囲気は一切ありません。今もとても暑い。。。

　ただ、マレーシア全体では元旦は祝日です。マレーシアは連邦制度を取っているので、各州で祝日も決めることができるのです。キリスト教徒が多くを占めるサバ州やサラワク州は逆に元旦のほうが賑やかで、イスラーム教徒の祝日はあまり気にしない雰囲気にあります。こういった暦一つとっても多民族国家であるためバラバラ。グレゴリオ暦は一応、全民族の中立的な暦であるのですが、そこにあまり気持ちは入っていないのです。要は単なる事務的な数字でしかありません。

　前にも書きましたが、日本もそろそろグレゴリオ暦ではなく、旧暦で動いたらどうかと思います。この暦のずれは日本人の精神に何か支障をきたしていると思うのです。僕の大学の先生も昔、「旧暦で生活しないから、みな鬱になるのではないか」と話していたことがあります。

　日本は明治時代に太陽暦のグレゴリオ暦を導入して以来、ずっと今までそれで来ていますが、そもそも今の大晦日はグレゴリオ暦での「大晦日」になっている。そもそも「晦日（みそか）」とは、月の満ち欠けを基準にした太陰暦の月の最終日で、その太陰暦の一番最後の月の最終日が「大晦日」。本来はここに太陽暦であるグレゴリオ暦が入り込む余地がないはずなのですが。。。

　旧暦は農暦で、日本人はもともと何世紀にもわたって農業が中心の日常生活を送っていましたが、それをほとんど取り除いてしまったので、一部にしか旧暦は残っていない。若い世代になってきて今後はどんどん旧暦の習わしもなくなっていくでしょう。

　日本人の体には農暦が無意識に染み付いていると思うのですが、その大部分の時間の感覚を無理やりにグレゴリオ暦にしてしまっているので、体に無意識に大きな負担がかかっているのではないか。僕は高校の時から「グレゴリオ暦でなぜ仏教の坊主は除夜の鐘を打つのか」不思議でならないのですが、その納得する回答を誰からもいただけずに今に至ります。ずいぶん前には東京の仏教寺院の軒先でクリスマスツリーが飾られていたのをみて、「日本仏教はもはやだめだ」と思い、信仰心はなくなってしまいました。

　また、昔から伝わる占いも本来は太陰暦である旧暦を使うべきところをグレゴリオ暦で占いをしています。これはどうみてもずれているのではないかと思うのです。ラーメンのスープにそばかうどんを入れて味わっていることと同じことではないでしょうか。

　干支も「2025年はヘビ年」としていますが、そもそもこれは中国暦から持ってきているもので、やはり旧暦で区切るべき。太陽暦のグレゴリオ暦でなぜ太陰暦の干支を区切るのでしょうか。マレーシアでは華人の間で風水が信じられていますが、彼らはグレゴリオ暦で風水は見ません。風水は中国暦（農暦）とも密接につながっているので、グレゴリオ暦に合わせる必要性がない。干支は日本と同じですが、中国人／華人の間ではグレゴリオ暦の今月29日の春節からヘビ年になります。なので、グレゴリオ暦の1月1日の時点では辰年のままなはずなのですが。。。日本人は暦に関して言っていることがおかしい。

　暦はその国その国で合わせて採用していけばいいですが、マレーシアのケースをみていても、仏教徒は形式的にグレゴリオ暦を使うのは構いませんが、仏教イベントをグレゴリオ暦に合わせるのはやはりおかしい。また、歴史的な事件である忠臣蔵の吉良討ち入りの日は元禄15年12月14日ですが、これは旧暦であって、グレゴリオ暦の12月14日に泉岳寺に墓参りに皆行くのはどうなんでしょうか。お参りをされている亡くなった方々も不思議に思っていると思います。この日をグレゴリオ暦に直すと1703年1月30日なんですが。。。

　といったことをこの時期に毎年考えてしまうのです。ということで、グレゴリオ暦の本年もよろしくお願いいたします。